停電:平穏な午後、暗黒の5時間(上)

 「まるで恐怖映画のようだった。完全にストップした真っ暗なエレベーターの中に5時間20分も閉じ込められていた。5歳の子供は驚いて泣き叫び、エレベーターが突然落下しないかと恐怖に震えた」(ソウル市城北区の主婦・37)

 15日午後に予告なく発生した全国的な停電で、韓国全土がまひした。午後3時ごろから各地で突然停電が起き、都心のオフィス、商店街、工業団地の小規模工場、野球場、映画館、ショッピングモールなどが大混乱に陥った。主な病院では、非常用発電機を稼働させ、大きな問題はなかった。

■「エレベーターから出られない」 通報殺到

 午後3時10分ごろに突如停電が始まり、ソウル市の江南区、永登浦区一帯では、エレベーターが止まる事態が続出した。同時に消防署には119番通報が殺到した。消防防災庁によると、午後6時までに全国で「エレベーターに閉じ込められた」との通報が944件に達した。ソウルだけで365件の通報があった。保険会社に勤務するユン・ヨンスさん(41)は「客との約束で外勤に出たが、エレベーターに30分以上閉じ込められた」と話した。

■消えた信号、道路は混乱

 信号が消え、都心では車の流れが混乱した。ソウル市江南地区の主要交差点、永登浦区一帯、新大方洞などで信号約250カ所が消えるか誤作動し、各地で渋滞が起きた。基地局の停電で携帯電話も一部が不通となった。会社員(57)は「携帯電話を使用中に『受信不能』というメッセージが出て、30分以上電話が使えなくなった」と話した。

■野球場も真っ暗に

 午後6時半ごろ、ソウル市の木洞球場では、プロ野球ネクセン対斗山戦が試合開始から14分後に停電のため中断した。1回裏のネクセンの攻撃中に全ての電気設備が使えなくなり、観客は停電が復旧する午後7時50分まで暗闇の中、席に座って待つしかなかった。観客(32)は「試合があるのを知っているのに、球場の照明まで消してしまうのはあんまりではないか」と不満げだった。

野球場の照明が消え、選手も観客も慌てた表情。ソウル市の木洞球場で行われていたプロ野球ネクセン対斗山戦は、停電で試合が中断し、斗山の選手らはグラウンドに座り込んで、停電復旧を待った。/写真=キム・ジェヒョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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