菅首相:脱原発「私の考え」 与野党から異論で私的見解に

2011年7月15日 23時20分 更新:7月16日 1時7分

衆院本会議で「脱原発依存」発言に関する質問に答える菅直人首相=国会内で2011年7月15日、藤井太郎撮影
衆院本会議で「脱原発依存」発言に関する質問に答える菅直人首相=国会内で2011年7月15日、藤井太郎撮影

 菅直人首相は15日の衆院本会議で、「脱原発」社会を目指すとした13日の記者会見での発言に関し、「私の考え」と述べ、政府方針ではないとの認識を示した。首相が記者会見で表明した重要政策を、私的見解に後退させた形で、与野党幹部から「混乱を招く」などの批判が相次いだ。

 自民党の山本公一氏の質問に「私自身の考え方として、私としては原発に依存しない社会を目指すべきだとの考えに至った。将来は原発がなくてもやっていける社会を実現していくと私の考え方を申し上げた」と、「私」を繰り返しながら答えた。

 首相答弁に対し野党側は「首相の言葉に私見はあり得ない」(自民党の山本一太参院政審会長)と反発。自民党の逢沢一郎国対委員長は「首相の発言は、内閣全体の方針でなくてはならない。政権の体をなしていないと自ら露呈した」と、公明党の井上義久幹事長は「国民に無用な混乱を引き起こす」とそれぞれ会見で批判した。民主党の安住淳国対委員長も会見で「理想は理想として、現実のアクションプランは新体制で議論していただきたい」と突き放した。

 首相の「私的見解」発言の背景には、13日の会見後、「唐突」との批判が与野党から噴出したことがある。

 15日午前の閣僚懇談会でも、中野寛成国家公安委員長が「閣僚は(脱原発社会の)話を聞いたことがない。首相の真意について折に触れて説明していただきたい」と指摘。首相は「自分自身の決意を述べておく時期ではないかと考えた」と釈明したが、週明けに原子力政策について意見交換する閣僚会合を開くことになった。

 閣議後会見では、「首相が国民の将来について自らの思いを述べるのは当然」(北沢俊美防衛相)と首相を擁護する声もあったが、「短兵急に進める話ではない」(野田佳彦財務相)、「電力を多く消費する分野は競争力を失う」(与謝野馨経済財政担当相)と距離を置く発言が目立った。【西田進一郎】

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