【閣僚アキレス腱】古川経財相、摘発業者からの献金など盛りだくさん

★この閣僚の「長所と短所」徹底分析

2011.09.14


古川元久経済財政・国家戦略担当相【拡大】

 古川元久経済財政・国家戦略担当相(45)=衆院愛知2区=は、愛知県の名門・旭丘高校から東大法学部に入学。在学中に司法試験に合格し、旧大蔵省入省という華麗なキャリアを持つ。

 大蔵官僚時代、米コロンビア大大学院に留学したとき、「このままの日本ではダメになる。官僚では何もできない」と痛感し、政治家を志した。30歳で民主党公認で初出馬し、比例区で復活当選を果たした。

 「古川氏が全国区になったのは1998年の金融国会。金融機関の不良債権処理や破綻処理をめぐる与野党協議で中心的な役割を担った。現在の枝野幸男経産相や、自民党の石原伸晃幹事長、みんなの党の渡辺喜美代表らとともに『政策新人類』と呼ばれた」(自民党ベテラン秘書)

 政権交代後は、国家戦略室長や官房副長官を歴任。仙谷由人元官房長官の政策知恵袋として実力をつけて、初入閣した。

 挫折など無縁のようだが、過去に厳しい局面に立たされたことも。

 「04年、偽装牛肉事件で摘発された名古屋の大手食肉卸グループから、計1320万円もの多額献金を受けていた。『便宜供与がなかったのか?』と疑惑を持たれたが、古川氏は否定した」(全国紙社会部記者)

 このほか、消費者金融業界によるパーティー券購入や、パチンコ・チェーンストア協会のアドバイザーを務めたことが問題視されたこともある。

 もう1つ、「古川氏が、野田佳彦首相とともに政治経歴で忘れられないのは、永田寿康元衆院議員の自殺では」と民主党関係者はいう。

 永田氏は2006年の「偽メール事件」で議員辞職し、当時の前原誠司代表と野田国対委員長は引責辞任した。永田氏は09年、政権交代の直前に命を絶ったが、古川氏は、永田氏が議員になる前に自らの公設秘書にしていたのだ。

 さて、古川氏にとって当面の課題は「円高」や「税と社会保障の一体改革」「共通背番号制度の導入」をどうするか。国の経済成長戦略の青写真や、規制改革などの具体策なども迫られる。

 座右の銘は「対立を超えた調和」。大蔵官僚時代に感じた国家の問題点を、どうやって克服していくのか。まさに真価が問われている。(ジャーナリスト・田村建雄)

 

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