建設の是非の検証作業を進めている八ッ場(やんば)ダム(群馬県)問題を巡り、国土交通省関東地方整備局と関係1都5県の知事や流域自治体の首長らが初めて協議する「検討の場」の第1回会合が13日、東京都内で開かれた。関東地整は治水・利水双方のコスト面から「最も有利な案はダム案」とする総合評価案を提示。群馬県の大沢正明知事は「ダム案が優れていると証明された。本体工事を早く着手していただきたい」とした上で「この2年間、多くの時間と費用が無駄になった」と政府の対応を批判した。
関東地整は知事らからの意見を聴取するなどした後、対応方針を決めて国交省に報告。国交省の有識者会議の意見も踏まえて国交相が最終判断する方針。
関東地整は利根川の治水対策としてダム建設のほか河道掘削や遊水地整備などを行う場合の計4案について報告した。完成に必要な費用はダム案が約8300億円と最も安く、他の4案は約9300億~9600億円。利水対策ではダム案が約600億円、導水路整備など他の計4案は約1700億~1兆3000億円だった。
八ッ場ダムを巡っては、民主党が09年衆院選のマニフェストで建設中止を掲げ、同年の政権交代で国交相に就任した前原誠司氏が中止を表明したが、地元住民や自治体が猛反発。後任の馬淵澄夫・元国交相は中止の方針を棚上げする考えを示し、大畠章宏・前国交相もそれを踏襲した。前田武志・現国交相は2日の就任会見で「予断のない検証の結果に基づいて判断する」と述べ、今秋予定の検証結果について「間に合えばなるべく早くそういった形にしていきたい」と語った。【樋岡徹也、奥山はるな】
毎日新聞 2011年9月13日 11時50分