中川正春文部科学相は13日の閣議後記者会見で、沖縄県の八重山地区(石垣市、与那国町、竹富町)が8日、育鵬社版の中学の公民教科書の採択を撤回して東京書籍版を採択した際の協議について、「協議は整っていないと考えざるをえない」と話した。石垣市、与那国町の両教育長が「協議は無効」と主張していることを踏まえたもので、採択問題は振り出しに戻ることになる。
3市町の教育長らでつくる八重山採択地区協議会は8月23日、「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版の教科書をいったん採択したが、竹富町が独自に「不採択」としたことを受けて今月8日に3市町の教育委員で再協議し、東京書籍版の採択で一本化することを多数決で決めた。
しかし、この協議の場で石垣、与那国の教育長が多数決を拒否するなど混乱したことから、文科省は「当事者の合意に基づく協議とは言えず、成立していない」と判断。東京書籍版の採択も根拠を失うことになり、どの教科書を採択するか、改めて調整が必要との考えを示した。