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2010年11月18日|決算特別委員会 総括質疑 田渕五十生

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1 平成21年度決算について
2 職員の人材育成について
3 伏見の観光振興について
4 心の教育について
5 その他

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山本委員長
 次に、田渕委員に発言を許可いたします。田渕委員。


田渕委員
 民主党議員団の田渕五十生でございます。
 まず、平成21年度決算についてお伺いをいたします。
 平成21年度の決算を見ますと、厳しい経済状況の中、「京都温め予算」として、当初から雇用・経済、生活、未来を温める予算として「10の京都政策」を掲げ、未来に向かうことのできる京都づくりを推進されるとともに、府民のきずなづくりを進め、地域を支え合う地域協働、府民協働の取り組みを推進されました。さらに、その後の各補正予算においても、生活、雇用を温めるとともに、新型インフルエンザ対策等の緊急課題にも積極的に対応され、府民生活を支えるのに多くの成果を上げております。その結果、決算規模は歳入歳出とも平成10年度を超えて過去最大となったのでございます。このように、厳しい経済状況の中にあってなお知恵と工夫を生かした財政運営を高く評価するものであります。
 決算規模が最大となったのは、国の経済対策を最大限活用されたことが大きな要因でございますけれども、決算規模が過去最大という文言だけを聞きますと、府民の皆さん方からは、京都府ってそんなにお金を使って大丈夫なのか、あるいは借金が膨らんでいくのではないかと不安に感じられる向きもあろうかと存じます。
 山田知事におかれては、厳しい財政状況の中にあっても、足腰の強い行財政構造を確立するために、平成21年度に「府民満足最大化プラン」を策定されました。施策の推進と行財政改革を一体のものとしてとらえ、車の両輪として機能させなければなりません。
 そこで、お伺いをいたします。まず、平成21年度における府民満足最大化プランの取り組み状況とその成果について、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、府民満足最大化プランは、単に事業費や人件費を削減することが目的ではなく、府民ニーズを第一とし、事業仕分けの徹底、さまざまな主体が協働して地域を支える仕組みの確立等により、府民視点による施策の再構築を図ることなど、安心・安全、希望の京都づくりに向けて、人材・資金・施策等の限られた財産を府民満足という一点に集中することを目的としております。これは、「言うは易く行うは難し」である非常に厳しい難しい課題でありますが、今後の府民満足最大化プランの推進について、知事の御所見をお伺いいたします。


山本委員長
 山田知事。


山田知事
 田渕委員の御質問にお答えいたします。
 田渕委員におかれましては、平成21年度決算に対しまして高い評価をいただき、厚く御礼を申し上げます。
 リーマンショックとインフルエンザというダブルパンチを食らった大変厳しい年でありましたけれども、それだけに難しい財政運営を余儀なくされた。その中におきまして、私たちはやはり、府民満足最大化プランという形で考え方を変えて府政を運営していかなければ府民の皆様の生活は守れないという観点から、このプランの実現に取り組んだわけであります。言いかえますと、通常の経営健全化策ですとか通常の財政抑制策では恐らくもう、これは平成11年からやっておりますから、なかなかできないだろう、対処方針や考え方を変えていく中で、府民の満足というものをしっかりととらえていきたい。その第一のあらわれが府民公募型安心・安全整備事業でありまして、こうした中で、府民ニーズに基づく事業をしっかりと仕分け・評価により実施していくことによって、今までのあり方と違っていかなければならないというふうに思っておりますし、また、京都府全域でのパートナーシップセンターの設置やNPOや大学とも組んだ公共人材育成などの新しい公づくりというものについても私たちはしっかり取り組んでまいりました。
 その上で、公共工事におけるワンデイ・レスポンスの取り組みなどの業務プロセスの簡素化などさまざまな取り組みと、人件費、公債費につきましても、単に切るということではなくて、総額でしっかりコントロールをしていくということを導入しまして、この5つの視点に基づきまして145億円の改革を実施したところであります。
 そして、これからでございますけれども、人口増加社会から人口減少社会へ、また安定成長経済社会、高度経済成長社会から低成長の経済社会へ移っていくわけでありますから、また、きずな社会から孤立社会へという、この大きな社会の変化のあり方に合わせまして社会保障制度の再構築ですとか労働政策やセーフティネットのあり方の再構築、そして地域コミュニティの再構築といったことが今求められている。これを実現するために府民満足最大化プランをさらに強力に推進していきたいというふうに思っております。そのためには、施策体系の再構築という、御指摘のように大変難しい課題に私たちは積極的に挑戦をしていかなければなりません。特に効果的な事業を行うためにも、私たちは府民満足につながる指標というものをしっかり明確にお示しすることによって、その数値目標をコントロールすることによって進捗管理ができるようにしていかなければならないというのが1点あります。
 2点目としましては、組織や制度の縦割りの壁を取り払って、多様な主体の連携・協働を進めていく。私どもは、既に家庭支援総合センターやマザーズジョブカフェ、ジョブパークで実現しつつあります府民起点からのワンストップサービス型への転換ということで、行政の無駄、不便な部分を改善していこうではないかということを今努めております。
 また、公共事業における府民参画など、府民が行政に主体的にかかわり合う満足を高めていく施策も積極的に進めていくことで、限られた資源を有効に活用して、府民満足に焦点を置いた行政運営をこれからも展開してまいりたいと考えております。


山本委員長
 田渕委員。


田渕委員
 今、お答えをいただいたわけでありますけれども、今年度予算は一般会計予算規模で9,000億円を超えておるということであります。しかし知事の裁量といいますか、実際、知事として本当にやりたい施策ということについては、予算規模も非常に縛られているというか、範囲が狭いというふうにも聞いております。
 財政状況が大変悪い中で、どういった施策を実現させることを優先させていくのかということも大変大事なことだというふうに思っているわけでありまして、もちろん、人件費の削減やその他諸経費の削減等も大事でありますけれども、やはり府民の皆さん方の幸せを第一に考える、そういう財政運営を積極的に進めていっていただきたいというふうに思う次第でございます。
 次に、府職員の人材育成についてお伺いをいたします。
 一段と厳しさを増す社会情勢の中、府民ニーズは複雑・多様化しており、京都府政に対する府民の期待はますます高まっております。しかしながら、その一方で、自治体を取り巻く行財政環境は依然として大変厳しい状況にございます。このような状況のもとで府民生活の維持・向上を実現していくためには、府が有する限られた資源を効果的に活用することが不可欠であります。
 こうした中で、私は、とりわけ府政運営を担う人材の強化育成が大変重要な課題であると思っております。京都府が将来にわたって府民の生活をしっかりと支え守っていくためには、行政サービスの担い手である職員一人一人のスキルアップを図り、その持てる力を最大限引き出すとともに、職員が意欲を持って働ける職場環境を整備していくことが必要と考えるのであります。
 そこで、まず職員の人材育成に対する山田知事の基本的なお考えをお伺いいたします。
 また、先日、テレビのニュース番組で京都府職員が取り組んでいる庁内ベンチャー事業を紹介する報道が行われておりました。この報道によりますと、若手職員のアイデアを府政に積極的に取り入れようと7年前からスタートしたものであるようですけれども、当日の番組では、健康増進のために職場や公共機関で、もっと階段を使ってもらうためのユニークなアイデアを若手職員の皆さんが、山田知事を初め幹部職員の前でプレゼンテーションされているシーンが放映されておりました。地域主権の時代を迎え、自治体職員にも柔軟で大胆な発想が求められている中で、こうした取り組みは、職員の能力向上とともに具体的な政策提案ができる絶好の機会ともなり、職員の皆さんにとっても、京都府にとっても、大変有意義な事業ではないかと考えるのであります。
 そこで、お伺いをいたします。この庁内ベンチャー事業の取り組み状況及びその効果等についてもあわせてお聞かせいただきたいと存じます。


山本委員長
 山田知事。


山田知事
 府庁職員の人材育成についてでありますけれども、私はやはり、行財政環境は極めて厳しい、そして社会の変化が大変大きい、こうした中で自治体運営をしっかりと行っていくためには、指示待ちとか通達待ち、こういった姿勢ではなくて、みずから時代に向かっていく気力を持った、みずから切り開いていく、そういう志を持った人材の強化育成が極めて重要であるというふうに考えております。そのために、今回の府民満足最大化プランの中にも「人材強化育成の視点」というのを掲げたところであります。
 こうした観点から、私どもとしましては、職員の採用に当たっても、単に成績がいいだけではなくて、本当に人としてしっかりした人物でありますとか、また、複雑・高度化する住民ニーズに対応できるような専門性の高い職員や社会人経験者等の採用にも今努めているところであります。職員研修につきましても、画一的に教えるという形の研修を改めまして、今御指摘のありました庁内ベンチャー事業や大学院、NPO、民間企業等への派遣研修、または公共マーケティング研修等、みずから考える課題対応型の研修へと今変えているところであります。
 さらに、市町村との人事交流や自分でしたい仕事について応募できるFA制度、そして庁内公募、行政経営品質の取り組みなど、日常の業務の中に育成のプログラムを組み込むことによりまして、多面的な人材の強化育成に取り組んでいるところであります。
 その中でも庁内ベンチャーでは、先日、テレビでも取り上げていただいたところでありますけれども、平成15年度以降、昨年度までに、約700名を超える職員から117件に上る政策提案、研究がございました。例えばエコ産業のエコ産業機構ですとか京都地域創造ファンドとかいったものから、府庁2号館屋上のビオトープや農業用水路における小水力発電など、さまざまな提案が出ておりまして、その中から大体半数ぐらいが事業化できたところであります。今年度も157名の職員や民間の方々、これは民間の方々も入ってやっておりますので、ITを活用した子どもの読書に親しむ方策ですとか留学生と連携した中国人観光客の誘致など23件の取り組みが、私はすべて聞きましたけれども、報告をされたところであります。
 これによりまして、一つには、実はこうした若手職員の中では、例えば保健所ですとか土木事務所ですとか農業改良普及センターですとか資料館といったような、まさに第一線の地域機関の職員が積極的に取り組んできていただいているということ。それから、民間企業の方、民間のNPOの方も入っておりますので、京都府とそういう民間との連携ができていくということ、人間関係も含めて連携ができていくということ。そして、自由に提案できますから、自分の仕事ではなくて既存の発想の中から制度にとらわれない形でできてくるといったようなメリットがあります。特に私が感じておりますのは、もう7年間聞いておりますと、プレゼンテーションが非常にうまくなりました。大変すばらしいプレゼンテーションになりました。そうした面では、やはり府民の皆さんに対する説明責任を果たす上でも、こうしたベンチャー事業が大きな力を発揮しているんだなというふうに考えておりまして、できる限り提案を来年度当初予算にも反映させまして、豊かな発想と行動力、熱意を備えた府庁の組織や施策にイノベーションを起こすような人材育成に、こうした事業もしっかりと役立てていきたいというふうに思っております。


山本委員長
 田渕委員。


田渕委員
 山田知事のリーダーシップも大変大事でありますけれども、府職員の皆さん方の知恵を大いに府政運営に生かしていっていただきたいというふうに思います。
 次に、地元伏見の観光振興について少しお伺いをいたします。
 NHK大河ドラマ「龍馬伝」はいよいよ大詰めを迎え、ますます盛り上がりを見せておりますけれども、坂本龍馬ゆかりの地の一つである伏見では、その効果もあって来場者が前年同期比で50%増となった施設もあるなど、伏見の地は観光客で大変にぎわいを見せているところであります。
 こうした中、このたび府立病院分院跡地を観光バスの駐車場として開放していただいたことは、地域には細い道が多く、大型バスの乗降待ちの停車による渋滞緩和にもつながり、地元の皆様にも大変喜んでいただいており、高く評価いたしております。
 伏見は、近世には豊臣秀吉が伏見城を築いた地であり、また徳川家康もこの伏見城に入城し、この地で幕府を開きました。そして、高瀬川を開削し、京都の中心部と伏見、大阪を一本の水路で結び、三十石船を初め大小の船が行き交う港町として繁栄してきたまちであります。至るところに史跡のある伏見は、独自の文化と歴史を形成してきた実に魅力的なまちであり、今もなお酒蔵が立ち並び、全国有数の酒どころとしての風情を感じさせているのであります。
 そこで、お伺いをいたします。「龍馬伝」の放映を機会ににぎわいを見せている伏見の観光人気が一過性のものとならないような取り組みがぜひとも必要と考えているところでありますけれども、伏見の観光振興について今後どのように展開されようとしているのか、知事の御所見をお聞かせいただきたいと思います。


山本委員長
山田知事。


山田知事
 今、「龍馬伝」で伏見は非常ににぎわっているわけですけども、私はこれを一過性のものにするのではなく、こうした機会をしっかりと生かして伏見の魅力を伝えていく形にしていきたい。今お話がありましたように、伏見には坂本龍馬はもとより多くの歴史的な魅力がある。また、伏見稲荷大社を初めとする名所が数々ありますし、情緒ある酒蔵や多彩な食文化もあります。また、地下鉄、京阪、JR等で、市内の中心部から10分ぐらいですし、もう一つの大きな観光地である宇治とも近いということであります。こうした魅力をしっかりと伝えていくために、日本酒を初めとする食文化や十石舟、三十石船を活用した観光など、地元の観光協会やまちづくり会社「伏見夢工房」等と協力をして、まず、にぎわいづくりの取り組みを推進していきたいと思っております。
 また、そうした中で伏見の魅力を生かすためには、地域の文化というものを深く味わっていただけるような観光を推進していくために、「京都カルチャー観光1000コース開設事業」の中でも、龍馬、秀吉、宇治の源氏物語などの歴史文化を結ぶ広域観光をここで推進していきたいと思っております。また、来年は伏見稲荷の御鎮座1300年でもありますので、こうした催しなどをしっかり生かしまして、伏見の観光資源を組み合わせて宇治などの周辺地域とも連携をして、継続的で、かつ広域的な観光振興に努めてまいりたいと考えております。


山本委員長
 田渕委員。


田渕委員
 ありがとうございました。  先ほど来出ておりますけれども、観光事業というのも、商店街の振興やまちの活性化に大変関連をしております。ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
 最後は、教育問題で「心の教育」についてお伺いをいたします。
 近年、我が国では核家族化や少子化の進展により家庭の規模の縮小が続いており、子どもが祖父母やきょうだいなどと生活をともにすることが少なくなってきております。このため、多様な家族との触れ合いの中で、命のつながりや命の尊さを実感する機会や、人生の知恵や生活文化を受け継ぐ機会、人が共同生活を営むための基本的ルールなどを身につける機会が少なくなってきています。
 また、都市化や少子化の進展により、地域のきずなが希薄になり、近所のおじさん、おばさんなど、幅広い年齢の人々と触れ合う機会や年齢の異なる子どもたちが一緒になって遊ぶといった機会が減少してきており、今までは自然と備わっていた社会性や公共心、弱い者をかばう心といったものを身につけることが困難になってきています。
 平成21年度に実施された全国学力・学習状況調査によりますと、「学校の決まり・規則を守っているか」「友達との約束を守っているか」との設問があり、大半の子どもたちは「当てはまる」と答えているところでありますけれども、残念ながら京都府の小・中学生は、全国平均と比較して下回った結果となっております。また、「人の気持ちがわかる人間になりたいか」「人が困っているときは進んで助けているか」との設問についても同様の結果となっています。このような規範意識や人を思いやり尊重する心を身につける機会の減少は、学校でのいじめや子どもの暴力行為の増加にもつながっています。
 私は平成7年9月議会の本会議での質問以来、心の教育の充実について訴えてきたところでございますけれども、いじめを苦にみずから命を絶たれるなど悲痛な報道を見聞きいたしますと、改めてその思いを強くするところであります。
 そこで、教育長にお伺いをいたします。本府教育委員会では、「豊かな心を育てる教育推進事業」を実施されておりますが、この事業は地域の福祉施設や事業所、商店などでの体験学習や社会奉仕活動を通じて、地域の人々との触れ合いを深め、社会の一員としての規範意識やコミュニケーション能力を身につけ、他者を思いやる心を醸成する機会となり、豊かな人間性を育成するために有効な取り組みであると期待するところであります。
 この事業について教育委員会としてどのように評価しているのか、また、心の教育についての認識と今後の推進についてどのように考えておられるか、お聞きをしたいと思います。


山本委員長
 田原教育長。


田原教育長
 田渕委員の御質問にお答えいたします。
 豊かな心を育てる教育推進事業についてでありますが、この事業は、ここ数年ですべての小・中学校に定着をしてきたところであり、子どもが社会性や豊かな人間性を身につけるよい機会であるとともに、地域社会においても、社会総がかりで子どもを育てる機運を高めてきたものととらえておりまして、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
 また、心の教育についてでありますが、人を思いやり命を大切にする心など、豊かな人間性をはぐくむことが極めて重要と考えておりまして、「京の子ども 明日へのとびら」の一層の活用、さまざまな体験活動などを通して、児童生徒の道徳心の向上、とりわけ規範意識の醸成が図れるよう、一層学校の支援に努めてまいります。


山本委員長
 田渕委員。


田渕委員
 きょうの新聞を見ておりましても、中学校2年生の男の子が、どうもいじめが原因で自殺をしたようなことであります。こういう残念な事柄が起こっております。私が最初質問した当時から見れば大きな予算を使っていただいておりますけれども、さらにその充実に向けて頑張っていただきたいと思います。
 これで質問を終わります。ありがとうございました。