ソフトバンクの孫正義社長は12日、私財10億円を投じた「自然エネルギー財団」(トーマス・コバリエル理事長)の設立イベントで、高圧直流の海底送電ケーブルで北海道から九州までを結ぶ「スーパーグリッド」を構築すべきだと政策提言した。東西で余った電気を融通し合えるようになり、自然エネルギーの活用にもつながるとしている。
孫社長は「約2兆円で日本海岸沿いに長さ2000キロの海底ケーブルを引ける」と主張。現在は変圧しやすく電力損失が少ない交流で送電しているが、東西で交流電源の周波数が異なり、融通できない問題がある。孫社長は直流ならこうした課題が克服できるとし、「出力に増減がある太陽光や風力などの自然エネルギーも生かせる」と述べた。
さらに、「スーパーグリッドは3000キロの距離を送っても送電による電力の損失は5%で済む」と指摘。アジア全域を結ぶ送電網を整備し、電気の輸出入によって供給安定化や料金引き下げにつなげる構想も示した。
孫氏は財団を通じて世界の専門家100人の協力を得て、自然エネルギーのコスト競争力強化や発送電分離などの電力市場活性化策を研究し、政策提言していく考え。【乾達】
毎日新聞 2011年9月12日 19時38分