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経営資源、優良店に集中 天満屋の選択(上)
岡山本店の増床へ布石

2011/9/13 6:06
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 天満屋(岡山市、伊原木隆太社長)が来年2月にも広島市中心部の広島八丁堀店を閉店する。中四国に11店を展開する店舗網の再構築に踏み出す。地方百貨店の雄が下した選択の背景に何があるのか。広域の流通地図はどう変わるのか。

 広島市の中心部、広島三越と福屋八丁堀本店にはさまれるように天満屋の八丁堀店が立つ。7~11階の書店やレストランなどと地下1階の食品売り場を残し、1~6階をヤマダ電機に賃貸する交渉を進めている。

 土地と建物の保有は続けるが、百貨店の看板を下ろして“貸しビル化”する。従業員は希望を聞いたうえで他の店に配置転換する。同店舗の営業損益は年4億円の赤字。賃料収入により4億円の黒字に転じる見通しだ。

■余力あるうちに

 岡山、広島、鳥取、香川。地方百貨店ながら天満屋の店舗網は4県にまたがる。ただ消費者の百貨店離れ、地方都市の疲弊が重なり、2011年2月期の連結売上高は1462億円。07年2月期から5年連続減少し、この間2割近く縮小した。

 最終損益では黒字を確保するなど地方百貨店では健闘している天満屋。ただ八丁堀店の閉店は店舗網の選択と集中の第一歩にすぎない。不採算の3~4店を対象に撤退や店舗形態の転換を検討する。余力のあるうちに筋肉質の経営体質へ改善をめざす。

 本拠地の岡山市周辺で大手ショッピングセンター(SC)の攻勢が追い打ちをかける。

 16日にイオンモール倉敷(岡山県倉敷市)が増床棟を開業する。8万2千平方メートルの中四国最大級の大型商業施設となる。11月にはJR倉敷駅北口にイトーヨーカ堂と三井不動産がアウトレットモールを持つ大型商業施設(3万8千平方メートル)を開設する。

■駅前に一極化も

 会社更生手続き中のバイオ企業、林原(岡山市)がJR岡山駅前に持つ5万平方メートルの土地もイオンモールへの売却が有力視されている。この売却問題が最後に天満屋の背中を押した。

 岡山市中心部は駅前と天満屋岡山本店を中心にした表町商店街に商業集積が分かれている。駅前にイオンが進出すれば、にぎわいは駅前に集中する。「このままでは岡山が奥行きのない、どこにでもある地方都市になってしまう。岡山本店を大幅に増床して対抗する。店舗網再編は本店増床への準備」と天満屋首脳は言い切る。

 売り場面積2万9千平方メートルの岡山本店を1.7倍の5万平方メートルに拡大する構想を描く。閉店する八丁堀店(1万8千平方メートル)を上回る売り場を加える計算になる。本店に隣接する天満屋バスセンターなど周辺に保有する不動産を活用する。大手ゼネコンによると、一般的に百貨店の2万平方メートルの増床には50億円以上かかるという。

 建設費の調達に加えて、周辺の交通渋滞対策が本店大増床への課題となる。店舗に面する県庁通りは2車線の一方通行で、休日には駐車待ちの車列ができる。バス運行ルートの見直しも含めて、中心部の交通政策で岡山市との調整も必要だ。

 20年前のバブル崩壊、3年前のリーマン・ショック、先行きの人口減少。百貨店の地盤沈下は続き、その波は地方の老舗百貨店にも及ぶ。天満屋は広げすぎた戦線が徐々に消耗していく現状に見切りを付け、岡山本店など優良店への経営資源集中へカジを切った。SCの包囲網が強まるなか、再生への最後の賭けに残された時間は少ない。

(岡山支局長 木下修臣)

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