福島沖に洋上風力発電所計画 政府、復興支援の目玉に
フジサンケイ ビジネスアイ 9月13日(火)8時15分配信
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福島県沖の浮体式洋上風力発電のイメージ(写真:フジサンケイビジネスアイ) |
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計画によると、早ければ13年度から6基の洋上風力の建設に着手する。実証試験には洋上風力を研究してきた東大のほか、部品メーカーや風力発電事業者10社以上が参加する。1基当たりの発電出力は2000〜5000キロワットで、総出力は最大3万キロワット。5年間かけてデータ収集や海底ケーブルを使った送電、既存電力網との連携などを実証。20年には約30万キロワットに増やす考えで、実現すれば60〜120基の大型風車が福島県の洋上に浮かぶことになる。
洋上風力は風車、発電機、軸受けなど部品点数が約2万点におよび、関連企業の裾野が広い。例えば、100万キロワットの建設・メンテナンスで2万2000人の雇用創出効果があるとの試算もあり、政府は政策的に部品産業を誘致し雇用拡大につなげたい考え。
福島県は、沿岸から約40キロ地点で平均風速が毎秒7メートル以上の風の資源量があり、風力発電として460万キロワット相当と予想されている。候補地は今後詰めるが、風況が良く、東京電力広野火力発電所の大規模送電線も整備されている、いわき市沖などが有力とされており、今後、漁業関係者と調整する。
洋上風力には土台を海底に設置する「着床式」もあるが、水深50メートルを超えると建設費が膨らみ採算性が悪化する。欧州と違って遠浅の海が少ない日本は、海底と鎖でつなぎ洋上に土台を浮かせる「浮体式」の実用化が普及の鍵とされる。政府は福島県での実証試験をてこに、全国に普及させたい考え。
政府は福島県を再生可能エネルギーの開発拠点としても育成する考えで、産業技術総合研究所の研究施設の一部移転やメガソーラーと呼ばれる大型太陽光発電所などを集積し、洋上風力と合わせ3次補正予算案に1000億円を盛り込んだ。
浮体式風力発電はノルウェーの洋上で1基が稼働し、環境省も長崎県五島市の椛島(かばしま)周辺で13年春から2000キロワット級の実証実験を進める。陸上は低周波や環境規制で適地が限られ、今後は洋上が主力になるとされ、17年には世界で7100万キロワットと、現在の約17倍に増えるとの米調査会社の予想もある。日本は後発だが、浮体式で先行することで巻き返しを図りたい考えだ。(上原すみ子)
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最終更新:9月13日(火)11時36分
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