衝撃のコピーフリー受信機「フリーオ」、その仕組みをひもとく

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2007/12/17 16:36
金子 寛人=日経パソコン

著作権法違反、すれすれで回避

 第2、第3の問題点は、いずれもパソコン内部でデータを処理する際の扱いについてである。パソコンは汎用機器であり、多様な種類のソフトを同時に実行することができる。また、各ソフトからメモリーやHDDを原則として自由に参照できる。あるソフトが、他のソフトの状態を常に監視し、データを盗み見てコピーするといった動作もできてしまう。デジタル放送において、高精細の映像が勝手に複製されれば大問題である。

 そこでARIBの標準規格では、TSデータをメモリーやHDDに置いたり、PCIやDVI、HDMIなど汎用のインタフェース経由で伝送したりする際は、暗号化するよう求めている。大手パソコンメーカー各社のテレビパソコンでは、デジタル放送の処理専用モジュールを実装する方式が一般的だ。一般のCPUやメモリー空間から完全に独立した形でMULTI2の復号や映像の生成を処理する。一般のCPUやメモリー、汎用バスを使ってTSデータの処理や伝送をする場合は、いったんMULTI2を復号したTSデータを再度暗号化するのが大原則だ。

 しかし、Friioの専用ソフトはこうした内部処理を一切行っていない。TSデータに掛けられたMULTI2を復号したあとは、再度暗号化されることなく、メモリー、汎用バス、HDDなどに無造作に置かれる。そのため、フリーウエアのTSデータ再生ソフトなどで簡単に再生できてしまう。また、TS形式に対応した動画編集ソフトを使えば、自由に編集したり、ファイル形式を変更したりすることもできてしまう。

 ただし、この点で法的責任を問うのは難しそうだ。「暗号化していない状態のデータをローカルに保存しないというのは、ARIBの標準規格に定められているもの。言わば民と民の紳士協定に過ぎない」(放送業界関係者)ため、破られたからといって強硬な対策の取りようがないのが現状である。

 第4の問題は、CCIの取り扱いだ。放送されているTSデータは、「1世代のみコピー可」、すなわちコピーワンスの印が付いている。このデータをHDDに書き込む際、併せてCCIを「コピー禁止」、すなわちコピーネバーに書き換える必要がある。放送されたTSデータの複製物がHDD内に生成された、と解釈するためである。しかしFriioの専用ソフトは、CCIの参照も書き換えも行わない。すなわち、既に複製物が作られたにもかかわらず、再度複製物を作ることができてしまうのだ。これも上記と同様、ARIBの標準規格、すなわち紳士協定に過ぎない。CCIの取り扱いをめぐって、Friioの発売元に対して法的措置を取ることは難しい。

 さらに困ったことに、CCIを無視するという実装は、法の網をくぐった巧妙な手法なのだ。仮にFriioが、CCIを無視するのでなく除去していたら、著作権法第30条第1項第2号に定める「技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変」に該当し、著作権の一種である複製権の侵害に問うことができる。しかし実際には、CCIの「除去」でも「改変」でもなく「保持しつつ無視」という実装のため、ぎりぎりのところで著作権法違反に問うことができない。

 なお、第1報で書いたとおり、Friioで録画した番組をユーザーが他人に譲渡したり、インターネット上にアップロードしたりすれば、これは明らかに著作権法違反となる。また、ユーザーが何らかの方法でCCIを外したりすれば、これも著作権法違反に問われる。

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