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[29684] 【短編連作】究極(H・O・T・D)!!変態仮面【エクストリーム謝罪級】
Name: str◆87c5f11c ID:8b00ffdf
Date: 2011/09/10 03:27


 ――――――――――――久しぶりのチラシの裏投稿!!


この作品は自作『究極(リリカル)!!変態仮面』の主人公、
色条狂介の能力を持って転生した元オリ主が他作品世界をめぐる短編連作です。
題名は其の都度変わりますのでご了承下さい。

また、上記の『究極(リリカル)!!変態仮面』をお読みでない方も楽しめるよう配慮しておりますが、上記作品の保管もかねておりますので、ご了承下さい。

【免責】
以下の条件に該当するお方は申し訳ありませんがブラウザバックでお戻り下さい。

・この作品は最低系SSです。
・元の世界観を崩されたくないお方。
・アンダージョークを解されないお方。
・遅筆に我慢ならないお方。
・武侠小説風の文体に我慢ならないお方

・変態仮面とマスク・ザ・パンツの違いがわからないお方

 以上、ご了承いただけた方、ご覧いただければ幸いです。



[29684] 究極(H・O・T・D)!!変態仮面
Name: str◆87c5f11c ID:8b00ffdf
Date: 2011/09/10 03:45
見よ!この大橋の隅々までに群れる『奴ら』の数を!!
 その数目視で万を超え、端の中央で必死に防戦する小室孝と藤美学園の面々はまさに命運風前の灯火也!!

「小室!ショットシェルの弾数は!?」
「ポーチに有る6発で最後!そっちは!?」
「後2マガジン!」
 平野コータの声にも流石に焦りが見受けられる。



 ――――――まことに理不尽なことではあるが、この人工100万人を有する床主市(とこのすし)だけに有らず、
 この日本、世界において蔓延した『殺人病』の猛威は人々の平穏を、過去のものとした。



「まっずいわ、こっちは腕が上がらなくなってきた…………年取りたくないわね」
「お母さん!!」
 じわじわと後退を余儀なくされる宮本親子、反対側の毒島冴子の言葉も十数分前から無く、ただ彼女の気配が、
非戦闘員である鞠川 静香、高木沙耶、希里ありすを囲む絶対防衛線(男二人だけの、寧ろ点である)に近づいてくる。


  
 ――――――死して尚、肉腐りて尚、生者を同胞に引き入れんとする亡者。
 ――――――――――――彼等は、その猛威を指して『奴ら』と呼ぶ。



「――――――――――――沙耶ちゃん!」
 鞠川静香の腕の中で希里アリスが叫ぶ。
 いつもなら呼び方を訂正してくるはずの鋭い声は今に限って無く、眼鏡の奥に焦りを滲ませながらハンドガンの動作を確認。
 高木沙耶も又、平野コータの横に着き防衛の一端をになうことになる。



 ――――――――――――授業は、もう、無い。

 ゆえに己が意思で、死者の猛威と生者の傲慢を搔き分けて、彼等は今日まで戦ってきた。
 高木家を離れショッピングモールの篭城をあきらめ、住宅街の片隅で宮本麗の母・貴理子と再会し。
 最後の救援を前に紫藤一行との衝突、希望の道を絶たれて尚、小室孝の判断と、各々が死力を尽くし此処までたどり着いた。


 ――――――だがしかし、此処まで。



 鞠川静香は唇を噛んだ。
 『奴ら』の群れは波と化し、拾数分後には若者達を飲み込むだろう。
 『奴ら』は勇敢にして誇り高き彼女の教え子達を噛み殺し、腕の中に居る幼子すらも臓腑に納めんとするだろう。
 『奴ら』憎し!――――――しかして、諦めぬことを信条とする彼等にしても、この窮地!
 いかにして乗り越えられようものか!!




――――――――――――せんせい、ありす、みんなと此処までこられてよかったよ。



 耳障りな『奴ら』のうめき声を縫うように、鞠川静香の胸の内でくぐもった声が聞こえる。
 抱きしめる腕に力をこめると、すかさず抱擁を返す小さな体。

 鞠川静香は胎を決めた――――――橋から川面までおよそ25メートル。
 愛すべき生徒達が力尽きたならば、其の姿をしかと見届けた内。
 眼下のドブ川へ飛び込もう――――――自身がクッションとなれば万に一つ、ありすは助かるやも知れぬ。
 『奴ら』は水に入れぬ――――――上手く流れれば少女は今しばらく、生き延びられるだろう。

 立ち上がる鞠川静香、端の手すりにもたれ、呼吸を整える。
 上手く、平行に、川面に叩きつけられるのだ。



 ――――――――――――そうすれば、必ず。
 ――――――――――――自身が自慢のオパーイが、ありすの体を守ってくれる。




 さて聡明なる諸君等ならば周知の事実、あえて問う。

 オパーイとは何か――――――――――――――――――――――――正義である。
 個人的には大きければ大きいほど良し。

 故にその内に悲壮な覚悟を決めるならば、天文学的に低い確率であろうと、希望は其処に飛び込むのだ。

 時空の裂け目、僅か拾数ミリに満たぬ其処から、何かが飛び出し、鞠川静香の胸に収まった。
 そして見よ!――――――無慈悲な進軍を続ける『奴ら』の歩みがつとに!留まったのである!

「なに…………?」
「ど、どうしたんでしょう…………高城さん」

 辺りを見回す二人の知者が、鞠川静香の傍らに有る異変に、ついに気が付いた!
「せ、先生――――――貴方の左に!ひ――――――人魂がッ!?」
「――――――――――――まぁ」







 間違いなく、あの人魂を『奴ら』は恐れているのだろう。
 外見はオカルトの類であろうが、けして其の未知なる恐怖は『奴ら』を上回る事無く。
 切り裂かれた数十センチの次元の裂け目から顔を見せるソレは、ほのかに暖かい気を発し、後光すら差していた。

 あの光の下ならば安全だ――――――息を切らせた戦士たちが再び一堂に集う。
 無限に続くかと思われた戦いに、ふと訪れた小休止。
 だが、果たしてこの人魂はなんであろう――――――高木沙耶は検分しようとした。

 だがしかし、触れようとしたとたん其の人魂は左にぶれて、次元の裂け目を残し、姿を消す。

『Va……………』
『uaaa…………』

 一歩、二歩と後ずさる『奴ら』――――――何故『奴ら』は恐れるのか、何を恐れるというのか。
 其の正体はまもなく明かされる。
 他ならぬ、高木沙耶の目の前で――――――――――――次元の裂け目からたくましい『右足』が生えたのだ!!



 ソレは網タイツのように魔導式を絡みつかせ、筋肉質で、少しむっちりしていた。
「ひっ!?」
 尻餅をつく高木沙耶――――――機敏に動くデブ、すかさずソレの前から引き剥がす。





「くそ…………狭すぎる…………コレでは出られんな…………」





 あまつさえ、其処から声まで聞こえてきた――――――再び彼等の前に顔を見せる『人魂』
 否、違う――――――ソレは人魂ではない、何か布に包まれた男の股間!
 何とかこちらの世界にやってこようと左右にブオンブオンと揺れる圧倒的存在感!!

 そして彼がようやく左足を、力強く地面に叩きつけた瞬間――――――変化は『奴ら』の方に訪れた!!






『『『AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』』』
『『『OOOOOOOOOOOOWWWWWWWWWWAAAAAAAAAAAAAAA!!!??????』』』
『『『ブルァAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!???????????』』』
『『『KKKKKYYYYYYYYYYYYYYYYAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!』』』

 犯されるとでも思ったか?生前の羞恥心を取り戻したのか!?これから彼等に降りかかろう蹂躙に恐れをなし。
 『奴ら』は競うように橋下へダイブを敢行したのである――――――まるでレミングの集団自殺だ。



「「「「「「「「や…………『奴ら』ァァァァァァァァァl!!??」」」」」」」」



 待ってくれ!置いていかないでくれ!!――――――思考を止められた小室孝の一行が引き止めるも遅し。
 橋が落ちるかとばかりの人口密度を見せていた彼等の周りにはすでに、人影もなし。
 何処からかダンブルウィードが風にのって転がってきた。



「――――――――――――――――――ふんぬ!!」
 そして背後で、気合の乗った声が響いた。
 一同、さび付いた音を立てるかのようにゆっくりと、其の異変へ目を向ける。

 たちまち異様に目を見開く一同――――――次元の裂け目から上半身を抜いた其の男。
 体をブラジル水着のようなもので包み、あまつさえ顔を女性の下着で隠していたものですから。



「ここが――――――『学園黙示録ハイスクール・オブ・ザ・デッド』の世界か」
 ゴゥ!と男の瞳に質量炎が灯る――――――今、秩序を失った世界に正義光臨!!

 そして腰を落としたままの高城沙耶の前に、水溜りが広がって行く!!








「「へ、変態だぁぁぁぁぁぁ!?」」
 孝とコータが手にした銃を男に向けると、異世界からの来訪者は心外だ!とばかりに訂正する。

「変態ではない――――――私は変態仮面だ」

 ゆっくりと近づいてくる其の男、変態仮面。
 地面でガタガタと震える高城沙耶に気が付くと、其の手を差し伸べる。
「諸君――――――あの絶望的な状況に一歩も怯む事無くよく戦い抜いたな。
同じ戦士として敬意を評する――――――故に、トイレに行く暇が無かったなど些細な問題である」
 否、差し伸べたわけではない――――――自然な動作で高城沙耶のスカートに手を差し入れた変態仮面。
 慣れた手つきでぬれぬれぱんつを引き剥がすと、橋の下に投げ入れる。
 そして、おもむろに其の手を自身の股間に突っ込んだものだが…………

「しまった、今は代えのパンツを持ちあわせていないのであった。
――――――――――――炎で乾かした方がよかったか?」

 橋の上から覗き込むと、眼下では錦鯉が餌に群がるかのように、男の『奴ら』がパンツを奪い合っている。
 女子高生の生脱ぎパンツはおいしいかい――――――言わせんな恥ずかしい。
 黄金水が染みこんですらいるのだが――――――我々の業界では寧ろごほうびです。

 互いに親指を立て、戦士と奴らは解かり合った。
 まあ、目を離せば再び『奴ら』は無様に溺れ始めるわけだが。



「さて、探し物を始める前に――――――小室孝君」
 ゆらり、と眼前の炎を揺らめかせ、変態仮面は振り向いた。
「――――――お、俺ぇ!?」
「どうやら君は女の子の乳をショックアブゾーバー代わりに対物狙撃銃を撃ちまくったそうじゃないか?
感触はどうだった?さぞかし弾道が安定したことだろう。
まあ下半身の暴発を招くところであったろうが…………」
 ゆらり、ゆらりと孝に近づく変態仮面――――――其の非紳士的行為をとがめているのだ。



「――――――――――――私の『バイポッド』も試してみないか?」


 そして彼の姿が掻き消えたと思った瞬間、孝の眼前にたくましい変態仮面の『バイポッド』が現れる!
 着弾までほんの数ミリ、神業的な寸止めである。

「ひ、ひいいいぃぃぃぃぃぃぃ!?」
 節足動物のように後ずさる小室孝――――――変態仮面が腰を突き出す0.5秒前。
 孝は沙耶と一緒に、橋の隅っこでガタガタ振るえ始める。



「――――――待て!この痴れ者め!!」
「――――――――――――これ以上孝に近づかないで!!」

 そして、変態仮面の前に二人の女傑が立ちふさがる。
 毒島冴子、そして宮元麗――――――小室孝に思いを寄せる乙女である。

「痴れ者だと?笑わせてくれる」
 だがしかし、クロッチの下で不敵に笑う変態仮面。
 差に有らん――――――立ちふさがる2人は瞬間、女の顔で火花を散らし始めたからである。
「一人の男を巡り恋の三角関係、其の余波を受けるは当人達だけに有らず。
この非常時に関わらず、どちらが跨るかで嫉妬の炎を絶えずメラメラさせて見苦しいぞ似非大和撫子共!!、

――――――――――――女子力よりも先に人間力を培うがいい」

 ズビシと乙女を指差す変態仮面。
 うんうん、と頷く平野コータを目にも止めず、めずらしく冴子が激昂した。

「お前だけには『見苦しい』とか言われたくないわ変態がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 男子(おのこ)過ぎるわ!とばかりに村田刀を振り下ろす冴子。
 だがしかし、再び掻き消えた変態仮面の体、何処に行ったと周りを見回すも其の姿認められず。
 故に、傍らで手に汗を握っていた宮本貴理子が伝えるのだ――――――その思いがけぬ彼の居場所を。

「さ、冴子ちゃん…………刀の先に――――――」
「刀の先――――――はっ!?」

 獲物を正眼に構えると、確かに奴は居た!
 まるで牛若丸のように、変態仮面は日本刀の刃先でセクシーポーズを獲っていたのだ。







「この…………貴様…………離れないかッ」
 振り回そうとも、峰を返そうとも、まるで接着されたかのように刃先から離れない変態仮面。
 それどころか、振り回すたびに新たなポーズを決める余裕すら、持ち合わせていた。
「やれやれ、いきなり切りかかられるとは思わなんだ…………だがしかし良い剣技を魅せてくれる。
――――――ならば此処は一つ、私も『変態秘奥義』にて、貴様等をお仕置きしてくれようかッ!!」
「「へ…………『変態秘奥義』ッ!?」」
 声を揃えていぶかしむ乙女二人、そして変態仮面は体重を感じさせぬ見事な跳躍。
 そして今度は刀の先に『きをつけ』の姿勢で、股間を支点に着地した。



「ゆくぞ――――――変態秘奥義《重振動・素敵スペーストップ》ッ!!」


 ――――――瞬間、男は竜巻と化した。
 毒島冴子の獲物の先で『宇宙ゴマ』の名の通り高速回転する変態仮面。
 ジャイロ効果は安定を見せるも時折魅せる腰の振りが冴子の刀をガタガタ揺らし、取り落とさせんと攻め立てる!
 だがしかし、此処で刀を取り落としてしまえば最後。
 この渦に巻き込まれ、自分の体は瞬く間にご無体されてしまうに違いない!
 あ~れ~くるくるは思い人の手でやってもらいたいものだ。

「毒島先輩!――――――そのまま動かないで!!」
 横合いから宮本麗が槍を手に突っ込んできた。
 高速回転する変態仮面の体に、勢いの乗った突きが繰り出される――――――程なく、冴子の刀から振動は消えた。



「突き落としたか――――――助かったよみやも…………何ィィィィィ!!??」



「いやぁぁぁぁぁ!!――――――こっち乗り移ってきたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 槍を橋の手すりにがんがん討ちつけようと、蜂の羽音を思わせる旋回音を伴って、変態独楽はまだ回っている!
 今度は宮本麗の槍の穂先だ――――――長い分、麗の手元に伝わる振動も強い。
 だがしかし、一度麗が其の槍を手放したが最後!

 ――――――――――――彼女の顔に『生々しさの塊』が押し付けられるのは明白である。

「孝!取って!――――――コイツ取ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「ば、ばか麗!こっち向けるなぁぁぁぁぁ!!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 阿鼻叫喚の嵐、しかし半狂乱で槍を振り回す麗を見て、鞠川静香の脳裏に変態的発想が起こる!

「――――――――――――フィニッシュッ!!」
 埒が明かぬと麗の下へルパンダイブを決行した変態仮面――――――そして割って入る鞠川静香!!





「…………え~~~い!!」




 彼女は本来宮本麗の顔面に直撃するはずだった凶器を、なんと己がオパーイで受け止めたのであった!!







「――――――――――――ハウア!?」
 ぶつかり合う正義と正義。
 うめき声を挙げて硬直する変態仮面、海老反ったまま乳圧に押され空中で固定される。
「せ、先生…………何を?」
「え~だって~、男の子ってぇ~一発抜いたらおとなしくなるでしょ~?」
 正義の塊をもにゅんもにゅんと揺さぶりながら麗の疑問に答える静香。
 あんまりといえばあんまりな対策に、引きつった顔を浮かべる女性陣、ありすだけが良くわからない顔をする。
 ――――――そして嗚呼、見る見る変態仮面の血液が、彼の股間に集まり始めたのだ!
 ソレは今だかつて、成される事のない奇跡であった。

「うわばかなにをするやめ…………」
「ん~、若いだけあってぇ~、すごく元気ね~」
「――――――おうふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!」

 苦痛なのか快感なのかわからない声を挙げ、変態仮面はビクンビクンと震え始める。
 だがそれだけに留まらず――――――彼の体はヤクルトの容器が如く、内側にベコンベコンと凹み始めたではないか。
(…………こいつ――――――いったいどれだけ出す気なんだ!?)
 思いがけぬ変態仮面の変貌に声を失う一行、孝の脳裏に浮かんだのは其の一言のみ。
「う~わ~…………おもしろ~い!!」
 頬を赤らめ、更に情熱的に乳を揺さぶる鞠川静香。




――――――――――――そして遂に、変態仮面が今まで股間に溜め込んだ善なる奇跡『生命の光』が。
――――――――――――先走りとなってほんの少し、この世界に解き放たれる!!



 眩い光が一同の視界を多い尽くし、さしもの静香も魔的パイズリを中断した。
 そして其の光は橋の下、溺れ続ける『奴ら』の元にも届き、其の瞳に輝きを取り戻させる!!

「み、みんな――――――――――――川の方を見て!!」
 宮本貴理子が川を指差し、視力を回復させた仲間たちが見下ろす先。
 透明度を取り戻した川を、万を超える『奴ら』がまるで鮭のように泳ぎゆく姿!!




「や…………『奴ら』が海に帰ってゆくゥ!?」
「変態のおにいちゃんすごーい!!」
 コータが驚きを言葉にして表し、ありすが歓喜の声を上げた。



――――――――――――食物連鎖の底辺に立ち戻ることを決意したかつての人間は、はるか未来で再び霊長に帰るだろう。
――――――――――――其の日まで残されたものは、再び文明を築き、残して行く使命を追ってゆくのだ!
――――――――――――蔓延する『殺人病患者』のほんの一部であったが、それは未来への希望を感じさせる光景に他ならぬ!
――――――――――――其の場に居合わせた一同は、其の雄大な光景に涙を禁じえなかった。








「ハァハァ――――――抜かった…………この私とあろうものが」
 数秒前まで無様にアヘ顔を晒していた変態仮面、眼前に転がっている魔珠を発見する。
「――――――――――――コレは『厄際の種』…………まさか鞠川女医の胸元にあったとは…………」
 軟体動物のようにのたくる腕を伸ばし、指先ほどの宝石を手に取る。
 苦労して股間の袋に収めると、返し手で『ファンフィクションコマンダー』を取り出した。

「あ、ごめんねぇ~、びっくりしてはねとばしちゃったぁ~」
 鞠川静香を筆頭に、変態仮面の元へ集う生存者達。
「なに…………どうということはない――――――寧ろ危ないところであった…………」
 抱き起こされる変態仮面、しかし其の体はだれが見ても明らかに変調をきたしている。
「ちょ、ちょっと先生――――――コイツ体の骨バラバラになってませんか!?」
「うっわ…………打ち上げられたタコみたい…………キモッ!?」
 孝がいぶかしみ、麗が槍の尻で変態仮面の体を突っついた。

「う~ん…………まさに骨ヌキ?」
「先生…………そんなこと言っている場合じゃないでしょう…………」
 額に手を当てて冴子があきれる。

「そう!そうよねぇ~!!――――――んふ、じゃあ続きしよっかぁ~」
「ちょ!!ギブギブ!!――――――私絶頂すると死んじゃうから!!」
「え~?」
 舌なめずりをして胸元をはだけた静香の後ろで、若者達はそろって『何物なんだコイツ』というような顔をした。

「――――――ところで諸君…………紙とペンを持っていないか…………?」
 手元のファンフィクションコマンダーをのろのろと操作し、地図のようなアプリを開く変態仮面。
 ずいぶんと苦労して、略地図と住所を写し終え、孝に手渡す。
「――――――この場所は?」
「酔狂な金持ちの集団がカンパして作り上げた、地下の核シェルターだ…………会員は誰も残って居ない。
君達だけなら、備蓄している水と食糧も合わせて…………『殺人病』騒ぎが収まるまでは立て篭もれよう。
――――――――――――連載が再会されず、万策尽きたときは其処に行け」
 メタ発言をし、虚空へ向けてファンフィクションコマンダーを操作すると、其処に再び時空の裂け目が出現する。

「――――――くそッ…………少々休んで体を立て直さなくばなるまい…………」
「ま、まってくれ――――――何処へ行くんだ変態ッ!?」
「私は――――――変態仮面だッ!!」
 ナメクジのように次元の裂け目を目指す変態仮面を呼び止める孝。

 しかし、制止の声を振り切って彼は進む――――――幾多の世界に散らばった『厄際の種』を取り戻す使命を果たすべく!
 だが、最後に正義の戦士は振り向いて、鞠川静香のバストを憎憎しげに眺め、其の正義の塊に告げるのだ。






「…………いいオパーイだったぜ――――――おぼえてろバァァァァァァァカッ!!」

 ――――――――――――力の限りに、其の捨て台詞を。


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