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閖上の3.11伝えたい 名取・小斎さんが写真集自費出版
 | 液状化現象で泥水が噴き出したバス通り。この約1時間後に津波が襲った=3月11日午後2時55分、名取市閖上2丁目 |
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東日本大震災で被災した宮城県名取市閖上の会社員小斎誠進さん(42)が、地震発生直後から巨大津波の襲来、現地で孤立して夜を明かす避難民の様子などを克明に捉えた写真集「その時、閖上は」を自費出版した。
小斎さんは3月11日、単身赴任先の神奈川県から妻と子どもがいる名取市閖上4丁目の自宅に帰宅するため、JR名取駅からのバス乗車中に閖上地区で地震に遭遇した。 小斎さんは地震発生8分後の午後2時54分からバス車内で撮影を開始。自宅に一度戻って自転車で閖上一帯の写真撮影を続けた。 写真集では、商店街の倒壊した建物や散乱する屋根瓦、道路の液状化現象、消防団の広報車が住民に避難を呼び掛けている姿など、津波襲来直前の生々しい光景が撮影時刻入りで記録されている。 小斎さんは名取川河口から約900メートルにある貞山堀との合流付近で午後3時50分に津波の第1波を目撃し、自転車で約1キロ陸側の閖上小に避難して奇跡的に助かった。 小斎さんは「逃げる時に、通り掛かった車の窓ガラスをたたいて避難を呼び掛けたが、信じてくれない人も多かった。残念でならない」と振り返る。 3月11、12日の2日間で数百枚を撮影。津波災害の記録を後世に残し警鐘を鳴らす目的で、その中から約100枚を選び、写真集出版を決めたという。 小斎さんは「自然の前では人間は無力だということを嫌というほど思い知らされた。津波から逃げることの大切さを感じてもらい、再び悲劇を繰り返さぬよう教訓にしてほしい」と話している。 写真集はA4判81ページ、1500円。連絡先は小斎さんのブログ「イーゴンの徒然」か、印刷センター022(384)1335。
2011年09月06日火曜日
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