福島市で開かれたシンポジウム「放射線と健康リスク」に参加したICRP(国際放射線防護委員会)のアベル・ゴンザレス副委員長が毎日新聞の単独取材に応じた。
--福島第1原発事故で飛散した放射線による健康影響をどう見ていますか。
◆私の予想では福島県は放射性物質による健康影響は心配はないレベルです。しかし人々が安心感を得るために長期間にわたる健康調査が必要です。
--事故後、約2万人が放射線への不安などから福島県外へ去りました。
◆これは放射性物質がもたらす最も深刻な問題です。簡単な解決法はありません。恐怖心や知識不足によって放射線の影響を誇張し、人間同士が傷つけ合うようになるのは非常に危険な状態です。福島でも同じことが起ころうとしています。こうした問題は福島だけでなくチェルノブイリでもありました。
--日本政府の対応をどう見ますか。
◆被害防止の観点からは、よくやっています。今の時点でやるべきことは、被害を最小限にすることです。
--ICRPは今後、福島第1原発事故にどう対応しますか。
◆来年末には今回の事故から学んだ放射線防護や提言などについて報告書をまとめたいと思っています。【聞き手・久野華代】
毎日新聞 2011年9月12日 21時51分(最終更新 9月13日 2時34分)