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【社会】

高額の天下り財団落札 原発メディア監視

2011年9月17日 07時13分

大半は黒塗りだった関連文書

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 経済産業省資源エネルギー庁がメディアの原発報道を監視してきた問題で、二〇一〇年度の事業の受託業者は、四者の入札で最低価格を提示した民間企業ではなく、二番目に高い価格を示した財団法人だったことが、本紙が情報公開請求した資料で分かった。落札した法人は電力関係者や省庁OBらが役員を務めている。

 開示資料では、一〇年度の入札は二つの財団法人と民間企業二社が参加して、財団法人「エネルギー総合工学研究所」が落札した。

 入札は価格と技術の両面で評価する「総合評価方式」で行われた。価格点では最も安い八百二十七万円で入札した民間企業が四者中トップで、同財団は九百三十万円で三番目。技術点ではこの民間企業が百五十点で最低、財団は百六十二点の最高得点を獲得し総合点で逆転した。

 だが、開示された財団の技術提案書は大半が黒塗りで、提案内容は一切不明。入札経過を記した書類は具体的な評価ポイントなどの記載自体がなかった。

 事業終了後に財団がエネ庁に提出した実績報告書を見ても、「新聞、インターネット情報を収集・分析し、不正確と思われる情報を抽出・分析した」などと書いてあるだけで、具体的な実績の記載はなかった。

 同庁の担当者は本紙の取材に「評価は審査員の判断の結果としか言いようがない。黒塗り部分は営業ノウハウであり、公にすると研究所の利益を害する」と説明した。

 メディア監視事業は〇八年度に始まり、本年度を含めた四年間の総事業費は計一億三千万円。「不正確、不適切な報道をしたメディアに訂正情報を送る」が事業趣旨だが、訂正要請は一度もない。

 初年度の入札は別の財団法人一法人が参加したのみ。〇九年度は二つの財団法人が応札し、金額の低い法人が落札した。この三つの財団法人も役員に電力会社役員らが名を連ねている。(森本智之)

(東京新聞)

 

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