2011年9月15日
滋賀県は14日、関西電力美浜原発(福井県美浜町)で重大事故が発生したとの想定で、放射性ヨウ素の拡散予測を公表した。福島第一原発の事故時に外部へ放出された線量をもとに試算したところ、関西一円の水源である琵琶湖の北部でも、呼吸に伴う甲状腺の被曝(ひばく)線量が屋内退避が必要な100〜500ミリシーベルトになる可能性のあることが分かった。
放射性物質の拡散は美浜原発が立地する福井県付近でも予測されるが、近隣県への配慮から滋賀県内の予測データのみ公表した。また、内部被曝線量が100ミリシーベルト以下と予測される地域のデータも「避難計画の作成に影響しない」として公表しなかった。
今回の予測は、滋賀県琵琶湖環境科学研究センター(大津市)が大気汚染物質の拡散を調べる手法を応用した。福井・滋賀県境から約16キロの美浜原発で2月か5月に事故が起き、放射性物質の放出が6時間続いたと想定。放射性ヨウ素が風速2〜6メートルの北北西か北西の風で拡散したと仮定し、各地の24時間あたりの積算線量を計算した。
その結果、国の防災指針で、内部被曝線量が「避難指示」の対象となる500ミリシーベルトを超えるのは、福井県内に限られた。一方、線量が「屋内退避」が必要な100〜500ミリシーベルトとなる範囲は、2月のケースで滋賀県高島市と長浜市の計約117平方キロに及んだ。また、同程度の線量は、原発から約40キロ離れた琵琶湖の上空まで広がると予想され、近畿1400万人の水源が汚染される可能性があるという。