フランス南部ガール県のマルクール原子力関連施設で12日午前11時45分(日本時間午後6時45分)ごろ、爆発事故があった。仏原子力安全機関(ASN)によると、少なくとも1人が死亡、4人負傷。仏エネルギー省は事故による放射能漏れはないと断定した。
現場は、南部の都市アビニョンから30キロ離れた農業地帯。放射性物質の管理や使用済み核燃料の保管に使われる施設で、稼働中の原子炉はない。爆発後に火事が起きたが、鎮火した。
ASNは、爆発があったのは「低レベルまたは非常に低レベルの放射性廃棄物を処理する施設」とする声明を出した。ロイター通信によると、放射性廃棄物などを溶かすのに使われる溶融炉という。AFP通信によると、施設の一部では、仏原子力大手アレバが核兵器から抽出したプルトニウムを使い、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を製造している。
仏内務省によると、放射性物質が施設の内外で検出されていないため、事故時に施設にいた従業員に対し、待機や避難の命令は出していないとしている。ただ、地元紙(電子版)によると、警察は施設の一帯の立ち入りを一時禁止した。
一方、ウィーンで理事会を開催中の国際原子力機関(IAEA)の天野之弥(ゆきや)事務局長は、12日の記者会見で、仏政府に対し、事故についての早急な情報提供を求めていることを明らかにした。IAEAは事故直後から、東京電力福島第一原発の事故でも対応した事故・非常事態センターで、今回の爆発事故の情報収集を始めているという。(パリ=稲田信司)