政府税制調査会が16日決定した東日本大震災の復興増税案は、年収が高いほど所得税の負担が重くなる仕組みとなった。すでに所得控除縮小や子ども手当廃止が進んでおり、子育て世帯に負担感が広がりそうだ。
復興増税案は、国税では(1)所得税、法人税の増税(2)所得税と法人税にたばこ税なども加える−の2案で、増税期間は10年。所得税は、所得水準にかかわらず税率を一律に上乗せする「定率増税」方式で、年収が増えるほど負担額が増す。
財務省の試算によると、所得税と法人税だけの増税案の場合、所得税は本来の税率に5・5%を上乗せする。
夫婦と子2人(1人は19歳以上23歳未満の特定扶養親族、もう1人は16歳未満)のサラリーマン世帯では、年収500万円で年4300円、年収700万円では年1万1200円の増税となる。
16歳未満の子が1人いるサラリーマン世帯では、年収500万円の増税額は年間6700円、年収700万円では1万6500円となる。
16歳未満の子がいる世帯の税負担を軽減する「年少扶養控除」は廃止された。「特定扶養控除」の対象である19歳以上23歳未満の子がいる世帯は税負担が軽くなる。
野村証券の池田美香エコノミストは「年少扶養控除の廃止など増税を実施した上での増税。子育て世帯には不利な内容だ」と指摘している。