物部布都とは、「東方Project」のキャラクターである。
登場作品は13作目「東方神霊廟 ~ Ten Desires.」Stage 5ボス。
設定
種族 | 人間?(尸解仙を自称する道士) |
二つ名 | 古代日本の尸解仙 |
能力 | 風水を操る程度の能力 |
テーマ曲 | 大神神話伝 |
概要
由来はおそらく物部守屋の妹とされる布都姫(ふつひめ)もしくは太媛(ふとひめ)。
- 「布都姫」は物部尾輿の娘であり、物部守屋の妹とされている人物。
- 一方、「太媛」は同じく守屋の妹とされ同一人物と目される。
物部守屋は、豊聡耳神子の元ネタである聖徳太子とは宗教関係で対立していた。
聖徳太子は蘇我蝦夷と手を組み、物部守屋を暗殺した。
『日本書紀』では物部守屋の妹(名前は記されず)が蘇我氏を操って物部氏を滅亡させ、血縁を理由に遺産を奪ったとされる。
物部「守屋」とあるように諏訪大社と物部氏の間には関連性があり、例えば長野の一部では建御名方とミシャグジ神の争いが物部守屋と朝庭軍の形になっている。
また、物部氏が祭祀していた石上神宮は布都御魂剣を祭る神社だが、布都御魂剣の持ち主建御雷によって建御名方は信濃に追い払われた。
すなわち八坂神奈子と洩矢諏訪子の元ネタ同士の対立の原因となったのが物部氏ということになる。
早苗が自機なのはここらへんのネタが関わってくるからだろうか。
詳細
ちょっと昔のお話。今から千数百年ほど前だろうか。
まだ国が人を統治するという考え方が纏まりきる前の話。人、物、技術、
宗教など様々な物が海を渡って渡来してきた。
その中の一つ、仏教がこの国の行方を大きく変えていく事になる。
国は仏教を巡り崇拝派と廃仏派に別れ、お互いの溝を深めていく。神道の
神様であるウマシマジノミコトを祖とする物部氏は廃仏派であった。人間
を祖とする蘇我氏との対立は凄まじく、この宗教戦争は後に語られるよう
なただの権力争いではなく、神々の系譜と人間の尊厳との争いだったので
ある。
そして仏教を巡る宗教戦争は悲劇で幕を閉じる。
争いは日増しに過激になり、物部氏は寺を襲撃し寺を焼き仏像を捨て廃仏
を訴えた。しかしタイミングが悪かったのか、その日から疫病が流行し始
め、天皇が崩御してしまう。
これを蘇我氏は仏教に大して非道なことをした祟りだと喧伝した。それに
より蘇我氏の支持が高まり、ついに物部討伐の許可が下りるのである。
その争いで物部は滅亡する事になった。そしてこの国の政治は仏教を中心
に行われていくことになる。
これが表に知られている物部、蘇我の宗教戦争である。
しかし、実はこれを裏で糸を引く者がいた。それが布都であった。
彼女は物部の姓ながら、影である宗教を崇拝していた。それが仏教と同時
に伝わってきた道教である。
道教は自らを超人化する事が出来、その最終目的は不老不死である。権力
者にとっては非常に魅力的な宗教であった。
だが、この魅力的な宗教も欠点があった。それは民が誰でも修行すれば仙
人になれるのでは、政治には向かないと言う事。その為、彼女は道教の事
はひた隠しする事になる。
そして同じく道教を崇拝していた神子から、ある提案を持ちかけられる。
それが、表向きは民を静かにさせる事の出来る仏教を崇拝しこの国を治め
る。その上で自分の死に呪いをかけ、我らは尸解仙として復活しよう、と
いう話であった。
布都は蘇我氏の味方となり、裏から操る事が出来た。それにより蘇我氏は
仏教を盲信するようになった。当然、神の子孫である物部(布都を除く)
はそれを面白く思わなかった。
その結果、引き起こされたのが仏教を巡る宗教戦争である。実際は、物部
という日本古来の神々と、道教を使い新たな神になろうとする神子との争
いであった。仏教はその為の目眩ましでしかなかったのだ。
しかし、二人の復活まで随分と時間が掛かってしまったようだ。
それは神子の死を不審がった仏教の僧侶達が、その上にお寺を建て復活を
拒んでいたからであろう。
政治のために利用した仏教であったが、思った以上に信仰力が強く、現代
日本まで広く信仰され続けられたのは誤算であったようだ。
(Settings and Extra Story.txtより)
スペルカード
- 天符「雨の磐船」
- 天符「雨の磐船よ天へ昇れ」
「磐船(いわふね)」とは大阪府交野市にある磐船神社の御神体「天(あめ)の磐船」から。
大阪府を流れる天野川の渓谷沿いにあり、高さ12m、長さ12mの船の形をした大岩である。
この神社の主祭神は物部氏の氏神である「饒速日命(ニギハヤヒノミコト)」。
この饒速日命が天の磐船に乗って河内国(後の大阪府交野市)の地に降臨したとされている。
弾幕は布都がその磐船に乗って攻撃してくる。ちゃんと船に当たり判定も存在する。
- 投皿「物部の八十瓮」
スペルカードの名前に物部とつくのは、物部の祖「伊香色雄(いかがかしこを)」という人物が崇神天皇に命じられて作ったため。
この八十平瓮は大物主大神を祀るためのものであり、大物主大神は布都のテーマ曲「大神神話伝」の元ネタでもある大神神社の主祭神である。
これらの経緯から察するに、弾幕は皿を壁に叩きつけ、その破片で攻撃しているようだ。
- 炎符「廃仏の炎風」
- 炎符「桜井寺炎上」
この争いで多くの仏教関係の物が破壊されたという。
奈良県高市郡明日香村の豊浦寺(桜井寺)も蘇我氏が建てた日本初の本格的な寺院であったが、その後に流行した悪疫が仏教伝来による国神の祟りとの故に物部氏に焼き払われた。
弾幕はその寺院を焼き払った炎を表している。
- 聖童女「大物忌正餐」
- 聖童女「太陽神の贄」<OVERDRIVE>
10歳前後の童女が務める神職(「物忌」)の一種。神に食事を捧げる役目を担う。
初潮が来ると交代になるが、基本的に生涯独身で神に奉仕した。
また、斎宮の代理として祭祀を執り行うことも多かったとされる
(推測に過ぎないが、元ネタ「布都姫」は石上神宮の斎宮[基本的に成人女性]であったことから、少女化に際し、近しい立場である大物忌としたのかも知れない)。
「童女(どうじょ)」とは幼い女の子、未婚女性のこと。
「聖童女」とは民俗学者・吉野裕子が大物忌を表すに用いた造語と思われる。
「正餐(せいさん)」は夕食のこと。伊勢神宮の外宮で行われる夕大御饌のことを指すか。
関連タグ
東方 東方Project 東方神霊廟
古代日本の尸解仙 大神神話伝
聖童女 召喚「豪族乱舞」(豪族乱舞)