文部科学省は12日、東京電力福島第1原発事故後に実施している周辺海域での放射性物質濃度調査で、多くの地点で不検出の状態が続いているため、今後は検出限界値を下げて最大約1万倍まで精度を高めることを明らかにした。また試験的に7月末に採取した海水を高精度で調べたところ、原発から約30キロ東の地点でセシウム134(半減期2年)を1リットル当たり0.39ベクレル、同137(同30年)を0.51ベクレル検出した。この数値は事故前の200~400倍だが、飲料水で定めた国の暫定基準値の200分の1程度という。
一方、原発から60キロ東では同134が0.0061ベクレル、同137が0.0092ベクレルだった。これまでの検出限界値は同134が6ベクレル、同137が9ベクレルだったため、内閣府原子力安全委員会が精度向上を求めていた。
今後は、原発を中心に海岸から280キロまでの海域を四つに分け、それぞれ最適な検出限界値を設定して、計96地点で調査を続ける。【野田武】
毎日新聞 2011年9月12日 20時28分