不適切な発言で辞任に追い込まれた鉢呂吉雄前経産相の会見で、記者が「説明しろって!」などと声を荒げた問題で、数日後には一転、記者が鉢呂氏の事務所に謝罪に訪れていたことが明らかになった。鉢呂氏は、謝罪を受け入れた模様だ。
2011年9月10日夜の辞任会見で、鉢呂氏が「放射能をつけちゃうぞ」などと報じられている発言の内容を確認する質問が続出した。
その中で、ある記者が所属や名前を名乗らずに、
「具体的にどう仰ったんですか。あなたね、国務大臣をお辞めになられるんだから、その理由ぐらいきちんと説明しなさい」
「何を言って不信の念を抱かせたか説明しろって言ってんだよ!」
「何を言ったからだってんだよ!」
と怒鳴ったため、批判が集中した。この場では、フリージャーナリストの田中龍作さんが、
「そんなヤクザ言葉、あなた、やめなさいよ。記者でしょう。敬意を持って質問してくださいよ!」
と、声をあげる一幕もあった。
なお、この人物は、大手マスコミ所属の記者と見られ、9月12日に枝野幸男氏が後任の経産相に就任する会見では、下手の最前列に陣取っていたが、鉢呂氏の会見のように声を荒げることはなかった。田中さんは記者の右隣に座っており、会見直後に
「ご挨拶遅れてすみません」
などと名刺交換を申し出たが、これを無視。
「どうして名刺交換してくれないんですか?」
との問いかけにも応じずに、会見場を後にした。
こうした言動への批判の高まりを受けたのか、記者は鉢呂氏に謝罪に出向いた。ニュースサイト「現代ビジネス」に掲載された長谷川幸洋氏(東京新聞・中日新聞論説副主幹)による鉢呂氏のインタビュー記事によると、9月13日に記者と部長が事務所に謝罪に来たという。
鉢呂氏は、
「私はなんとも思っていません。部長さんにも部下を責める必要はないと言いました。まあ、仕事ですからね」
と発言したといい、謝罪を受け入れる考えのようだ。
鉢呂事務所ではJ-CASTニュースの取材に対し、
「そういう方がお見えになったのは事実」
と、記者が謝罪に訪れたことを認めている。
なお、05年のJR西日本の福知山線脱線事故に関連する会見で、記者が、
「あんたら、もうエエわ。はよ呼んで。そこから先は(社長に)聞くから。はよ呼んでよっ!」
「あんたら、みんなクビや!」
などと同社幹部を罵倒した問題では、週刊新潮が発言を批判するなどしたため、記者が所属する読売新聞大阪本社に批判が殺到。同社は記者を会見取材から外して厳重注意処分にした上で、社会部長名で「尼崎脱線事故 会見での暴言を恥じる」と題する謝罪記事を掲載している。
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