厚生労働省は12日、厚生年金の支給開始年齢を段階的に引き上げるのに伴い、定年退職時に年金を受け取れない会社員が出る問題について、労使を交えて対応策の協議を始めた。企業に65歳までの再雇用を義務付ける現行の制度をより厳格にする案を軸に議論する。定年の延長の義務化は見送る方向だ。来年の通常国会に関連法案を提出する考えだが、コスト増につながるため、企業の反発は根強い。
経団連など使用者側、連合など労働者側、学識経験者それぞれの代表で構成する「労働政策審議会」の雇用対策基本問題部会を同日開いた。月2回ほど会議を開き、年内に結論を出す。
厚生年金の定額部分はすでに2001年度から順次、支給開始年齢が上がっている。13年度からは報酬比例部分も引き上がる。今は支給開始年齢は60歳だが、男性の場合は13年度から3年ごとに1歳ずつ上がり、25年度に65歳になる。だが企業の定年は多くが60歳にとどまり、定年後の生活費に支障が出るケースが予想される。
政府は04年に改正した高年齢者雇用安定法で(1)定年引き上げ(2)定年の廃止(3)継続雇用制度の導入――などで段階的に65歳までの雇用を継続するよう企業に求めた。
だが定年の引き上げや廃止に踏み切った企業は少ない。継続雇用制度は「健康上支障がない」「働く意欲がある」などの条件を満たした場合に企業が再雇用する仕組み。厚労省が昨年実施した調査によると、希望者全員が65歳まで働ける会社は46%にとどまる。
厚労省の研究会(座長=清家篤・慶応義塾長)が6月にまとめた報告書では(1)定年を60歳から65歳に引き上げる(2)それが無理な場合は希望者全員の継続雇用を義務付ける――という解決策を提言した。労政審ではこの議論を踏まえ、具体的な施策を詰める。
ただ、同日の議論では、企業側から「企業に過大な負担を求めると経済活動全般に悪影響を及ぼす」との声が相次いだ。労働者側は「希望者全員の雇用確保が大原則」との立場で、議論は平行線をたどった。労組も早期の定年の延長にはこだわっていない。継続雇用の義務付けをどこまで強めるかが今後の焦点となる。
労働力人口が減る中で、企業も定年後の高齢者の活用拡大に反対しているわけではない。ただ義務付けを強めればコストの増加につながり、若年の雇用を増やせなくなる恐れがある。高齢者を継続雇用した企業に対する助成制度の拡充なども論点となりそうだ。
厚生労働省、労働政策審議会、高齢者、雇用、清家篤
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