【記者手帳】光化門扁額の文字問題は一体どこへ?

許允僖(ホ・ユンヒ)記者
 「非常に貴重な最高級の板材を購入したからといって、それがなんだというのか? 『器』より『内容』が重要なのに、今のように力なくみすぼらしい書体のままにしておくのか」

 新しい光化門の扁額(へんがく=伝統建築の門戸に掲げられる額)に使用される松の板材を切り出したというニュースが報じられた3日、70代と思われる読者から、このようなメールが寄せられた。また、ある50代の読者は電話をかけてきた。「なぜ木の話ばかりで、文字の話は消えてしまったのか。適当にやり過ごそうとしているのではないか」

 昨年の光復節(8月15日、日本の植民地支配からの解放を記念する日)に復元された光化門の扁額に3カ月でひびが入るという異例の事態が発生し、文化財庁は昨年12月、扁額を再び製作することを決めた。すると、この機会に文字の書体も変えようという主張が沸き上がった。現在の書体は、1968年の光化門復元当時に朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が書いたハングル(韓国語固有の文字)の扁額を取り外し、掛け直したもので、1865年に大院君(朝鮮王朝第26代王高宗の父)が慶福宮を改築した際に工事責任者を務めた訓練隊長の任泰瑛(イム・テヨン)が書いたものとされている。原型が残っていないため、1900年代初めの光化門を写したガラス原版写真から扁額文字を拡大し、デジタルで復元したものだ。しかし、文化財専門家は「非常に遠くから撮影された写真を復元したため、文字の原型が70%程度しか反映されておらず、事実上の模造品だ。躍動感もなく朝鮮王朝の正宮としての威厳もない」として、書体の変更を主張した。結局、文化財庁は今年1月「文字についても原点に返って再検討する」と正式に発表した。

 しかし8カ月過ぎた現在も、文化財庁は何の作業も進めていない。口では「文字の問題に関する機構を設置し、専門家の意見を集約するとともに、公聴会、世論調査などを通じて十分に議論した上で最終決定する」としているが、公聴会すら1度も開かれていない状況だ。文化財庁のチェ・イテ宮陵文化財課長は2日「専門の世論調査機関に依頼し、一般国民を対象に世論調査を実施するほか、文化芸術、メディアなど関連団体の世論も最大限に集約し、来年3月までに文化財委員会に上程する」と話した。8カ月前と同じ「対策」、同じ「計画」だ。新たな扁額用の原木を選び、板材を切り出す作業が徐々に進んでいる中「頭の痛い」文字の問題は後回しにし、世論が「忘れること」を待っているような状況だ。

 もちろん光化門の扁額にふさわしい最高の文字を探し求めるのは、非常に複雑で困難な作業といえる。漢字にするのか、ハングルにするのか、新たに書くのか、文献などから探し出して引用するのか、新たに書くとしたら誰の字を使うべきかなど、検討すべき事項は多い。文化財庁が粘り強く世論を説得しても簡単には解決できない難題を、8カ月も放置してきたのだ。

 今、国民は文化財庁の動きを見守り続けている。この8カ月間で全く手を付けなかった問題に、残りの6カ月間で取り組むつもりなのか、今まで通り先送りし続けるのか。さらに、わずか3カ月で扁額にひびが入るという過去に例のない事態が起きたにもかからわらず、責任を取ろうとする関係者が誰一人もいないという事実を、国民は忘れてはいない。

許允僖(ホ・ユンヒ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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