停電:マニュアル無視に予告なし
電力需要の急増に電力取引所職員が当惑
電力供給に余裕があるにもかかわらず計画停電
5時間にわたり162万戸で電力供給が途絶える
ソウル市江南区にある韓国電力取引所中央給電所は、全国の発電所の発電量や送電・配電の状況を管理するコントロールタワーだ。15日午後2時ごろ、電力取引所の職員は16個の50インチ大型モニターを連結して作った超大型スクリーンを見つめながら、ぼうぜん自失状態となった。スクリーンに表示される電力需要状況を示す曲線がほぼ垂直に上昇していたからだ。午後3時が過ぎると、予備電力は343万キロワット(午後2時から3時までの平均)にまで落ち込んだ。過去最低のレベルだ。予備電力が400万キロワットを下回ると、非常体制に突入することになっている。
予備電力が過去最低のレベルに落ちた午後3時11分、電力取引所の幹部はこれまで経験したことのない事態に当惑した。マニュアルに書かれた内容も忘れてしまった。電力取引所の廉明天(ヨム・ミョンチョン)理事長(元知識経済部〈省に相当〉地域特化発電特区企画団長)は計画停電を急きょ指示した。大規模停電を防ぐため、一部地域を対象に、事前に電力供給を強制ストップする措置だ。しかし計画停電は予備電力が100万キロワット未満に低下した場合に下すことになっている。そのため廉理事長の指示はマニュアルを無視したものだ。しかし電力取引所の中には、廉理事長に対し「まだそのような対応をすべき段階ではない」と進言する人間は誰もいなかった。
指示を受けた電力取引所運営本部のチョ・ボムソプ本部長は、全国にある韓国電力の支社に計画停電を指示した。支社の側も指示内容を確認せず、直ちに計画停電を開始した。マニュアルでは、計画停電を行うには知識経済部から事前の承認を受けることになっているが、予備電力の減少に慌てふためいた電力取引所は事後報告で済ませることにした。電力取引所の関係者は「午後3時に秒単位で予備電力をチェックすると、一時は148万キロワットにまで低下したが、マニュアルには100万キロワット以下に低下することが予想された場合に、初めて計画停電を行うことになっている」と説明した。
国民には計画停電に対する何の予告も説明もなかった。首都圏46万戸、江原道と忠清南北道22万戸、湖南(全羅南北道)34万戸、嶺南(慶尚南北道)60万戸の計162万戸が突然、30分間にわたり停電した。午後4時35分には予備電力が安定状態の400万キロワットにまで回復した。午後7時48分、停電の総責任者である崔重卿(チェ・ジュンギョン)知識経済部長官が国民に謝罪した。午後7時56分、電力供給は正常に戻った。
全洙竜(チョン・スヨン)記者
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