2011年7月14日 21時56分 更新:7月15日 0時8分
厚生労働省研究班が中高生約10万人を対象に行った喫煙に関するアンケート調査で、“禁煙”した生徒に理由を聞いたところ、「お金の節約、たばこの値段が高い」と回答した割合が、昨年10月のたばこ値上げ後に急増していたことが分かった。値上げ前に禁煙した生徒では12%だったのに対し、値上げ後に禁煙した生徒では40%と3倍以上に増えた。
アンケートは96年から数年おきに実施し、今回が5回目。昨年10月に学校を通じて用紙を配布し、無記名で回収。170校の9万8867人から回答を得た。
研究班によると、中高生の喫煙率は男女とも減る傾向にあり、高校男子で「喫煙経験あり」と答えたのは20%で、08年の前回調査から5ポイント減。96年に比べて32ポイント減った。これら中高生の喫煙者のうち、喫煙をやめた生徒計4378人に「健康」など複数の選択肢から理由を選んでもらい、時期も聞いて分析。値上げが禁煙に影響を及ぼしたと推測されるという。
一方、未成年者の喫煙防止目的で08年導入された成人識別カード「タスポ」を使って自動販売機でたばこを買ったことがある割合は、毎日喫煙する生徒では前回は42%だったが、今回は63%に増加。入手先は「家族以外から借りた」が36%で最も多く、以下「家族から借りた」16%、「家にあった」10%の順で、タスポの効果が薄れつつあるという。
研究代表者で日大医学部の大井田隆教授(公衆衛生学)は「使えるお金が少ない未成年者の喫煙を防ぐには値上げが有効とみられる。また、自販機の撤去による対面販売の徹底も必要だ」と話す。【佐々木洋】