福岡県警は13日、若者を暴力団から守り、商取引に暴力団を介入させない規定を強化する「県暴力団排除条例」の改正案を発表した。改正案は20日開会の定例県議会に提案、来夏までに計11項目を柱とする条例案を順次施行する。
条例案では、暴力団組員と知り合った少年が組事務所に出入りし、組員になるケースがあることから、暴力団事務所内に18歳未満の青少年を立ち入らせた組員に対して懲役などの罰則を科す-と規定。
また、組員が事務所内で青少年に違法薬物を使用し摘発された場合は最長8カ月間、組事務所としての使用を禁止する。学校などの教育施設から200メートル以内に立地する組事務所(現在は同条例で開設禁止)でこうした行為があれば、事務所を廃止できる。
また、福岡、北九州、久留米、飯塚、大牟田の5市の繁華街7地区を「暴力団排除特別強化地域」に指定し、希望する飲食店には暴力団の入店を断る、県公安委員会発行のステッカー(標章)を配布。標章を掲示する飲食店に組員が入ったり、標章を破ったりしたことなどが確認されれば罰則を科す。
一方、民間業者の「努力義務」として、(1)企業の関係者が民間の建設工事などで暴力団側から「みかじめ料」など不当な金銭要求を受けた場合、県に通報するよう全国で初めて義務付け(2)全ての事業者に対し、従業員が暴力団に関する通報をした際に、解雇など不利益な処分を禁止する(3)全ての商取引で、契約書類に暴排条項を盛り込むことを求める-などを盛り込んだ。
■県暴排条例改正案概要
◇暴力団事務所に18歳未満の青少年を立ち入らせることを禁止(違反すれば罰則)
◇暴力団事務所で青少年に違法薬物の使用などが行われた場合、事務所の使用制限や廃止
◇県公安委員会のステッカーを掲示する飲食店に組員が立ち入ることを禁止(違反すれば罰則)
【努力義務】
◇工事関係者が暴力団から不当要求を受けた場合、県への通報の義務化
◇全ての商取引で、契約書面に暴力団排除条項を盛り込むことを義務付ける
=2011/09/13付 西日本新聞夕刊=