中日スポーツ、東京中日スポーツのニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 中日スポーツ > 大相撲 > コラム・私は見た!一覧 > 記事

ここから本文

【コラム 私は見た!】

SFまがい事件のこと

2011年9月17日

 実は、今場所をここまで面白くしてくれた2人の関脇が、どこまで力をつけているのか、まだ信じきれない感じを残していた。相撲をはじめとしてスポーツ選手にファンとして気持ちを入れ込む場合にはよく起こることなのである。

 ファンとして、このくらいの実力はついていると信じたい。だが、まだ信じきれない部分を残している。それは信頼と不安とのはざまにファンを追いやって、かなりの苦しみを強いるものなのだ。

 秋場所の5日目は、まさにそういった感じを好調2関脇のファンにかみしめさせることになった。ところが、その結果が出るまでの時間の経過が、あれかこうかと、注視するファンの気持ちを勝手に揺さぶるのである。

 こんなことは時間を逆に流れるものだと考えれば問題もないものになってしまうだろう。勝負の行方に気をもむファンの気持ちを先行させて、結果から逆に考えてみることにしたらどうだろう。6日目の2関脇の相手2人は、この秋場所でもとりわけ難敵だとされる実力者だった。よりによって2人の相手を並べて、仮に一方的な勝負を成し遂げられるようならどんな励ましになるのか計り知れない。しかし、そんなことは所詮夢の中の話のようなのだ。

 だが、現実とは進行を逆にした展開はそう簡単に手に入るものではない。そんなばかげたことを考えるなど、無駄に近いと後悔しかけたのだが、なんと現実はさらに劇的な展開を見せてしまった。ライバル2人が、2人とも夢の中の夢同様に、時間の進行を逆行させることに手を貸してくれたらしい。

 それが、現実としてあるのかどうかは別として、いってみれば奇跡に近いことを、われわれは目にするわけだが、そんな表現は無礼に近いが、時間の進行を自在に操るものがなければこんなことがあるはずがない。一瞬だが、そんな気持ちにさせられたと、なんとなくSFまがいのことを書いたが、一体この“事件”はどんな展開につながって行くのか。それは私にもわからない。 

  (作家)

 

この記事を印刷する

PR情報

Ads by Yahoo!リスティング広告



おすすめサイト

ads by adingo




中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ