1.実生活のサイズと質で体感する 2.「設計図書」を確認する 3.モデルルームで確認したいチェックポイント |
スミオ: | 販売予定だった物件のモデルルームがオープンするという案内が来ていたね。 | |
スミコ: | 立地も価格も私たちの希望条件に近いし、ぜひ見に行きたいけど。なんだかちょっと不安。買う予定はあるからひやかしじゃないけど、だからといってその物件を買うかどうかはわからないわけだし……。 | |
スミオ: | 決まっていないからこそ見学が必要なんだから、パンフレットを見るのと同じ気構えでいいんだよ。それに変に緊張すると見なくちゃいけない点も落ちついて見られなくなってしまうよ。 | |
スミコ: | モデルルームで見なくちゃいけない点って何かしら? あー、よけい不安になってきた。 | |
スミオ: | 実は、会社の課長が今年、マンションを買いかえたんだって。20代の時に1度購入して、今度が2度目。最初の時は衝動買いして後で気づくことも多かったらしい。今回はいくつもモデルルームをまわったそうで、その経験を長々と語ってくれたんだ。 | |
スミコ: | え、いつもたとえ話が長くて要点がつかめないって話していた課長さん? 大丈夫なの。 | |
スミオ: | これが仕事の話と違って具体的なんだよ。まず、「モデルルームは、頭で見ろ」が基本だって。 | |
スミコ: | どういうこと? | |
スミオ: | モデルルームには、そのマンションの中でもいちばん広いタイプや、室内設備もグレードの高いものが多いんだ。 | |
スミコ: | 希望物件とは条件が違うから、見た目に踊らされてはいけないということね。1回目はそれで……。 | |
スミオ: | しかも部屋を広く見せたり、天井を高く印象づけるために家具が一般のものより小さめの場合もあるそうだよ。だから自分たちの条件を頭に入れ、モデルルームの見た目を鵜呑みにせずに、自分たちの購入予定物件や生活スタイルに置きかえて考える必要があるんだ。 | |
スミコ: | たしかにパンフレットのイラストを見ていてもついつい夢見てしまうものね。 | |
スミオ: | 逆にダイニングに入れたいテーブルやソファ、寝室のベッドのサイズなどが事前に分かっていれば、モデルルームを活用して実際の生活実感を確かめることもできるんだ。 |
スミコ: | でもそうなるとせっかくモデルルームに行っても具体的なことは分からないのかしら。 |
スミオ: | そうではないよ。課長が言うには、モデルルームにしか無いものが2つあるんだって。 |
スミコ: | どういうこと? |
スミオ: | ひとつは、販売担当者。資金計画の有利な話ばかりをして、とにかく「買わせよう」とする場合は要注意。もっと具体的な耐久性や耐震性、メンテナンスのことなどの質問に答えてくれるかどうかで売り主の姿勢を判断できるそうだよ。 |
スミコ: | でもパンフレットにある一般的な話で、はぐらかされたりはしないのかしら。 |
スミオ: | モデルルームには通常、「設計図書」という図面が閲覧できるよう備えられているんだ。これは設計図面一式で、これがなかったり、「変更中で閲覧できない」というケースもあるけど、「変更前のものでもいいので見せてください」と必ず見せてもらうべきだって。ふたつめがこの「設計図書」だ。 |
スミコ: | でも、それは専門的な図面なんでしょう? 見せてもらって分かるのかしら。 |
スミオ: | タイプ別の間取りの確認、階高(※注釈)、窓の位置、床の厚さ、材料など、基本的な疑問を「設計図書」を使って説明してくださいとお願いすればいいんだよ。もし、販売担当者が説明できなければもっと設計に詳しい人を呼んでもらうんだ。 |
スミコ: | そうよね。住まいを決めるためのモデルルームなのだから、そこまで説明されてこそ出かけていった甲斐があるわけだものね。なんだか、ちょっと気持ちに余裕が出てきたわ。 |
スミコ: | でも、なんだかモデルルームに行くワクワク感がうすまっちゃったんだけど。 |
スミオ: | ちょっと用心しすぎたかな。モデルルームが、その物件の良さやアピールポイントを伝える場であることは間違いないよ。それは購入する満足感の上でも大事だよね。実際、課長も見方が分かった時からモデルルーム巡りは楽しいものに変わったそうだよ。 |
スミコ: | 会ったことないけど、私、その課長さんの言うことなら信頼できそう。 |
スミオ: | まったく希望物件と異なるモデルルームでも、住まいの最新展示という意味で新しい情報がたくさんあるし、体感できるチェックポイントはたくさんある。行かなきゃ損だってさ。たとえばいちばん知りたいのは何? |
スミコ: | キッチンかなあ。部屋の広さってイメージできるけど、キッチンはちょっとね。 |
スミオ: | そういう所から確認していくと分かりやすいよね。手元の明るさや広さ、動線も体感しないとなかなか分からない。 |
スミコ: | モデルルームは、かしこまらず、うかれず、活用する場所というわけね。 |
スミオ: | 最後に課長が、チェックポイントをまとめてくれたんだ。これを参考に、僕らなりに確認したい点を事前にまとめておこうよ。 |
スミコ: | いっそのこと、課長さんに一緒に来ていただいたらどうかしら? |
スミオ: | 僕が緊張して判断が鈍っちゃうよ。それにせっかくの休日なんだから。それだけは勘弁して。 |
モデルルームは夢に見た住まいが理想の形で再現されています。豪華で洗練された演出を楽しみながらも、自分たちの暮らし、将来設計をしっかり把握してよく観察しましょう。売り手の考え、設備の使い勝手を実際に体感できる貴重な機会でもあります。納得できれば、必ずその先に理想の物件は見つかるはずです。冷静で確かな目を養いましょう。
取材協力:株式会社さくら事務所(外部サイト)
参考資料:「知識ゼロから始める究極のマンション選び」 |