バンダイコレクターズ事業部 開発者インタビュー第3回「聖闘士聖衣皇級」&「フィギュアーツZERO」

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藤井義貴さん プロフィール

藤井義貴さん 近影

藤井義貴 (フジイヨシタカ)

2004年1月バンダイ入社。
アパレル事業部を経て2010年4月よりコレクターズ事業部に異動。「聖闘士聖衣神話」の4代目担当に就任。同年11月発売のドラゴン紫龍(初期青銅聖衣)が最初に担当した商品となる。

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ご好評を頂いている「あみブロ開発者インタビュー」!

バンダイコレクターズ事業部 企画開発担当・藤井義貴氏のインタビューも今回が最終回です。

同じく氏がご担当をされている「聖闘士聖衣皇級」「フィギュアーツZERO」の新シリーズ『NARUTO -ナルト-』『BLEACH』の商品開発にまつわるお話をお聞きしたいと思います。



超ハイエンドモデル「聖闘士聖衣皇級」誕生秘話


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藤井:では続いて「聖闘士聖衣皇級(セイントクロスクラウン)」についてですね。

こちらも「ハーデス」が出た後の「聖闘士聖衣神話」ブランドおよび『聖闘士星矢』というコンテンツをどうするか、というプロジェクトの中で「EX」と並行して挙げられた企画です。

「皇級」の方は「聖闘士聖衣神話」二代目担当の泉慶太が企画を進めていて、それをこのたび僕が引き継いだ形になります。

「皇級」の在り方は、また「EX」とは違い「1/6スケールで、コレクターズ事業部に出来ることは何か」というのが商品コンセプトです。

他社と同様のアプローチでは無く「バンダイコレクターズ事業部・魂ネイションズとして1/6フィギュアを開発するとしたら」という問いに対しての、ひとつの答えが「皇級」にある、という考え方を以て開発しています。

「バンダイとして」のポイントは、やはり「玩具としての楽しさ」ですね。

その「玩具としての1/6フィギュアの楽しさ」を表現するためには『聖闘士星矢』が最適であろうと考えました。どのキャラよりも、『聖闘士星矢』ならば「バンダイが作る1/6フィギュア」というものを最大限にアピールできる、と。

その『聖闘士星矢』を象徴するアイテムであり、「楽しさ」が宿る要素である聖衣も、1/6という大きさだから出来る新たな表現に挑戦しています。

もちろん「皇級」の聖衣も「聖闘士聖衣神話」と同様にオブジェ形態へと換装が可能ですが、「皇級」は単なる従来シリーズをサイズアップした商品ではありません。


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藤井:サイズアップした事による「聖闘士聖衣神話」「EX」との一番の相違点は、聖衣表面のモールドの部分です。

「皇級」では聖衣の立体化、商品化へのアプローチとして「実際に甲冑として聖衣が存在したらこうなるのではないか」というイメージを付加して聖衣を作り上げています。


モールドのデザインには、若干原作イメージをベースとした「皇級」オリジナル要素も入っていますが『星矢』の世界観を壊すこと無く、かつ「聖闘士聖衣神話」「EX」よりも更にディティールアップされた仕様となります。

どうしてもサイズが大きくなった分、「聖闘士聖衣神話」「EX」と同じ手法で立体化をしてしまうと、造形が間延びしてしまうんですね。


「皇級」第1弾に「サジタリアス星矢」を選んだ理由も、先程の「1/6フィギュアに『聖闘士星矢』というモチーフを選んだ理由」と同じです。

バンダイとしての1/6フィギュアに対するひとつの答え、というのを明確にする為に、主人公である星矢を選び、なおかつ物語上で重要な鍵となる「サジタリアスの聖衣」を着せた状態で商品化しました。

もしこれが青銅聖闘士の「ペガサス星矢」だったら、また商品のアピールすべき点が全く変わってくると思います。


──「サジタリアス星矢」は一目で『聖闘士星矢』と伝わる、象徴的なキャラですからね。では、「皇級」の一番の見どころとなる箇所はどこでしょうか。


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藤井:僕が個人的にそう思っているのが、この羽根パーツですね。

「皇級」は「聖闘士聖衣神話」「EX」とは別物としていますが、この羽根にも折畳みのギミックやパーツ分割の仕方など、今までの「聖闘士聖衣神話」で培った技術の蓄積が少なからず生きています。

ただサイズも大きく異なりますし、聖衣の表現の仕方や装着方法も微妙に従来のシリーズとは異なっていますので「皇級」のネーミングも「セイントクロスマイス◯◯」では無く、あえて「神話(マイス)」という呼称を外してあります。


もちろん台座無しでも遊んで頂けますが、やはりこれほどの大きさなのでポーズをとらせてきちんと飾れるように専用台座を同梱してありますし、羽根を広げた状態でも長時間保持できるように、支えパーツも付いています。


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──(ここで羽根パーツを実際に触らせて頂きました)単に開いたり閉じたりするだけでなく、しなるようなポージングも出来るんですね。このサイズでも非常に細かい仕事がなされてます。


藤井:クリック可動が入れられないか、など試作の段階でも色々と試行錯誤をしたのですが、クリックを内部に入れようとすると「太く」「大きく」なっちゃうんですね。

なのでパーツ同士の嵌合、噛みあわせで何とか滑らかな羽根の展開・収納・保持が出来ないかと開発を進めていまして、今ではこの大きさでも保持力のある、良い感じに仕上がって来ています。


「『皇級』には『聖闘士聖衣神話』の技術と開発者の想いが込められています」


──気が早いですが、今後のラインナップのご予定などは決まっているのでしょうか。


藤井:やはり黄金聖闘士が「皇級」の仕様に映えるのでは、と考えています。

「サジタリアス星矢」と同じく「ライブラ紫龍」「アクエリアス氷河」で、それに童虎やカミュの頭部を付属させてコンパチ仕様にしようなど、色々検討中です。

引き続き、「聖衣を実際の甲冑として捉えたら」というコンセプトに基づく「皇級」の開発を続けていきたいと思っています。


開発に時間がかかるため、「聖闘士聖衣神話」「EX」に比べてそれほど頻繁にリリースできるアイテムでは無いので「全てのキャラを」というよりは対象キャラを精査していく必要はありますね。

ただゆくゆくは、このサイズとディティールで「ハーデス」「ポセイドン」などを出してみたいです。


──この豪華さにふさわしい聖衣は、やはり神々クラスですね。もし聖衣を身につけた「アテナ城戸沙織」が実現されたらすごい事になりそうです。


藤井:そんな厳選した聖衣を、この「皇級」でリリースしていけたらと思います。

それこそ黄金聖闘士を12体全部商品化できたら面白いんですけど、仮に年1体の発売としても何年かかることやら(笑)

キャラの精査は必要ですが、シリーズとしては長く続けていきたいと思っています。


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藤井:見栄えをさらに良くするために「聖闘士聖衣神話」「EX」とは逆に「皇級」ではダイキャストパーツは肩アーマー、腰周り、足首等と、やや少なめになっています。

前回の「EX」の話でも出ましたが、ダイキャストの聖衣パーツは機械で磨いているので輝きがくすんでしまう部分も出てきてしまいますが、「皇級」では保持力と造型を重視してABSパーツの割合が高くなっているため、より綺麗なキラキラと輝く聖衣の表現ができています。


「神話」シリーズと「皇級」、どちらが良いとは一概には言えませんが、この「皇級」では他シリーズよりも「美しさ」を追求しています。

この大きさで全身の聖衣をダイキャストにしてしまうと、それこそ重すぎて素体が自立できないんです。

「皇級」で聖衣パーツに、軽いABSの比率を高くしているのはそういう理由もあります。


──発表会で拝見した、聖衣のオブジェ形態も素晴らしく格好良かったです。


藤井:1/6というサイズで、聖衣を組み換えまで含めて再現できる技術の蓄積がある、という現在の状況は、本当に今までの開発担当者のおかげです。

かつて「聖闘士聖衣神話」に関わっていた泉が、より完成品としてのハイエンドを目指す「皇級」の企画を立ち上げたというのも、もっともな流れですね。

泉が過去に「聖闘士聖衣神話」でやってきた事、やりきれなかった事、そういった想いも「皇級」には込められています。

それらを製品としてきちんと仕上げ、お客様の元まで送り出すのが後任である僕の使命です。


──泉氏から藤井氏へサジタリアスの聖衣が……まるで原作「十二宮の戦い」での「少年よ、君たちにアテナを託す」みたいな展開ですね。


藤井:でも、泉は今も同じフロアに居るんですけどね(笑)



元イラストは原作者の先生描き下ろし!「フィギュアーツZERO」新シリーズへの意気込み


藤井:『聖闘士星矢』と同じ「週刊少年ジャンプ」系だから、という訳では特に無いのですが「フィギュアーツZERO」シリーズの『NARUTO -ナルト-』『BLEACH』も僕が担当しています。

僕が去年までアパレル事業部で、上司の横川がキャンディ事業部で『NARUTO -ナルト-』や『BLEACH』関連商品を扱わせて頂いて、配属されたコレクターズ事業部でも出来る事はないか? という流れで、満を持しての「フィギュアーツZERO」での誕生となりました。

──現在「ウルトラ」や「ゴジラ」をご担当されている横川愼一氏ですね。昨年12月にあみブロでインタビューをさせて頂きました。


藤井:新シリーズスタートの記念として『NARUTO -ナルト-』原作者の岸本斉史先生、『BLEACH』の久保帯人先生に「フィギュアーツZERO」のためにイラストを描き下ろして頂き、それに合わせてフィギュアが作り起こされている、というのが今回の「フィギュアーツZERO」第1弾のポイントです。

僕と横川は幸いにも、以前より版権元である集英社さんと密な仕事をさせて頂いていたので、本来ならかなり無理なイラストの描き下ろし、しかも主人公の「ナルト」「黒崎一護」は絶対必要として、ライバルである「サスケ」と「藍染惣右介」の2キャラずつでお願いしたい、というリクエストを特例として叶えて頂きました。


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藤井:キャラのポーズ等はバンダイ側から特に指定はせず、フィギュア化前提でお好きに描いて頂きました。

そこで岸本先生は「ナルト」は動、「サスケ」は静、をイメージして描いた、と集英社さんから伺っています。

一商品のために、週刊連載中の漫画家の先生にカラーイラストを描いて頂くなんて、ともすれば原稿の進行に影響を及ぼす仕事ですよね。

受けて頂いた岸本先生と久保先生、集英社さんには大変感謝しております。

「サスケ」の製品版ではもう少し上体の反らし具合を抑えて、あくまでも「見下している」のであってのけぞっているようには見えないように、現在工場と調整をしています。このまま順調に進めば「ナルト」も「サスケ」も最新画像のクオリティで皆様にお届けできると思います。

──今までの特撮ヒーローやロボット系のファンとはまた違う、新たな層の方々からもコレクターズ事業部さんの商品に注目が集まっていますね。


藤井:はい。集英社さんからも「週刊少年ジャンプ」誌面での告知に加え、先日8月4日に発売された『NARUTO -ナルト-』『BLEACH』のコミックスには「フィギュアーツZERO」のチラシを挟んだり、帯でも告知をしたり、と今まで魂ネイションズに触れていないお客様にもアプローチをしております。

現在放映中のTV番組「サキよみ ジャンBANG!」では、8月12日の『BLEACH』特集で造形師さんの「フィギュアーツZERO」原型製作過程と、その出来上がった様子として先日の魂フェスで展示された試作が放映されました。

先生方のイラストのお披露目から含めると「フィギュアーツZERO」は既に何回も「週刊少年ジャンプ」誌上に掲載させて頂いていますし、これからも、発売が近くなったらパッケージデザインや製品サンプルを紹介して頂けるよう動いています。


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藤井:「黒崎一護」「藍染惣右介」は、魂フェスで飾った後すぐに原型改修を施しまして、7月にお見せした状態よりかなり原型の形状が変わっています。

一護のエフェクトパーツや藍染惣右介の服の厚みなどが、かなりシャープになりました。

彩色もこれからさらに修正をしていき、現在皆様がご覧になっている状態からもう1歩前へ進んでいる、と認識頂ければと思います。

「ナルト」「サスケ」「黒崎一護」「藍染惣右介」以降もシリーズが続けていけるように、今はとにかくこの4人の開発を頑張ります。



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──最後に、あみあみのお客さまへメッセージをお願いします。


藤井:新カテゴリ「聖闘士聖衣神話EX」「聖闘士聖衣皇級」は、『聖闘士星矢』「聖闘士聖衣神話」を愛するお客様に向けてお届けする、開発側の我々からも『聖闘士星矢』を愛しているという気持ちを全て注いだ商品ですので、是非今後のラインナップを楽しみにしていてください。

また「フィギュアーツZERO」の『NARUTO -ナルト-』『BLEACH』も、既にご支持を頂いてる『ONE PIECE』に続く新たなキャラクターの企画立ち上げとして、集英社さんからも多大なご協力を頂きながら、力を入れて開発しております。現在もご予約受付中ですので、発売までよろしくお願いします。

──本日はどうもありがとうございました。




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シリーズ誕生から8年という、驚異的なロングヒットを続けている「聖闘士聖衣神話」を、その歴史を重んじつつ一から構築しなおすという想像するだけでも大変なプロジェクトについて、熱意と愛情をもって語って下さった藤井氏の姿に「聖闘士聖衣神話EX」「聖闘士聖衣皇級」が『聖闘士星矢』コンテンツのさらなる飛躍になることを願わずにはいられません。

一方では若いブランドである「フィギュアーツZERO」をアピールする為の、様々な試みも語って下さった藤井義貴氏と、貴重な機会を下さったバンダイコレクターズ事業部の皆様へ、あみあみスタッフ一同心より御礼申し上げます。


(撮影・文責 静メカ/於・株式会社バンダイ本社 文中一部敬称略)



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聖闘士聖衣皇級 サジタリアス星矢

フィギュアーツZERO うずまきナルト

フィギュアーツZERO うちはサスケ

フィギュアーツZERO 黒崎一護 最後の月牙天衝Ver.

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(C)車田正美/集英社・東映アニメーション

(C)岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ

(C)久保帯人/集英社・テレビ東京・dentsu・ぴえろ

※商品仕様は記事から予告なく変更される場合があります。

※画像は試作品を撮影したものです。実際の商品とは異なります。