兵庫県は洪水対策を義務つける条例の制定に向け、検討を始めました。自治体が洪水対策の条例を定めるのは、全国で初めてです。
兵庫県の河川審議会は１３日検討会を開き、「総合治水条例」という洪水対策をまとめた条例案について、意見を交わしました。相次ぐ洪水被害を受け、条例案では企業などに対して１ヘクタール以上の土地を開発する場合、雨水が河川に流れ込むのを防ぐために、調整池を設置することを義務付けています。また住民に対しても、住宅の屋根に降った雨水がそのまま河川に流れないように、貯水タンクの設置を推奨します。
【神戸大学工学研究科・道奥康治教授】
「河川とその周辺の施設の整備だけでなく、流域全体から水が集まるので、流域全体を治水の対象と考えて、総合治水対策への取り組みが必要だというムードが高まってきた」
兵庫県は検討を重ね、今年度中にも条例を制定する方針です。

奈良県と和歌山県で土砂崩れダムへの警戒が続いていますが、奈良県野迫川村で発生していた土砂崩れダムについても国は「決壊の恐れがある」として緊急調査を始めました。

奈良県野迫川村では、豪雨によって今月４日に土砂崩れが発生して村を流れる北股川がせき止められたため、村は付近の住人２０世帯５０人を避難させていました。
その後調査を行った国は「決壊する恐れがある土砂崩れダム」と判断し、ここを緊急調査の対象にすることを決めました。
これまでに同じような土砂崩れダム、十津川村と和歌山県田辺市などであわせて４つ見つかっています。
なかには「夕立程度の雨で、決壊する恐れがある」とされるものもあり、国は２４時間体制で警戒を続けています。

一方、全国から集められた高性能ポンプ車は、奈良・和歌山の土砂崩れダムの水をぬくために出動の指示を待っています。
国土交通省が、全国の地方整備局から集めた１０台の高性能ポンプ車。
１分間に３０立方メートルの水をくみあげることができて、高低差２０メートルまで対応することができる高性能な特殊車両です。
しかし、いずれも山奥にある土砂崩れダムに近づくことができず、待機を続けています。
【国交省近畿技術事務所小段栄一副所長】
「９日から１２日にかけて集まった」「指示があればいつでも出動できる」

国交省は、土砂崩れダムの水位を下げる方法が決まった後、ポンプ車を出動させる予定です。

豪雨で大きな被害を受けた地域では、休校となっていた学校が再開するなど、復旧にむけた準備が進む一方、行方不明者の捜索がいまも行われています。

和歌山県新宮市熊野川町では、これまでに６人が亡くなり、今も７０人が避難所で生活しています。
地元の熊野川小学校と中学校では、１２日ぶりに授業が再開しました。
スクールバスが水没したため、多くの子どもたちが保護者に車で送られての登校となりました。
熊野川小学校・下地啓太校長は「被害の状況から考えると再開が少し早いような気がします。でも頑張る姿を見てもらったら、被害を受けた人の力になるんじゃないか」と話しました。
一方、和歌山県那智勝浦町では、娘を亡くした寺本眞一町長の妻・昌子さん（５１）が行方不明となっていましたが、先週、自宅から数キロメートル離れた海岸で見つかった遺体が、１２日になって昌子さんと確認されました。
寺本眞一町長は「個人的なこともありますけど、職務の優先ということで、被害者の一刻も早い発見に全力を尽くしていただきたい」と話しました。
那智勝浦町では１２日、４人の遺体の身元が確認され、これまでに２２人が死亡、７人が行方不明となっています。
また、奈良県の天川村では、中学校の英語講師大原千幸さん（３９）が、住んでいた教職員住宅ごと流され、行方不明となったままです。
１３日は１６台のポンプ車を用いて、水没した教職員住宅から懸命に水を抜く作業が行われていますが、水位が思うように下がらず、捜索活動は難航しています。
奈良県十津川村の野尻地区では住宅２棟が流され、２人が死亡、６人が行方不明です。
弟の山本忠美さんを亡くした則本直廣さんは「弟のほうが遺体で見つかったので一安心ですけど、弟の嫁の方がまだ見つからなくて、みなさんに迷惑をかけてるんです」と話します。
弟の妻・恵子さんや２人の義理の息子と孫たちはいまだに行方不明で、手がかりを探す日々が続いています。
則本直廣さんは「手掛かりになるものとかでてくればね、こんな散乱しとったらわからんね〜」と話していました。
奈良と和歌山では、これまでに５２人が死亡、いまだ３１人が行方不明となっています。

那智の滝や熊野古道など、豪雨は多くの観光スポットにも爪痕を残しました。
道路や線路も寸断されたままで、地元の観光業界は大きな打撃を受けています。

奈良県十津川村の温泉旅館。
ドアの外にあった露天風呂が崩れ落ちています。
「予約は年末までこちらからキャンセルさせてもらった。営業できる状態じゃないですから」（十津川観光ホテルの取締役）。
台風１２号がもたらした被害は、地域の経済を支える観光スポットにも及んでいます。
和歌山や奈良にまたがる世界遺産の「熊野古道」では、いたるところで山の崩落が。
幅５０メートルにわたって崩れているところもあり、通り抜けることができなくなっています。
また「熊野三山」にも影響が出ています。
熊野本宮大社では、旧社地「大斎原」に土砂がたまりました。
熊野那智大社でも、五殿と八社殿が被害を受けています。
「濁流とともに土砂が押し寄せてきた。床下も全部水が入ってる。この土砂をどうやって運ぼうか」（熊野那智大社の宮司）。
こちらは落差が１３３メートルと日本一を誇る那智の滝です。
滝つぼにあった岩が崩れ、周辺の木が押し流されています。
さらに、那智大社や那智の滝へと続く道路も寸断され、３０、４０分ほど歩かなければなりません。
「那智大社へと続く表参道は、観光客が来ないため、店は営業していません」（記者リポート）。
この土産屋は平日でも１０台以上の観光バスが来て、満員となっていました。
「これから予約が増える時期だった。勝浦は駄目ですから、全滅です」（土産店の店主）。
旅館も大きな打撃を受けています。
那智勝浦町にあるすべての旅館が営業を続けていますが、台風の影響でキャンセルが相次いでいます。
このホテルでは、１１月までの予約が８割減りました。
「すべて取り消しです。我々も商売が存続できるかの瀬戸際です」（かつうら御苑の取締役）。
遠くに那智の滝をのぞむ絶景の温泉も、ご覧のとおり人影がありません。
１３日、南紀勝浦温泉旅館組合のメンバーが集まり、今後の対策を話し合いました。
「一般の人は那智勝浦町全体が被害にあっているという誤解がある」
「他にも楽しく過ごせる場所があるということを、これから発信していかないと」（旅館組合のメンバー）。
旅館組合では１４日、県知事に対し、財政的な支援などを求める陳情書を提出する予定です。
また、ＪＲ紀伊線は一部の区間が不通となり、現在は代行バスが運行されていますが、全面復旧には一年以上かかるとみられています。

奈良県十津川村では、豪雨の影響で土砂崩れが起きて建設会社の火薬庫が流され火薬や雷管の行方が分からなくなっています。
強い衝撃を与えると爆発する可能性もあるため、県は注意を呼びかけています。

十津川村宇宮原では、先週の豪雨で土砂崩れがおきて建設会社の火薬庫が流されました。
中には火薬およそ３８００個と雷管およそ２９００個が保管してありましたが、流されて行方が分からなくなっています。
専門家によると、火薬は衝撃を加えても爆発しないということですが、雷管は叩いたり踏んだりするなど強い衝撃を加えることで爆発する可能性があるということです。
これは同じ型の雷管の爆発実験の映像です。
破裂した際に激しく細かい破片が周りに飛び散っています。
【日本火薬工業会・栗原洋一さん】「大きな力で叩くとかすると爆発します爆発することで破片が突き刺さる被害は出る」
火薬は、土砂に埋まっている可能性もあり、奈良県は見つけてもむやみに触らないように注意を呼びかけています。

３０年以上の歴史を誇る京都のテーマパーク「東映太秦映画村」がリニューアルオープンします。
新生映画村の新しいターゲットは、「家族連れ」です。

映画村に新たにオープンするのは体験型のアトラクション「からくり忍者屋敷」など３つの施設です。
江戸の街並みを再現したセットが広がる映画村では、時代劇の撮影の様子を間近に見ることでき、ピーク時の３０年前には年間２６０万人が訪れました。
しかし、時代劇人気の低迷とともに入場者が大幅に減ったことから、３０億円をかけてリニューアルすることにしたのです。
新生映画村の新しいターゲットは、「家族連れ」。
リニューアルの目玉、「からくり忍者屋敷」では、「どんでん返し」や「隠れ通路」などいたるところでからくりを体験できます。
アニメの製作過程を楽しむことができる「アニメミュージアム」では、アニメの吹替えを実際に体験することもできます。
リニューアルされることについて入場者は、「忍者屋敷はよいと思う。子どもは家で手裏剣投げをやっているので」
別の入場者は、「昭和の時代の人間なので水戸黄門が好き。アニメはよく分からない」と話していました。
東映の岡田裕介社長は、「時代劇だけでなく、プリキュアも飛び跳ねる、そういう治外法権の楽しい場所にできたら」と話していました。
映画村は、今月１５日にリニューアルオープンし、年間１００万人の来場者を見込んでいます。

１３日午後、大阪市城東区の市営住宅で男性が刃物で頭などを切られ重傷を負い、同じ住宅に住む男が殺人未遂の疑いで現行犯逮捕されました。

午後０時４０分ごろ城東区今福南４丁目の市営住宅「今福南住宅」に住む６２歳の男性が「包丁で切られた」と警察に通報しました。
男性は頭と左耳を切られ重傷です。
警察は男性の話などから同じ市営住宅に住む高津雄治容疑者（６３）に事情を聴いたところ犯行を認めたため、殺人未遂の疑いで現行犯逮捕しました。
高津容疑者は日頃から市営住宅の住人とトラブルになっていたということで警察は詳しい動機を調べています。

兵庫県の介護施設で元介護職員の男が複数の高齢の入院患者に暴行をはたらいたとして兵庫県警は傷害容疑でこの職員を近く書類送検する方針です。

警察の調べによりますと、去年の秋ごろ兵庫県加西市の介護療養型医療施設で、４０歳代の元介護職員の男が夜間のおむつ交換のときに、女性入院患者の顔を押さえ付け、軽傷を負わせた疑いが持たれています。
施設では１０人以上の入院患者からあざなどの傷が見つかっているということで警察は関連を調べています。
調べに対し、元職員は「世話にいらいらして暴行した」と話していて、警察は、元職員を近く書類送検する方針です。
この元男性職員は去年の１２月まで勤務していました。
病院側は「事実であれば、まことに残念」とコメントし、今後、介護における事故調査や職員への教育などを徹底するとしています。

１３日朝早く、大阪市東淀川区にあるアパートで火事があり、ここに住む親子とみられる２人が一酸化炭素中毒で死亡しました。

午前３時５０分ごろ、大阪市東淀川区にあるアパートで、「換気扇から煙が出ている」と通行人の男性から消防に通報がありました。
消防が駆け付け、火は約１時間２０分後に消し止められましたが、一階にある部屋の床や食器棚など一部分が焼けました。
この火事で、アパートに住む成田みさ子さん（８３）と、息子の安光さん（５９）とみられる２人が一酸化炭素中毒で病院に搬送され、その後、死亡しました。
警察と消防は朝から実況見分を行い、出火の原因を調べています。

豪雨に襲われた和歌山県那智勝浦町で、行方がわからなくなっていた寺本眞一町長の妻の死亡が確認されました。

那智勝浦町の寺本町長は自宅が流され、これまでに長女・早希さん（２４）の死亡が確認されていました。
早希さんと一緒に自宅にいた妻・昌子さん（５１）は行方不明でしたが、今月８日に自宅から数ｋｍ離れた海岸で遺体が見つかり、１３日に昌子さんと確認されました。
寺本町長は家族の安否が分からない中、町の災害対応にあたってきました。

【発表された町長のコメント】
「一縷の望みを託し無事に見つかることを祈っておりましたが、このような結果となり大変残念であります」

那智勝浦町ではこのほかにきのう４人の遺体の身元が確認されていて、現段階で２２人が死亡、７人が行方不明となっています。

台風１２号による水害で大きな被害を受けた和歌山県新宮市で、休校となっていた小中学校が１２日ぶりに再開しました。

授業が再開されたのは、新宮市熊野川町の熊野川小学校と中学校で、スクールバスが水没して使えないため、多くの子どもたちが保護者の車で登校しました。
１３日は全校集会を開いた後、子どもたちの被害状況を確認し、午前中だけ授業を行います。
【熊野川小学校・下地啓太校長】「被害の状況から考えると（再開が）少し早いような気がします。でも頑張る姿を見てもらったら、被害を受けた人の力になるんじゃないか」
町内では熊野川が氾濫し６人が死亡していて今もおよそ７０人が避難所で暮らしています。
新宮市では１３日と１４日、学校にカウンセラーを派遣し、子どもたちのケアに当たる方針です。

１３日朝、京都府京田辺市の高速道路で、路側帯に停まっていた２台のトラックに大型トラックが突っ込み、１人が死亡、２人がけがをしました。

１３日午前７時すぎ、京田辺市松井北川原で、第二京阪道路下り線の路側帯に一緒に停まっていた２台のトラックに、後ろから走行してきた大型トラックが突っ込みました。
この事故で、停まっていた２台のうち前方のトラックの運転手で、当時車から降りていた会社員の河野正男さん（５７）が死亡しました。
また、後方のトラックに乗っていた男性２人が、足の骨を折るなどのケガをしました。
現場は片側三車線のゆるやかなカーブで、警察は大型トラックの運転手小田切公紀容疑者（４２）を自動車運転過失致死傷の疑いで現行犯逮捕し、事故の原因を調べています。

大阪府和泉市の辻宏康市長は、来年度の個人市民税を約１０％減税する条例案を市議会に提出しました。

午前１０時から始まった市議会に提出されたのは、和泉市の個人市民税を２０１２年度に限り平均１０％引き下げる条例改正案です。
和泉市は、この減税で約８億２１００万円減収になりますが、今年度から５年間の行財政改革で見込んでいる約６５億円の経費削減で対応するとしています。
この市民税の減税は、２００９年の市長選で辻市長が公約に掲げたもので、実現すれば全国では名古屋市などに次いで４例目、近畿では初めてです。
しかし、議会には財政難や、小学校の耐震化などの課題が残る中での減税への慎重論も多く、可決されるか不透明な状況です。