韓国の旧日本軍慰安婦らが日本政府に補償を求める個人請求権の問題で、韓国外交通商省の趙世暎(チョ・セヨン)・東北アジア局長は15日、日本大使館の兼原信克総括公使を呼んで政府間協議の開催を公式に求めた。日本政府は「日韓国交正常化交渉の中で解決済み」と回答した。
韓国の憲法裁判所が8月末、韓国政府が日本と個人請求権をめぐる交渉を行わないことは「元慰安婦らの基本権を侵害している」とし、憲法違反との判断を示していた。1965年の日韓国交正常化時の請求権協定は「完全かつ最終的に解決された」としているが、韓国政府は、慰安婦問題などは交渉でほとんど議論されず「協定の対象には含まれない」としている。
これに対し、山口壮外務副大臣は15日の記者会見で、問題は解決済みとの日本政府の立場を韓国側に伝えたことを明らかにした。また、95年に官民合同で設立した「女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)」(2007年に解散)で元慰安婦に償い金を支払ったことに関連し、山口氏は「韓国の場合は受け取らなかった方が多いことが影響しているのかもしれない」と述べた。