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生まれた
2010年
3月18日 13時ごろ 
赤ちゃんが 生まれた。

軽い陣痛が始まってから9日目。

陣痛が本格的になったのは、この日の明け方。
この時点で間隔は15分くらい。

8時50分には10分間隔をきって、「きつい。」と言ってスパッツを脱いだ。
陣痛の長さは、2、30秒程度。

私は一通りの準備を済ませ、ポコを連れて軽食等の買い物に出るが、
11時ごろに「もうすぐ生まれそうだから、戻って。」と電話が入り、急いで帰宅。

11時45分に風呂へ移動。
ポコもお風呂に入り、美和も話をしたり、余裕がある。
私は外で控えて記録をとったり、飲み物を作ったり。
(この間は美和が集中するときなので、私はなるべくそっとしておくのだ。)
40秒ほどの陣痛が6分間隔で続く。

今回の飲み物は「韃靼そば茶」が好評。
なにせ「ルチンがそばの1000倍」とか?
ルチンは眼にいいらしい。
妊婦は目を悪くすることが多いらしい。

前回好評だった「梅ジュース」と「梅醤番茶」も用意したが、「いらない」とあえなく却下。
妊婦は、好き嫌いがハッキリして、自分の要求に敏感になる、と多くの人が書いている。
それが実現できるように努めるのが、介助者の役目なんだと、梅ジュースをすする。

陣痛は、50秒、55秒とだんだん長くなり、
間隔もいまや2分をきってきた。

美和の出す声は、う~ん、と、あ~ん、の間くらいの声で
痛みから叫び声をあげているだけではないように思える。
セックスの喘ぎに似ているとも思える。

お産は快感だという人もいるが、そういうことは声そのものにも似ているのだろうか。

私はこの声を聞くと、ああ、もう生まれるんだな、と思う。
ストップウォッチでこの喘ぎ声とその間隔を計り、記録する。

声が一段と大きくなり、陣痛の間隔が陣痛の長さと入れ替わるころ
(陣痛の長さが間隔よりも長くなったころ)、
お呼びがかかる。「玄さん!」

はいはい、と私は服を脱いで風呂に入る。
湯船の外から美和を抱く。
風呂桶越しに美和は私の肩にしがみつく。
私は美和を支えながら、腰に愉気する。

私にはさしてできることは無い。
ポコが心配そうに「こわい」と言いながら、美和の顔をなでる。
美和はポコの冷たい手が心地よいらしい。

声はだんだん大きくなり、間隔は短くなる。
外に聞こえてるんじゃないか?
風呂の外はすぐに道路だ。
勘違いして警察でも呼ばれないか?
と心配してしまう。

やがて美和が「膜がでてきた。ポコちゃんの時と同じ。」という。
股に手を伸ばすとぷにゅぷにゅした膜が出てきていた。
卵膜だ。

普通は子宮の中でこれが破けて破水となるが、
美和の作る卵膜は強いようでポコのときも破れずに出てきた。
私は、これは美和の健康な証じゃないかと勝手に思っている。

それから陣痛が三回ほど過ぎて
「頭が出るよ、受け止めて。」
と美和が言う。
あ~、と叫びながら膣がゆっくりと開き、頭がゆっくりと出てくる。
まだ膜に包まれている。

2回ほどの陣痛で、頭が首まで全部出でた。
そこで一呼吸。
次に肩が出て、次の陣痛で手が出たと思うと、その手がすいっと泳ぐように水をかき、
全身が私の手に滑り降りてきた。

ここまでは眼で見たのではなく、手で感じていたことだが、
赤ちゃんを引き上げやっと眼で見る。

首にへその緒が絡まっているので解く。
二重に巻きついていた。
こういうことはよくあるらしい。

顔を下に向けて口や喉、鼻に詰まった羊水や粘膜を吐かそうとするが
なかなかうまくいかず、ぜーぜー、ごぼごぼ、と呼吸のたびに音がする。
美和は赤ちゃんの小さな鼻に口を当てて中の粘液を吸った。
ガーゼで拭いたり、下を向かせるうちに音も小さくなってきた。
顔にも赤みが差しているので大丈夫だろう。

お湯から引き上げると泣き出す。
おそらく寒いのだろう。
お湯の中に戻すと泣き止むが、水面が近くて、ちょっと油断すると水を飲んでしまう。
仰向けにお湯に浸かって、うっすらと目を開けた。
ポコが指差しながら「かちゃん、かちゃん!」と叫んだ。

美和は開いた尾骨が浴槽の下に当たって痛いようで、なかなか位置が安定しない。

胎盤はまだでないが、リビングに移動して横になることにした。

(続く)






by genagain | 2010-03-18 20:12 | お産について | Trackback | Comments(0)
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