何を信じていいの? カダフィ政権崩壊をめぐる「偽造映像」騒動
今、ネット上で密かに話題になっている映像がある。舞台はカダフィ政権軍と反乱軍の戦闘で揺れ動いていた8月のリビア。「首都トリポリの緑の広場で勝利を祝う叛徒」と題されたニュース映像である。
この映像では、まず冒頭部分で数秒間、平常時の夜の緑の広場の映像が流れる。次に、別の時間に同じく緑の広場で撮影されたとおぼしき、武器を片手に勝利を喜ぶ群衆の映像が流れる。カダフィ打倒を果たして、喜んでいる人々のようだ。だが、注意深く見ていると、2つの映像に映り込んでいる同じ建物の入り口の形が、微妙に違うように見えなくもない。他にも、冒頭の映像ではたくさん見られた電柱がなくなっていたり、建物の壁の色や、照明の照らされ方も違って見える。
こうした点も踏まえ、「映像は捏造の可能性がある」と指摘するのは、フリーライターの井上静氏である。
「この映像は、8月にカタール国営テレビ局アルジャジーラが放送し、世界中に配信されました。これについて、海外では『(カダフィ政権崩壊後のリビア暫定政権である)国民評議会は、この映像が偽造であると認めた』『アルジャジーラでは(アメリカ政財界に大きな影響力を持つ)ユダヤ人が数多く入り、活躍している』との報道がされています。つまり、ドル、ユーロ体制からの脱却を狙うカダフィ政権を崩壊させる、という利害で一致した欧米諸国が、国際世論を『国民の多くが、カダフィ政権崩壊を望んでいる』と誘導するために、この映像を作らせたのではないでしょうか。アルジャジーラはカタールの国策放送局ですが、カタールは貿易港建設計画でリビアと競合関係にあるなど、このところ経済的利害がリビアと対立しています」(同氏)
それにしても、国際的に配信するニュース映像を捏造するなどということがありうるのか? ネットでは肯定派の意見として、「アメリカの支援のもと、カタールのドーハに作られたセットで撮影されたものだ」と、イランのテレビ局のインタビューで断言していているアメリカの歴史学者・ウェブスター・タープレー氏の映像も見受けられる。
また、7月末〜8月上旬にトリポリにいたというイタリア人女性が、「ロシアのテレビ局が放送したと思われる番組」(井上氏)のインタビューでこう話している。
「私がトリポリに到着した直後から、NATO軍は、テレビ局や病院、学校、民間の住宅への空爆を始めました。また、リビア国内ではカダフィ政権を支持するデモも盛んに行われていましたが、海外メディアはこれらをまったく報じず、反カダフィ政権のデモの様子として報じるメディアもありました」
彼女も、海外メディアの姿勢について、「反乱軍が優勢であるという情報を流し、一刻も早くカダフィ政権崩壊後の新しい政権樹立に向け、国際的な動きを作ろうとする、欧米諸国の活動によるものだ」と分析しているわけだ。
世界各地で発せれた「リビア報道は意図的に操作されている」という指摘は無視できない。だが、一方で、このイタリア人女性に対しては、ネット上で「以前テレビに映っていたカダフィ・ガールズ(カダフィ大佐の女性親衛隊)の1人に酷似している」と、カダフィ側も情報戦を仕掛けてきているとの指摘もあるのだから、何を信じていいのか分らないない状態だ。
「リビアは海外での諜報活動は、あまり得意ではありません。仮にイタリア人女性の証言が、何らかの勢力による"やらせ"だとすると、諜報活動に長けたロシアではないでしょうか。ロシアは、反ユダヤ資本の感情が強く、対抗するイスラム勢力をずっと支援して来ましたから。南アフリカ共和国、ナイジェリア、カメルーンその他のアフリカ諸国は、今年、自前の通信衛星の打ち上げに成功し、独自の通信技術で電話からインターネットまでを利用できるようになりました。これを実現できたのは、石油による莫大な資金を提供でき、衛星打ち上げ技術を持つロシアに顔が利くカダフィがいたからです。これにより西側諸国は、それらのアフリカ諸国からあげていた通信事業収入が年間5億ドルも失われたと言われています。これが原因でNATOはカダフィを攻撃していると、アフリカ諸国では騒がれていますし、おそらくロシアも反発しているのでしょう」と前出の井上氏は説明する。
この映像では、まず冒頭部分で数秒間、平常時の夜の緑の広場の映像が流れる。次に、別の時間に同じく緑の広場で撮影されたとおぼしき、武器を片手に勝利を喜ぶ群衆の映像が流れる。カダフィ打倒を果たして、喜んでいる人々のようだ。だが、注意深く見ていると、2つの映像に映り込んでいる同じ建物の入り口の形が、微妙に違うように見えなくもない。他にも、冒頭の映像ではたくさん見られた電柱がなくなっていたり、建物の壁の色や、照明の照らされ方も違って見える。
こうした点も踏まえ、「映像は捏造の可能性がある」と指摘するのは、フリーライターの井上静氏である。
「この映像は、8月にカタール国営テレビ局アルジャジーラが放送し、世界中に配信されました。これについて、海外では『(カダフィ政権崩壊後のリビア暫定政権である)国民評議会は、この映像が偽造であると認めた』『アルジャジーラでは(アメリカ政財界に大きな影響力を持つ)ユダヤ人が数多く入り、活躍している』との報道がされています。つまり、ドル、ユーロ体制からの脱却を狙うカダフィ政権を崩壊させる、という利害で一致した欧米諸国が、国際世論を『国民の多くが、カダフィ政権崩壊を望んでいる』と誘導するために、この映像を作らせたのではないでしょうか。アルジャジーラはカタールの国策放送局ですが、カタールは貿易港建設計画でリビアと競合関係にあるなど、このところ経済的利害がリビアと対立しています」(同氏)
それにしても、国際的に配信するニュース映像を捏造するなどということがありうるのか? ネットでは肯定派の意見として、「アメリカの支援のもと、カタールのドーハに作られたセットで撮影されたものだ」と、イランのテレビ局のインタビューで断言していているアメリカの歴史学者・ウェブスター・タープレー氏の映像も見受けられる。
また、7月末〜8月上旬にトリポリにいたというイタリア人女性が、「ロシアのテレビ局が放送したと思われる番組」(井上氏)のインタビューでこう話している。
「私がトリポリに到着した直後から、NATO軍は、テレビ局や病院、学校、民間の住宅への空爆を始めました。また、リビア国内ではカダフィ政権を支持するデモも盛んに行われていましたが、海外メディアはこれらをまったく報じず、反カダフィ政権のデモの様子として報じるメディアもありました」
彼女も、海外メディアの姿勢について、「反乱軍が優勢であるという情報を流し、一刻も早くカダフィ政権崩壊後の新しい政権樹立に向け、国際的な動きを作ろうとする、欧米諸国の活動によるものだ」と分析しているわけだ。
世界各地で発せれた「リビア報道は意図的に操作されている」という指摘は無視できない。だが、一方で、このイタリア人女性に対しては、ネット上で「以前テレビに映っていたカダフィ・ガールズ(カダフィ大佐の女性親衛隊)の1人に酷似している」と、カダフィ側も情報戦を仕掛けてきているとの指摘もあるのだから、何を信じていいのか分らないない状態だ。
「リビアは海外での諜報活動は、あまり得意ではありません。仮にイタリア人女性の証言が、何らかの勢力による"やらせ"だとすると、諜報活動に長けたロシアではないでしょうか。ロシアは、反ユダヤ資本の感情が強く、対抗するイスラム勢力をずっと支援して来ましたから。南アフリカ共和国、ナイジェリア、カメルーンその他のアフリカ諸国は、今年、自前の通信衛星の打ち上げに成功し、独自の通信技術で電話からインターネットまでを利用できるようになりました。これを実現できたのは、石油による莫大な資金を提供でき、衛星打ち上げ技術を持つロシアに顔が利くカダフィがいたからです。これにより西側諸国は、それらのアフリカ諸国からあげていた通信事業収入が年間5億ドルも失われたと言われています。これが原因でNATOはカダフィを攻撃していると、アフリカ諸国では騒がれていますし、おそらくロシアも反発しているのでしょう」と前出の井上氏は説明する。
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