2011年09月12日

久米島の何を、応援するプロジェクト?

久米島ホタル館の上流域は、元々、一部は牧草地の周囲に原野が広がる

河畔林に囲まれた自然な川でした。

そこは、湧水のある盆地であるため、牧草は育ちにくく、

牛の食べない湿地に生える草がはびこるようになってしまったそうです。

それで、耕作者は、仕方なく、牧草を植えかえるために、

地元のユンボオペレーターに、耕作を依頼したのですが、

その依頼したオペレーターが、あろうことか、周辺の河畔林をなぎ倒しながら

川の際まで、裸地にしてしまったのです!ムキー



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私たちが、まだ、僅かに残されていた樹木を切らないようにと、

耕作途中のオペレーターに掛け合いに行きましたが、


      先月までのホタル館の上の牧草地の状況

「はい、はい」と愛想のよい返事とは裏腹に、翌日には、

河畔林は全て、なぎ倒されていました。


  工事直後の状況





このオペレーターは、以前にも、隣の川の中流の畑で、開墾をしていて

その時にも、赤土流出の防止対策をお願いしたことがありました。

でも、その時に声をかけたことが気に入らなかったために、

今回の様な、嫌がらせめいた事をしたらしいと、ある人から聞き、

とてもショックでした。ぐすん











おまけに、ある地元の有力者は、私の方の対応が悪いから仕方ないと、

オペレーターを擁護しているそうです。

久米島の川の際まで開墾するような畑の耕作方法は、誰が考えても

雨が降れば、赤土が流れ出します。











そして、その被害をこうむるのは、間違いなくその川で生きている

生きもの達や、そのつながる海の環境の生きもの達ですし、

そこに生計を見出している多くの人々も、

関連しながら被害をこうむることになります。


 
  雨がまだ降っていない現在のホタル館の様子












   雨が降って、対策なしで赤土が流れれば、この状況は全て失われます

そして、当事者である耕作者でさえも、大切な土壌を失う事になるのです。

島の有力者なら、私の言い方や態度を問題にするよりも、

もっと、島のために考えなければならない、大事な事があるでしょうに・・・・。






ここは、浦地川中流です。道や小橋の河畔林がなぎ倒されました。下流にはホタル館があります。








この下は、川です!

こうした一部の人達が、今でも、久米島の自然や里山(田園)環境の保全・再生が、

島の産業振興や、発展の足枷になると、旧態依然のまま信じている現状を

出来るだけ早いうちに変えていかなければ、残念ながら、自然や生きもの達は、

私たち人間の都合良く、待っていてはくれません。

「よんな~どぉ、なんくるないんどぅ」

(ゆっくりね、どうにかなるからね)は、自然相手には、通用しないのです。

さらに、旧道の河畔林(上写真)も別の農地の河畔林(下写真)も状況は本当に深刻です。










久米島町の許可を得て河畔林に設置されていた琉球大学の水質検査機械も壊されていました。

幸いな事に、ホタル館に隣接する牧草地の耕作者は、以前から、良く知っていたので、

説明すると、赤土対策への対応の申し出に快く応じてくれました。





実際の作業については、『久米島ホタルの会だより』で報告しているように、

久米島町の職員や、建設関係者の皆さん、ホタルの会や島人のボランティアの協力で、

ブルーシートのマルチングを行う事を続けています。





しかし、本格的な赤土対策を行うためには、長年の経験を持っている職人や

防止対策用の資材が、必要なため、最低限のお金が必要になります。

そこで、『久米島応援プロジェクト』や、『久米島の海を守る会』へ、

浦地川の赤土流出防止対策への協力を、お願いしてみたのですが、


  町議会議員も見に来てくれました。

とても、とても残念な事に担当者の方からは、「ぜひとも応援しますよ!」と快い返事ではなく、

「応援プロジェクトは、こうした対応には使えません。」というあっけない答え。がーん


  今年の夏キャンプ、この風景も川が赤土で埋まってしまえば失われます!

「はぁ~、それって、何?」

今、現実、島でただ一つの生きたきれいな川を救えないなんて、

今ならできるし、やらないといけない赤土対策への積極的な協力が出来ないなんて、

信じられません!考えられません!絶滅寸前のキクザトサワヘビやクメジマボタル、

(ともに沖縄県指定の天然記念物)、
  久米島ホタレンジャーが保護したサワヘビ


  無事に保護区に放流されたサワヘビ

さらに、クメジマオオサワガニ、クメジマミナミサワガニなどが下流域まで生息している

島の宝と言える浦地川を本当に困っている今救うことのできない応援プロジェクトとは

いったい、どういうことなのでしょう?ここは、ラムサール条約登録湿地の入口です!

赤土が溜まれば、クメジマボタルをはじめとする島固有の生きものが生息する川が、

間違いなく生き埋めになってしまいます。

そして、ホタル館の川で遊ぶ、久米島の子どもたちの楽しみさえも、失ってしまうのです!






  ラムサール子ども環境会議で自然を守ろうと、参加しているホタレンジャー

私たちは現在、赤土対策費用が本当に必要なので、応援プロジェクトからの良い返事を

長く待っていました、応援プロジェクトの担当者に言われたので、業者の作ってくれた見積書を、

白保のサンゴ村にファックスで送りましたが、その金額は、その担当者しか知らないはずでした。

その間、海を守る会に、電話をしても、なかなか連絡が出来ません。

そして、役場に事情を報告に行くと、海を守る会の方から、ホタルの会の見積もりよりも

もっと、安い金額で赤土対策をするから、自分達にさせてほしいと連絡があった事を聞きました。

応援プロジェクトにしか連絡していない金額を、海を守る会が知っている事と、

なぜ、私達には相談しないで、役所に掛け合ったのか。

もし、金額が高いと考えたなら、私たちに相談してほしかったと想いました。










 
それを知った私は、あまりの心ない対応に驚きました。

赤土監視員を8年間していた経験から、大切な川を、赤土の流出から守るためには、

現場をよく知っている熟練の職人さんが必要です。

その技術料として、必要な経費は、人を育てるためにも支払うべきだと私は考えています。

そうした予算が必要だからと、必死な想いでいる私達に、

「応援プロジェクト」は、「海を守る会」といったい何を相談しているのでしょうか。

本気で、海を守るために島の事を考えて、赤土の流出を止めるつもりでいるなら、

ホタルの会と一緒に協力関係を築いて共同するのは、ごく普通のことだと想いました。



現在、大雨の心配もあって、赤土対策の工事を進めてもらっています。





『久米島の海を守る会』は、久米島ホタルの会の活動を未だに誤解して、

”商売と環境はリンクしない”とか、

”ホタルの会は、やり過ぎだから、一緒に活動できない”とか、

様々な理由で、反感を持っている会の一部の人達への遠慮から、

どうしても私達の活動を、普通に応援できないというのが本音なのでしょうか。

でも、どうか気づいてほしいのです。

この小さな島で、離島の苦労を分かち合いながら暮らし、

11年もの長い期間、クメジマボタルの飛ばない久米島ホタル館の川で

謂れの無い非難にも耐えながら、子どもたちや島のなかまと、

常に自然の生きものたちのつながりを大切にし、努力し続けてきた私たちの事を、

クメジマボタルを自然に再生させて、飛ばせる事が出来たのは、

誰よりも、自然を見続けている、久米島ホタル館の館長を、専門家として尊重し、

その方法を学びながら支え続けてきたから成果だという事を、



そして、どうか気づいてほしいのです。

久米島の自然を大切にする事で、人の暮らしと心を育みたいという素直な想いが、

私たちの、固く強い信念であるという事に・・・。

何時までも、私たちを余所者扱いするのは、どうか終わりにして、

真剣に、久米島の将来を一緒に考えてほしいのです。







私は、これまで、こうした話を、久米島ホタルの会に理解の無い人達に対して、

直接やり取りすることへの抵抗感がありました。

それは、私自身の中で、どうせ、聞いてはくれないだろうという縛りと

久米島の出身では無いという遠慮が、どうしても払拭できずにいたからです。

しかし、今年、3月11日に起きた東日本大震災は、

こんな、私の心に、とても大きな変化をもたらしました。




宮城教育大学学生と久米島ホタレンジャーとの交流、東日本大震災に学ぶ(8月30日)

崩壊しかけている久米島の自然は、パフォーマンスだけでは、絶対に再生しません。

真剣に自然のつながりを学び、そのほころびを労わるように行動しなければ、

そして、この小さな閉ざされた島では、島で暮らす人々が協力し合わなければ、

本物の豊かさを分かち合うことは不可能です。







しかし、小さな島の中で、諍いを避けたいという気持ちは、私自身、誰よりも強くあります。

そして、人の感情が、思い通りの理解につながらない事も、事実だと知っています。

しかし、それでも、私たち人間が、この地球上に生きる生きものたちと

同じ生命体である限り、”自然”という存在の必要性と、

その存在に対する謙虚さを、絶対に失ってはいけないということが、

きっと、これからも、私達を支える導となる事を信じ、行動し続けたいと想います。





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この記事へのコメント
募金活動をされてみてはいかがでしょうか?

今は久米島からははなれて暮らしているものですが、中学校を卒業するまで島で育ち自然からいろいろと教わることがありました。

島の人と島外からの人との壁が少なからずあるのは知っています。
その確執をすぐに取り除くのは正直むずかしいかもしれませんが、我々30代のわかい世代が積極的に関わっていくことでちょっとづつ変われたらなぁ。と思います。
そして、子供たちに伝えていけたら・・・

今、島にいる同級生や知人にすこしでもこのような事実があることを知ってもらうように努力します。

島のために死力をつくしてくださってありがとう。
Posted by くめーんくめーん at 2011年09月12日 23:52
くめーんさん、コメントをありがとうございました。

涙が出るほど嬉しく、心強いコメントでした、本当にありがとうございます。

若い子育て世代の方から、同じように、久米島の自然を大切にしたいという
切望が寄せられています。
自分達の子どもに、自分が愛した島の自然を、残したいという気持ちは、純粋で、そのための出来る努力をする生き方と、しない生き方のどちらを選ぶかで、引き継ぐ子どもの生き方にも影響があるからと、話していました。
Posted by satou-nsatou-n at 2011年09月14日 07:12
島人ですが、表立って積極的には応援できないんですが久米島の為に頑張って下さい。開墾された場所うまく赤土流出が止まればいいですね。沈砂池も設置したら効果があると思います。
Posted by アカショウビン at 2011年09月14日 09:03
アカショウビンさん、コメントをありがとうございます。

仰るように、本当は、沈砂池を作りたいですが、これ以上、耕作者に迷惑をかけることはできません。
だから、本当に、ボランティアと職人さんが一緒になって、知恵を出し合いながら、最大の努力をしています。

現在、台風が接近しています。
自然から受ける痛手を、防ぎきれるとは思っていません。それでも、手を尽くす努力を、私たち人間は、これまでやってきて、これからも続けていく事で、未来を夢見る事が出来ると信じています。応援、本当にありがとうございます。
Posted by satou-nsatou-n at 2011年09月14日 10:42
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