判読不能な文字を書くキーボード世代の子どもたち(下)
文字を書かない時代に文字を書けない世代、キーボードに使い慣れ
乙支路住民センターで謄本・抄本業務を行っているチョン・ソリさんも「週に2、3回は、自分の名前も判読できないほど乱雑な文字を書く人に出会う。本当に本人なのか信じられず、身分証を確認し書き直すこともある。特に、戸籍謄本などを受け取りに来る新入社員くらいの年齢に悪筆が多い」と話す。
■判読できず虫眼鏡まで使用
悪筆が原因で、笑えないような状況も頻繁に起きている。芳山中学校(ソウル市松坡区)のイ・スンヨン教諭は「昨冬の期末試験で国語の記述式答案を採点していた際、どうしても判読できない文字があり、虫眼鏡を持ち出して解読を試みた。かなり長い時間をかけたが判読できなかったため、仕方なく減点とし、生徒には『暗号を書いたので減点する』と伝えた」と話した。大光小学校(ソウル市城北区)のファン・ジョンア教諭は「答案用紙を採点したり、手書きの宿題をチェックする際は、頭が痛くなる」とため息をついた。
こうした状況が急激に悪化したのは、コンピューターが一般に普及し始めた2000年前後。教諭たちは「10年前までは、教諭が黒板に文字を書き、生徒たちがノートに板書するのが当たり前だったが、最近の小学校はノートすら使わないところも多い」と話す。可東小学校(ソウル市松坡区)のキム・ナクスク教諭(49)は「コンピューターを使って勉強した若い教諭が増加していることから、板書を全くしない先生が増え始めている。また、日記をコンピューターのワープロソフトで打ち、プリントアウトしたものをノートに貼って提出する子どもたちも多い。最近では連絡帳に連絡事項を書かず、学校のホームページに載せるケースも多い」と話した。
時間に追われる現代の子どもたちに「書写の時間」がないことも原因だ。キム・ナクスク教諭は「先取り学習のために複数の塾を掛け持ちする子どもたちには、文字を練習する時間がない。ある保護者から『他のクラスの先生はノートを取らせないのに…。最近は誰もノートに書きませんよ』と言われたこともある」と話した。
さらに今回の文字の評価では、文字の書き方だけでなく、正書法、分かち書きも、20年前と比べ、格段にひどくなっていることが明らかになった。ソウル大学教育学部付属小学校のイ・ヒョンネ教諭は「コンピューターのキーを押すだけで間違った単語を自動修正してくれる機能に慣れてしまっているため、教諭でも正しい正書法を身に付けている人の割合は70%前後だろう。手書き文字の上手下手に重きを置くよりも、思考力を育て、作文力を高めるための基本文法教育を強化し、作文の時間を増やすべきだ」と指摘した。
許允僖(ホ・ユンヒ)記者
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