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[29663] バカと新風と最後の一年
Name: シン黒男◆649629f8 ID:12b9ad07
Date: 2011/09/08 15:23
どうも初めまして。この物語は明久達が3年になった時の話でとある魔術の禁書目録から上条当麻をメインキャラに加えたいわゆるコラボ小説となっております。

禁書のキャラは上条以外にもちょくちょく出していく予定でカップリングは
明久×美波や秀吉や姫路といったカオスな感じから〇〇×優子(字数はスペース通り)といった新カップリングなどで推し進めていく予定です。

何卒宜しくお願いいたします



[29663] 第0問 僕と転校生と新・Fクラス
Name: シン黒男◆649629f8 ID:12b9ad07
Date: 2011/09/08 16:34
桜咲き誇るこの日。この光景も見慣れたなぁとか今年で最後の一年かぁとか様々な事を考えさせるこの日、僕等には今までに無いものが待っていた。その時まで何も知らなかった訳だけど。


「よしっまだ遅刻じゃない。全然OK。振り分け試験も中々手応えあったしきっと今年こそ卓袱台を見ないで済むはず!!おっはようございまーーす」

張り切って校門をくぐる。この瞬間僕はこれから始まる新しい1年と新しい教室、新しい仲間達と作り上げていく思い出を何ともかぐわしい香りとともにイメージしながら・・・・・・

「うわっ何ていうタイミングに犬のう〇こが!!うわーーーとれない。やばいどうしよう」

何か今年一年もろくな事が起こらなさそうな気がする。その予想は見事にあっていた。僕の最後の1年はここから始まる



「また卓袱台かよーーーー!!」まあそっちの方が見慣れているわけだけど。もっと別のが待っていてもいいんじゃない?とか思いながらとりあえず空いているスペースに座ると
「おう、明久。またFクラスか。何と言うか腐れ縁だな」
2つほど前の卓袱台から耳にタコが出来るほど聞きなれたいや聞き飽きた声が
「雄二もFクラスになったの?Aクラスに勝つために勉強したんじゃ?」
「明久。あの程度の付け焼刃な勉強でAクラスを取れるはずがないだろう。あの時勉強した事も今じゃどっかに飛んでったよ」
「現実は厳しいね。あれ?でも何か見渡す限り去年と同じメンバーが多いというか全く変わってないような雰囲気がするんだけど」
雄二だけでなく去年僕とともに試召戦争を戦い抜いた戦友たちが揃っている。

「明久よ。おはようなのじゃ」
その1人。僕の最高の想い人の秀吉だ。3年生になって背が伸びたのかより美しくなっている気がする。
「あ、おはよう。秀吉もFクラスなの?」
「そうじゃな。ムッツリーニに島田に姫路もおるぞ。なんと言うかやっぱり腐れ縁じゃのぉ」
「ほんとにね。あ、皆もおはよう」
気がつくと僕の卓袱台の周りにいつものメンバーが集まっていた。
「……秀吉、大人の美しさ。相場上昇……」
「おいムッツリーニ、新学年初日から絶好調だなお前は」
「明久君。おはようございます」「あ・・・アキっおはよう!」
「おはよう、2人とも」
いつも通りの光景だ。でも2人ともやけに張り合っているような感じがするのはなぜだろう?
「………みっ見え……見え……ないっ!くそっ」
そしてこれもいつも通り。新学年早々写真をとりそこねたムッツリーニは
「……すまない。明久。期待に応えられなくて……」
「いやいや、期待してなんかしてないし!!」
「アキ!あんたが変態だって事は前々から分かっていたけど今日という今日はそれを叩きなおしてあげるわ!!」
「わーー!!今年の美波の関節技はさらにグレードアップしていて体の節々が同時決壊するような痛みがぁぁぁぁ!!」
「ところで雄二よ。今年もお主がクラス代表かの?」
あと少しで落ちる所で秀吉の質問のおかげで美波の関節技が止まった。助かったぁぁ
「いや違う。今年の代表は……お前の姉貴だな」
「あ、姉上!?姉上は今年もぶっちぎりでAクラスのはずじゃが・・・」
「どうやら真実みたいだよ。秀吉」
きょろきょろ見回している秀吉に僕が指を刺して彼zy・・・彼のお姉さんの居場所を教える。その先には卓袱台に突っ伏して恐ろしいほど暗いオーラを漂わせて「絶望」と言う言葉が今1番あってそうな木下さんがいた。
「詳しく聞かない方が姉上のためじゃの」
「まあ、そうだな。でも代表が誰にしろ今年もシステムデスクを狙っていくとしますかぁ」
「……耳寄り情報がある」
皆それぞれ座ってたところに戻ろうとした時ムッツリーニがそんな事を言った。
「耳寄り情報って何?秀吉が女の子になったとか?」「明久よ。ワシはどこまでも男じゃぞ」
ムッツリーニは2秒ほどためてから

「……ここ、Fクラスに転校生が来る」

『て、転校生ぃぃぃ?』
転校した教室が卓袱台とかなんて可哀相な人なんだ。でもその転校生って男かな、女の子かなぁとか考えていたら……

「うぃーっす、て、どういう風の吹き回しだこりゃ。早速不幸な学園生活の予感がして来たぞ」

入口の障子を開けた見覚えの無い僕くらいの身長のツンツン頭の少年が立っていた。

「まあいいや。で、俺の席はどこだ?なるべく日当たりのいいところがいけど名前とか張ってあんのか?」

机に名札でも張られてるとでも思っているのだろうか、だとしたら速く教えてあげないと

「あの…君」「おお、初めまして。俺、上条当麻。どういうわけか学園都市から転校してきてな。それより俺の席どこかしらねぇか?見つからなくてさぁ」

「その…いきなりこんな事言うのもなんだけどこのFクラスは座席とか関係ないからね。好きな所に座っていいよ」

『上条当麻』と名乗った少年はしばらく「へ?」て顔をしてから

「そうかそうか。大分自由度が高いんだなぁ文月学園は」
「いや、このクラスが1人1つずつ専用の机が支給されてないだけだけど」
「うわぁぁぁさすが文月学園!!さっき間違えて今みたいなノリで入った所はまるでお城かと思わせるほど豪華だったのに!うわぁぁぁ不幸だぁぁぁ!!」

凄いノリノリの人だな。これが僕の『上条当麻』、すぐ後にカミヤン、アキと呼び合う仲になる彼への第1印象であった。

「まあ落ち着けよ。転校生。名は……上条といったか?俺は坂本雄二だ。以後よろしくな。俺の事は苗字でも名前でも構わないがこれも何かの縁だ。お前の事を名前で『当麻』と呼んでもいいか?」
「ああ、いいぞ。よろしくな雄二」
「ワシは木下秀吉、男じゃ。下の名前で呼んでおくれ」
「おお、よろしく秀吉。ていうかあんた男だったの!?だったらゴメン。おろかな上条さんはあなた様をてっきり女性かと思い…!!」
「まあ世間一般からはそう見られているようじゃがの、当麻。これから気を付けてくれればいい」
「……名前、土屋康太。あだ名はムッツリーニ」
「凄いあだ名だなぁよろしくムッツリーニ」
「……こちらこそ。これ」
ムッツリーニが名刺のようなものを渡す
「何々……『ムッツリ商会勧誘文でアドレスが………で様々な写真を取り寄せています』か。試召戦争のシステムを取り入れてる文月学園も凄いけどこんな裏稼業をやっているムッツリーニはもっと凄いな。で、そっちにいる2人は男達の彼女?」

「なっなにを!ウチがこんなバカ達の彼女なんて・・・!!」
「そうですよ、絶対にありえません!!」

「そうか……雄二達はバカなのか」

「まあFクラスだしな。それにクラスを決める基準が今年は何かと厳しくなっていて総合教科の点数が上がってるし全教科の平均点数もクラスを決める要素に含まれてたりもするから一部例外はいる。姫路や島田とかだな」
「じゃあ、姫路に島田は本当は頭がいいのか」
「姫路は飛びぬけるほど頭が良いが自分の意志でFクラスにいるんだ。島田も数学にかけては秀でているがソイツ、ドイツからの帰国子女で古典とかは壊滅的なんだ」
「へぇ何か俺が前居た学校みたいだな」
「君の学校もオバかさんなの?あ、僕は吉井明久ね」
ここで会話を盛り上げると彼といい関係になれるはず…!!決して同姓で、と言う意味で

「バカ中のバカの明久に言う権利はないよな」
「ちょ、雄二!!今僕を花で笑ったでしょ!!」
「アキはもっとバカなんだな……」 「え、ええ!?」 「ん?島田何かおかしいか?」
「いや、別に構わないけど……」
「その名前は美波が僕を呼ぶときのあだ名なんだ。別にその名前で呼んでくれても構わないけど。じゃあ僕は……そうだねぇ君が上条君だから『カミヤン』とか?」

数秒ほど沈黙し

「明久、おまえな」 「え、僕のセンス駄目だった!?」
「いや、別に。それ前の学校の時のあだ名だし、偶然ってあるもんだよな。ああそれと秀吉。さっきから気になってたんだがお前がこのクラスに2人いる気がするんだけど。双子のお兄さんか弟?」
「双子と言う点はあっておるが姉上じゃの。世間からは一卵性かと疑われておるが男女の一卵性はありえるもので無く……」
「そうか、やっぱり秀吉は女なんだな」 「ち…違う!!ワシはどこまでも男なのじゃ!!」
「……必死に否定する秀吉もまた可愛し(パシャパシャ)」
「何か、このクラスは色んな意味で凄いな。でも秀吉のお姉さん、やけに暗いオーラを漂わせている気がするが」
「……姉上は去年まで模範的優等生。じゃが話せぬ事情のせいでFクラスに転がり落ちたというわけじゃの『でもここも結構いいじゃん。声かけてくるよ』待つのじゃ当麻!!姉上を刺激してはならぬ!!」

秀吉が止めたのだが遅かった。

「よう……秀吉の姉さん?俺、上条当麻。転校生」
「……上条……当麻……」木下さんが小さい声でカミヤンの名前を復唱する。
直後カミヤンはにっと笑って

「ま、何があったか知らんがそう落ち込むなって。ここも『住めば都。だぞ』」
「…………」木下さんは顔を真っ赤にしてから

「……死になさい!!!」

「どわぁぁぁぁ!!このクラスは初対面に関節技をかけるようなデンジャラスなメンツがのぉぉぉぉぉ!!そこは、そこはだめぇぇぇぇぇぇぇ!!」

ぎりぎりと関節がしまっていく音がする。ああここから目を覆いたくなるような暴力シーンが展開されていき彼の体はボロ雑巾の様に・・・

「授業を始める!!おお、上条。来ていたか。でも何で木下優子ともつれあっているんだ?」
担任である西村先生こと鉄人が入ってきた
「はは、おはようございます、先生・・・・・・ぬわぁぁぁぁ!!」
鉄人はふぅとため息をついて
「木下。あまり暴力をしてはならんぞ。それより皆好きな席につけ。さっきも言ったとおり授業を始めるからな」
鉄人がパンパンと手を叩くと観戦していた他の仲間達も散り散りに移動し始める

「……ちっ、今日はこの辺にしといてあげるわ」
「ゴホッゴホッ……死ぬかと思ったぜ」


僕等の伝説はこの何気ないやり取りから始まった。



[29663] 第1問彼と役目と彼女の気持ち(1)
Name: シン黒男◆649629f8 ID:12b9ad07
Date: 2011/09/13 20:56
鉄人こと西村先生の合図で皆自由に座る。皆が座ったのを確認してからみんなを見回しながら言った。
「もしかしてとは思っていたがまさか去年とほとんど変わらない面子になるとはな。どうやら今年からクラスの基準点数が上がったのとクラスを決める際に全教科の平均点数を用いるというシステムが導入されたらしいが…まあいいだろう。知っての通り俺が担任の西村だ。俺の手にかかればお前らが卒業する頃には立派にAクラスを肩を並べている事になるだろう」

ぞわぞわぞわっ……周囲からそんな雰囲気が発せられる。いきなり鬼授業フラグを立てられるたんだからね。クラスメイトの反応もお構いなしで西村先生…鉄人は話を続ける。
「変わったといえばもう分かっているだろうがまず転校生だな。上条、自己紹介を頼む」
「学園都市から来ました。上条当麻です。よろしく」
よく通る声でカミヤンが自己紹介したあとペコリと頭を下げた。クラスメイトの反応は

『宜しくな。上条』『いい1年にしようぜ』『初日から関節技とはご愁傷様』
『ようこそ異端審問会へ』『いや、上条はもう異端者だ。このクラスのルールを教えてやらねば』

かなりいい感じだ。よく分からない言葉も混じってるけどその辺は気にしてなさそうだから大丈夫だろう

「それから新しいクラス代表だな。木下優子、出て来い」
「あっ……はっはい」
多少びっくりしてはいたもののそのあとは普段の気品溢れる木下さんフォルムで教卓への道をゆっくりと歩み始めた。
「姉上よ、大丈夫かの?」
隣の僕にしか聞こえないような小声で秀吉が心配そうに呟く。木下さんは大丈夫と言ってからふっと笑って
「バカな転校生が『住めば都』なんていったからね」
と僕にも聞こえなさそうな小声で返した。
「そうか、姉上もいい男と出あったかも知れんぞ?」
この言葉には答えなかった。この時木下さんの顔はかすかに赤く嬉しそうな感じだった気がするけど。考えてる内に教卓に上がり、

「私がFクラス代表木下優子。まあ色々あってFクラスに来たわけだけど目的はあなた達と同じ、打倒Aクラスよ」
さっきまでざわざわしていた皆が静まり返る。秀吉に劣らない凛とした声のせいだろう。
少し間を空けてから
「その為なら使える人、ものは使う。アタシが代表で作戦総司令長なら坂本君には総司令官を任せようかしら」
『おおっ。坂本と木下優子の二段構えか』『コイツは期待できそうだぞ』
クラスメイトの気体の声を浴びる中雄二はもったいぶった感じで
「任命感謝する。全力を尽くそう」
「それと去年このクラスの部隊長だった秀吉、吉井君、須川君。副隊長である島田さんや主戦力の姫路さんにも今年も頑張ってもらうわ」
ぱちぱちと拍手が鳴る。
「……それから上条。あんたにも秀吉達と同じ役目を」
「え……おっ俺?転校したてでこう・…召喚獣の操作とか慣れてないし……」
言い終わる前に
「新システムの1つにレベルアップシステムがある。相手クラスとの試召戦争模擬戦争、対戦後に点数を対戦前の状態に戻せるクラス内での模擬戦争でレベルを上げて強くなれるの。上条には秀吉達に追い付ける様めっちゃ頑張ってもらうわ」
何かカミヤンだけ僕等より扱いが酷い気がする。知って知らずか
「何か面倒臭そうだけどそれで勝てるのなら俺も全力を尽くすぜ」
「よし。これで役割分担は終わったわね。では早速来週のこの日にEクラスを攻めようと思うの」
再び周囲がざわつく。その様子を見て鉄人は
「今日は特に自習だから時間を気にしなくて良いぞ。でも一応授業用プリントは用意しているが」と言った
「ありがとうございます、西村先生。じゃあ続けるわ。Eクラスを攻撃する理由は他にこのクラスを狙っているクラスがいるからよ」
皆は頭に5個くらい「?」マークを浮かばせているが僕にはそのクラスにとても心当たりがあるおそらく小山さんのクラスだろう。木下さんの言動からして今年もクラス代表になったのかな?
「その狙っているクラスは万全の体勢を整えて攻めてくるでしょう。Eクラス戦でレベルアップとウォーミングアップをした後その後の回復試験で減った分を補給して万全の体勢にしてからCクラスを向かえるという考えね」
「なるほどな。で、どの教科でEクラスと戦うんだ?」
雄二の質問に対しても用意していたとばかりに
「私達の来週のこの日の授業…英語とEクラス担任が受け持つ世界史ね」
とすぐに答えた。
「でもそれが外れた時だよ?」
この僕の質問にも木下さんは顔色変えず
「英語も世界史も昼休み中残ってもらえば良いわ。Eクラスの先生は昼休み中教室にいるっていうしね。その先生に担任を頼んでもう1人の先生に立会人になってもらうんでしょ。この旧校舎じゃ張れるフィールドは多くて2教科だからね。外れる事はないよ」
「……頼りになる」
今まで口を開かなかったムッツリーニが木下さんを賞賛する。彼女はありがとうと返して
「それじゃ宣戦布告に行ってもらいましょうかね?」

「見ないでっ!!皆僕の方ばっかり見ないで!!」
「そういうのは明久しかいないよな」「適任じゃのう」「……お前しかいない」
「皆酷い!!でもこのクラスの代表は木下さんだ!!決める権利は彼女にある!!」
そう言って木下さんに助けを求める視線を送る。気付いてくれたかな?
「確かにアタシも吉井君かなぁって思ってたけど……上条。お願い」
助かったぁぁぁぁ。でもほんとカミヤンはかわいそうで損な役だなぁ彼だけ呼び捨てだし
案の定カミヤンは嫌そうな顔をして
「それは駄目だ!!部隊長ならまだしもアキのあの反応から決してまともじゃない役目な気がする!!」
じたばた暴れるカミヤン。『抑えようか?』と美波や姫路さんが言ったが今後の彼の学園生活の為丁重にお断りしてもらった。今度は雄二がカミヤンに肩を置いて
「大丈夫だ当麻。軽く集団リンチされるだけだから」
「大丈夫じゃない!!集団リンチを『軽く』と言う理由も分からない!!俺は喧嘩では1対2が限界で1対3ともなれば迷わず逃げ出す腕なのに!!!絶対にいや……『バックドロップ!!』じゃなぃぃぃぃぃぃやりますやりますともやればいいんでしょう!だからこれ以上上条さんの精紳と骨を折らないで下さい……かくん」
彼は力なく倒れこんだ。
「あぁごめん上条やりすぎたわ。大丈夫ーー?」
心配そうに近寄る木下さん
(ワシにアレ決めた時はそんな事言うどころか『はあ、はあまだ足りないわ』とか言っておるのに…姉上は当麻に何か明久とは別のものを抱いているのじゃろうか)
こうしてカミヤンは力ないふらふらした足取りで教室を出て行った

               ☆
彼が出て5分としない内に廊下から
「ぬぅぉぉぉぉぉぉ!!!『がぁぁぁ!』くそ!!追っ手は出来る限り減らす!!死に腐れ!!!『ふごぅ!!』」バタン!!(←必死に障子を開けて閉める音)
髪も息が荒れまくったカミヤンそんな彼に最初にかけた木下さんの言葉が
「どうだった?何時に受けるの?」
残酷すぎます。さすがに心配してください。彼は転校初日ですよ
「問題ない。相手の戦闘能力が低かったから助かった」
……あれ?
「手始めに掴みかかった3人の内1人の(ピー)を蹴り潰してびっくりした残り2人を押し倒した後集団で迫ってくる5人の先頭に机を投げたらまるでドミノの様に倒れて悶絶したんだ。そのあとクラスの半数以上が一斉にかかってきたわけだから怖くなって逃げて来た所に追っ手の2、3人くらいを殺った」
……カミヤンもしかしてバカ?そして1対2が限界ってのは大嘘じゃないか
「あのぉあんたの戦果報告をするんじゃなくてね」
木下さんだけでなく周りの皆も呆れ顔をする。カミヤンはしまったをいう顔をして
「ああゴメンゴメン。あまりにエキサイティングしたもんだからつい。開戦時刻は3時から、それだけだな」
「そう、報告ありがとう」「……木下?」
木下さんの嘘偽り無い心からの笑顔だとカミヤンは気付いたのかな?
「そうと決まればさっき言ってた2教科に山を張って勉強+レベルアップだな。開戦時刻が3時って事を考慮して6日目は控えめにするから5日間でバリバリやってもらわないとなぁ」

ゴクリ。クラス全員の唾を飲む音がする
(ムッツリーニ。例の物を)
それを見て雄二がムッツリーニにアイコンタクトをすると
「……協力してくれたらアキちゃんと秀吉のNEWバージョンの写真はお前達のもの」

            『力を貸そう!!!』
何という事だ。こういうところで速くもクラスの団結力を発揮するとは。呆気に取られたカミヤン。クラスの団結に驚いてるかと思えば……

「お前ら。男の女装なのにどうしてこんなにはあはあしてるんだ?」

直後僕と姫路さん美波、木下さん、ムッツリーニを含めた雄二以外の全員が彼に粛清を加えた。愉快な断末魔が聞こえる。彼にもきっと分かる時が来るだろう。アキちゃんは別として。そして今日僕等が知った事。それはカミヤンはなにやらとても『不幸』な男であるという事だ。

『ふっ不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

(2)へつづく



[29663] 第1問彼と役目と彼女の気持ち(2)
Name: シン黒男◆649629f8 ID:12b9ad07
Date: 2011/09/14 18:41
そして1週間が過ぎた。この1週間は修羅場という表現が甘すぎるほどの地獄絵図でそれを僕と秀吉の写真だけで乗り切るFクラス男子(一部除く)は最強ではないか?あいつらには餌を与え続けておけばAクラスを普通に倒せるんじゃないかと本気で思い始めている。そんな事を考えながら僕は周囲を見回した。そこにはまるで屍の様に眠りつづけている一部の男子とまだまだやる気満々だぜっ!な、男子と女子がいた。

「雄二ぃぃ聞こえるーー?」

僕は卓袱台の上に転がっている雄二だったものに話し掛けてみる。

「ああ、翔子……新婚旅行など嫌だ……」
駄目だコイツ。夢の世界にトリップしている。とりあえず雄二にはもう少しその夢を楽しんでもらうとしよう。さて秀吉にでも声かけるかな?なんて思い彼『女』の方を向こうとすると

「ったく、あんたらだらしないわね。須川達を見習いなさいよ?」
美波に遮られた。くそっぬかりないやつめ。
「見習えって言ったてねぇ。あいつらは異常なんだって」
「あんたに異常って言う権利はないでしょ」
「それって僕があいつらより異常って事だよね?」
「もちろん」
相変らず酷いやつだ。会話中秀吉の意識がトリップしている事が確認出来た為僕は次なる清涼剤、姫路さんに声をかける。
「姫路さん。この1週間疲れたね。少し休んだら?」
「そうですね。そろそろ休みましょう。ところで明久君。オナカスイテマスヨネ……」
清涼剤が一瞬して毒薬に。まずいっ。ただでさえ夢の世界にトリップして捕らわれているまたはそうなりそうな状態なのにここで姫持さんの料理が来ると真剣に死に繋がる!!
「うっううん!!大丈夫!!全然お腹すいてない!!」
「そうですか、残念ですね」
あっさり手を引いてくれた。いつもならはりきって食べさせてるのにやはり疲れが出ているのだろう。やった、僕らは助かったんだ!!
「じゃあ僕は雄二達と夢の世界にトリップして来るよ。姫路さんもしっかり休んでね」
「はいっ」
やっぱり姫路さんは可愛いなぁ。これで必殺料理人じゃなかったら人畜無害な癒しキャラにより1歩近づくのに……
「さぁて、僕もねるかぁ『ああ、短い日々だったぜ…』あれ?カミヤン?」
起きてるのかな?と思い振り向くとさっきと同じく机に突っ伏していた。雄二同様夢の世界にトリップしてるかな。捕らわれてなければいいけど。
「くそぅ。でもこれも世の定め。いいだろう。あの船に乗って向こう岸に渡ればいいんだな……意外と高いなオイ」
違う。これは夢の世界ではなくて三途の川だ!!早速カミヤンが臨死体験してる!!!
「カミヤーン!!返ってこーい」
脈が止まっていたので心臓マッサージをする。手遅れでなければいいけど。嬉しい事に徐々に心臓の鼓動が復活し始める。
「よし!もう少しだ、もう少しで蘇る。頑張れ!!」
「吉井君。まだ甘いよ」「え?木下さん?」
「こうするのっ!!バックドロップ!!!」
「待って木下さんそれはカミやンの死をより促してしまう!」
側でピクピク震えているカミやンははっと目を覚まして

「……あっぶねぇ。危うく船で渡っちまうところだったぜ!!サンキュー2人とも、いや現実の朝ってやっぱりすがすがしいなぁ!でも体から鈍い痛みが発生するのは何故だ?」
「………知らない方が身のため『アタシがバックドロップを仕掛けたの』だけどぉぉぉ!!木下さぁぁぁん!!」
もしかしたら秀吉より扱いが酷いかもしれない。
「ああ、怖い……現実が怖い…………」
「ほら、カミやンがせっかく帰って来た現実に恐怖を抱いているじゃないか!」
その言葉を聞いて木下さんは最高に愉快な笑い顔から真剣な心配顔になって
「ゴメン上条。ちとやりすぎたわ」
「……まあいいよ。でも何で俺は呼び捨てなんだ?」
作戦を説明する時はすぐ答えたのに今回の質問は押し黙っていて何も答える様子がない。
「…………」

「……うるさい」
おかしいな?と思ったところにその騒ぎで目を覚ましたムッツリーニが迷惑そうに呟く。
「ゴメンゴメン。以後気を付ける」
「……分かってくれたらいい。よし続きだ。待っとけよアキちゃん……」
この夢も危険だ。できれば彼にはもう2度と寝てもらいたくないところだがここは自重しておこう。
元気ぴんぴんな人達も休憩を取り始めたのでFクラス内には静寂が訪れた。

               ☆
ピピピピピピ
目覚し時計の音で目を覚ます。時計を見ると2時45分だった。開戦時刻まで後15分といったところか

「おう、起きたか明久」
先に目を覚ましていたらしい雄二に声をかけられる。
「うん、ところで雄二。夢の中は楽しかった?」
「………言うな。言わないでくれ。もう2度と眠れなくなってしまう」
「それほど酷いものだったんだ。ゴメンね」
「後で貴様の社会的存在意義を根本から消滅させてやる」
「前言撤回。その言葉そっくりそのままついでに箱の中に入れて返してやる」

「秀吉ーー起きろーー」ゴキっ
「あ、姉上……ちがっ……その関節はそっちには曲がらなっ……起きた、起きたから離してほしいのじゃ!!」
あっちは随分バイオレンスな起こし方だ。そしてそれに反応するように
「ああ良く寝た!!もうこんな時間か!!」
カミやンが起きる。よほどトラウマだったんだな。他の皆もわらわらと起き始めた。全員が起きるまでざっと5分ほどかかり時刻は50分となっていた。

「さて。開戦まで残り10分。ここで部隊の配属を再確認しておきましょうか」
だらけていた皆が一瞬にしてしゃきっとなる。切換えが速いのも写真のお陰だろう。最近秀吉どころか僕まで男扱いされてないんじゃないかと心配し始めてきたんだが気のせいだと信じたい。
「先発部隊は坂本君と上条と秀吉ね。中堅部隊は姫路さんを中心に須川君や吉井君をサブリーダーだったわね。中堅部隊の目的は攻めてくる相手からの防衛と相手の消費ね」
「瑞希を攻撃には使わないの?」
「姫路さんに攻撃させたらインパクトが薄れるからね。Fクラス本来の戦力で落としたいの。そうするとこのクラスが個人戦力に頼るクラスじゃないって分かるし他のクラスの牽制になるからね?」
「……情報を入手。Eクラスは廊下側に世界史で固め本陣内に英語を配備している模様」
盗聴器とパソコン片手に敵情視察したムッツリーニが報告する。
「情報ありがとう。後は開戦の時を待つだけね。秀吉と上条と坂本君の部隊は準備してくれる?それと中堅部隊の吉井君を先発部隊に回すね」
座っていた生徒のうち15人くらいが機敏に自分の配属された部隊の隊長の下に集結する。廊下側が世界史であると分かったので僕も攻撃に出ることになった。


ピピピピピ
再び目覚し時計がなる。これは開戦の合図だ。この音と同時に指示がなくとも先発部隊は全力疾走を始めた。

『うぉぉぉぉぉぉぉ!!』
「来たぞ、Fクラスだ!」「隊を3つに分けろ!相手のリーダーを潰せ!!特に坂本は念入りにだ!!あの時の使者もいるぞ!!あいつも潰せ!!」

「俺達も負けないぞ!先頭の第1陣、いざ出陣だ!!」

             『試獣召喚!!』
Eクラスの攻撃部隊の指揮官らしい人と雄二の指示で両クラス一斉に召喚を始める。

「中心にいる坂本雄二をやれぇぇぇ!!」
「坂本、ここは俺達に任せろ!」「横田、横溝!!頼んだぞ!!」
「頼まれた!!くたばれEクラス!!」「所詮はFクラスだ!戦闘力では上回って……
Fクラス  横田アンド横溝   VS Eクラス生徒2人    
世界史100点アンド99点     98点アンド106点
レベル58  アンド55      35アンド43

頭上に参考として表示される点数とレベル。点数はほぼ互角でレベルはこっちの方が上だ

「なっ何ぃ?」 「くたばれぇ!!」

驚く相手にお構い無しで横田君と横溝君の召喚獣が槍や剣を振るい攻撃を仕掛ける。

「わっはっは!痒い、痒い!!」「くそ、点数は変わらないはずなのにレベルが違うから攻撃が効きにくい!!」

相手側も抵抗し攻撃を仕掛けるが横田君も横溝君も相手にしていないようだ。構わず攻めつづけ相手側を戦死させた。

「戦死者は補習ぅぅぅ!!」  「てっ鉄人!!嫌だぁぁぁ!!」
最早定番となっている鉄人に連行されてゆく。右翼側の秀吉部隊の方を見ると

「木下!!相手側が捨て身の攻撃に出始めた!援護を頼む!!」
「ならワシが出よう。試獣召喚!!」
雄二隊より有利な状況ではないようだ。でも秀吉なら大丈夫なはず。カミやンの次に木下さんの目の敵にされていたからね
「木下、悪く思うな!!」
相手側の召喚獣3体が3方向に分かれて息の合った攻撃を仕掛けてくる。
「その台詞はそっちのものじゃ」
本来なら秀吉が押し負けして戦死するはずなのだが
ザクザクザクっ
3つの尖った物が貫通する音が聞こえ倒れたのは相手側の召喚獣の方だ。
「な・・・に?」
「去年と同じではないのじゃぞ」
Fクラス木下秀吉    VS Eクラス生徒3名
世界史 120点   アンド 95点アンド108点アンド103点
レベル 78         30アンド35アンド38

相手とのレベルの差が圧倒的だ…それに点数も普段の秀吉からは想像できないっさすが修羅場特訓、否、地獄絵図特訓。姫路さん以外も十分戦力として活躍する。
その後も秀吉とその部隊の仲間達は相手をばったばったと倒しながら前進を続けていった。

「秀吉、今の君は珍しく男らしいよっ」
後ろから声をかけると
「何を当り前の事を言うておるか。はよう行くぞ」
「そうだねっ」

カミヤン隊の方は

「上条!!覚悟しろ!!試獣召喚!!」
相手が他の仲間を引き付けているうちに単身カミヤンに挑んできたようだ。

「覚悟するのはソッチの方さ!!試獣召喚!!」
相手側の得物は2つの鎌でカミヤンは姫路さんの大剣の長さを重視して細くした…いわば太刀であった。新システムで武器替えが可能になったのでかなりバリエーションが増しているようだ。ただカミヤンの召喚獣は操作に慣れてないせいか少しよろめいている。

「武器の選択ミスだな!!勝ちは決まった!!!」
軽やかな動きで前進させる
「……っ」
長い太刀を構えて召喚獣を突進させ相対するカミヤン。
「正面から攻めるとは愚かな。俺の操作性を舐めるな!!」
「舐めるなはソッチの方だよ!!」
相手の複雑な3段攻撃を太刀を1回振るうだけで全て断ち切った後返す形で相手召喚獣の首を容赦なく切り落とす。一撃だった。
Fクラス上条当麻    VS 金谷勝田
世界史 142点      105点
レベル  88       48

相手部隊の中では高レベルな方だけど残念ながら点数もレベルもカミヤンには及ばなかった。

「貴様、本当にFクラスなのか…?他のやつらも」
「ああ、Fクラスだ。1週間の死ぬほど辛い特訓を乗り越えた正真正銘のFクラスだ。行くぞ、そのままEクラスに突っ込むんだ!!」

「おらおらおらぁ!!軽い軽い、その程度で俺達は落とせないぞぉぉぉ!!」
雄二側も獰猛な叫び声を上げて他の2部隊と一緒にEクラス側に前進を始める。

「「「この戦いは貰った!!」」」

その様子を教室で木下さんが見ていた。不安だったカミヤン隊や秀吉隊が突破に成功したのかほっと溜め息をついて

「2人ともまあまあやるって事ね」

ふふっと笑った。

(3)へ続く 


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