客がゾロゾロと…闇金も「金高騰」に“便乗”

★金、株、FX…巧妙化する“投資詐欺”の手口

2011.09.10


金価格高騰に便乗?「金貨金融」を初摘発【拡大】

 今年6月29日には、全国で初めて「金貨金融」が立件されている。金貨や地金を“後払い”で販売し、購入者が換金した後に、換金額以上の代金を請求するというもの。4万円の金貨を購入したら、10日後には5万円支払わなければならないが、購入者は換金業者に持っていけば即現金4万円を手に入れられる。実質的な高利貸しに当たる(上記のケースでは年利900%)として、出資法違反で逮捕されたわけだ。その利息は法定利息の83倍にも達していたと報じられている。ある闇金業者幹部が事件の背景を話す。

「新しい手口に見えるけど、中身は最近話題になっているクレジットカードの現金化と同じ。買い物の形をとって、貸し付けているだけですから。昔から腕時計や家電、宝石を使った同様の高利貸しが行われていたんです。ただ、金貨のいいところは最近、金価格が高騰しているでしょ? 安く金が手に入るんじゃないかと勘違いするヤツも含めて、客が集まりやすいんですよ(笑)」

 さらに、手間がかからないという利点も。金の相場は明らかな上に、買い取り業者は無数にある。事前に、一定の金額で買い取ってくれる業者を準備する必要もない。

 なお、逮捕された金貨金融業者は’10年3月から今年5月にかけて215人に約7500万円を貸し付け、1800万円もの利息を受け取っていたという。やはり、金価格が高騰していた時期とぴったり重なるのだ。

 ■実体のない「被害者の会」?

 詐欺事件では、時に「被害者の支援組織」を装った詐欺師が暗躍する。過去には未公開株詐欺や社債詐欺にも手を染めたという闇金業者幹部が話す。

「被害者の会や資金回収の手助けを行うNPO法人をつくって被害者を集めれば、次の“仕事”に役立つカモリストが出来上がる。弁護士と結託すれば、被害者を紹介する代わりに紹介手数料をもらうこともできる。『被害者の会への登録費』とか適当な名目をつけて、被害者から小遣い程度のカネを引っ張るのも簡単。過払い金返還訴訟騒ぎで有名になっちゃった手口だけど、元手もかからず、リスクもないから増える一方だね」

 被害を与えた当事者が“支援組織”をつくることもあるという。わずかな和解金で被害者を丸め込み、事件化しないように取り計らうためだ。実体の見えない被害者の会にも用心を!

▼▼ファンド詐欺の典型パターン▼▼

1 毎月3%などの高配当を謳う
 オイシイ話には裏がある、もっともわかりやすい特徴。ただし、最近では「年利5%」などの“ありそうな”利回りを謳って勧誘する詐欺商品も……

2 「金融庁登録済み」を謳う
 当たり前のことを大げさに宣伝している業者には要注意。投資リスクについての説明不足をカムフラージュしている可能性が高い

3 取引履歴が公開されない
 毎月の利益と配当のみが明らかにされ、運用実体が見えないものも要注意。取引の詳細や運用報告書が提示されなければ単なる“タコ足配当”の可能性大

 取材・文/池垣完(SPA!) 図版/ミューズグラフィック

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