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わいせつ図画販売ほう助:ビデ倫元部長らに有罪…東京地裁

アダルトDVDのわいせつ図画販売ほう助罪が問われた裁判で、罰金の判決を受け会見に臨む(右から)内田剛弘弁護士、水島正明弁護士、石井渉・マックス・エー代表取締役、酒井政雄・日本ビデオ倫理協会事務局長代理=司法記者クラブで2011年9月6日、塩入正夫撮影
アダルトDVDのわいせつ図画販売ほう助罪が問われた裁判で、罰金の判決を受け会見に臨む(右から)内田剛弘弁護士、水島正明弁護士、石井渉・マックス・エー代表取締役、酒井政雄・日本ビデオ倫理協会事務局長代理=司法記者クラブで2011年9月6日、塩入正夫撮影

 モザイク処理が不十分なアダルトDVDに審査で合格を与えて流通させたとして、わいせつ図画販売ほう助罪に問われた自主審査機関「日本ビデオ倫理協会」(ビデ倫)元審査部統括部長、小野克巳被告(54)に対し、東京地裁は6日、罰金50万円(求刑・懲役10月)を言い渡した。河合健司裁判長は、ビデ倫側が会員メーカーの意向に沿って審査基準を大幅に緩和したと認定し、「自主審査機関としての重要な職責を半ば放棄して、審査レベルを低下させ、社会に害悪を拡散させた」と指弾した。

 問題のDVD4本を担当した元審査員の根本英隆被告(67)と黒須清皓(きよつぐ)被告(71)も求刑通り罰金50万円としたほか、同図画販売罪に問われたDVD制作・販売グループ「芳友グループ」元会長、芳賀吉孝被告(84)ら2人に懲役10月、執行猶予3年(求刑・懲役10月)を言い渡した。

 アダルト作品の自主審査機関に対する強制捜査は異例で、公判の行方が注目されていた。全被告が問題のDVDが「わいせつ図画」に該当しないと主張したが、判決はモザイク処理が極めて薄いことなどから、「直接的な映像修整はないに等しい」と退けた。

 被告側は、日活ポルノ映画の「わいせつ性」を巡って、第三者機関(映倫)の判断を尊重すべきだとした東京地裁判決(78年)などを基に正当性を訴えた。

 判決は「(ビデ倫が)わいせつ物の販売などを水際で防止する一定の役割を担ってきた」としつつ、06年以降の「基準緩和」の実態を踏まえ、「(ビデ倫の)審査結果の尊重は適当でない」とした。

 ビデ倫側が「当局の規制は憲法が保障する『表現の自由』に抵触する」と訴えた点については、「ネットの普及などで価値観が多様化しても、性表現を刑事罰から解放する考えは少数。最低限度の性道徳は維持されるべきだ」と述べ、合憲とした。【野口由紀】

 ◇「短絡的な発想」…ビデ倫会見

 無罪主張を一蹴する判決に対し、ビデ倫側は記者会見。小野被告の弁護人、内田剛弘弁護士は「ビデ倫の社会的意義を認めつつ、警視庁のストーリーに沿った検察官の主張に偏った判決」と批判し、「表現の自由という重大な憲法問題なのに、短絡的な発想で『わいせつ性あり』と判断した」と憤った。

 一方、検察幹部は「ネット上にわいせつな映像があふれているからこそ社会は取り締まりの必要性を求めているという判決で、先例になる」と評価した。

毎日新聞 2011年9月6日 21時14分(最終更新 9月6日 21時38分)

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