7月末、「月々5〜10%の配当を出す」と騙って、4600万円集めた人物が出資法違反で鳥取県警に逮捕された。FXで運用する、「FXファンド」を謳った詐欺事件だ。
こうした“ファンド詐欺”は、’07年の金融商品取引法施行に伴い無登録業者の勧誘行為に刑事罰が科せられるようになったにもかかわらず、沈静化する兆しを見せていない。国民生活センターによれば、ファンド関連の相談件数は’09年度で3000件、’10年度で5000件と増加傾向にあるのだ。
「1年ほど前に、『年利30%以上のファンドに投資しないか?』と勧誘を受けたんです。保留してたら、『昨年7月から出金できなくなった』と聞きました。知人は70万円投資して、ほとんど返金されていません。なかには1000万円単位で投資した人もいるらしい」
こう話すのは通称「121関連ファンド」と呼ばれる金融商品の勧誘を受けた都内在住の男性だ。
同ファンドは、’08年7月まで121証券(旧ミスター証券)の社長を務めた林云(リンユン)氏(’10年6月まで同社取締役)が’05年に設立した香港の投資会社、121 INTERNATIONAL INVESTMEN(121INT)がFX自動売買システムで資金を運用する“高配当”を謳った金融商品。昨年10月に「121関連ファンド最高責任者 Jack Lin(林云の通称)」のサイン入りで、「運用資金を事業に流用しました」と告白する文書が投資家にのみWebで公開され、その詐欺的実体が明らかになった。
被害総額は100億円とも200億円ともいわれており、“FXファンド事件”としては過去最大規模の事件に発展している。今年3月には被害弁護団が結成され、同ファンドを売り捌いた代理店に対する損害賠償請求訴訟が6月から本格化したのだ(121証券は「121INTと資本関係はなく、林云はもはや株主でも役員でもない」と関係を完全否定)。【続きを読む】