節電:サマータイム、都心は逆効果? 帰宅後に電力消費増

2011年7月13日 15時0分

 打ち水や日本版サマータイムを実施しても、都心での電力消費は減らないことが、産業技術総合研究所や明星大などのチームの分析で分かった。職場を早期退社しても、家庭でのエアコン利用が増えることなどが理由という。22日から茨城県つくば市で開かれる日本ヒートアイランド学会で発表する。

 各地で猛暑日(最高気温35度以上)を記録した07年8月5日に、都内の各地域での実際の電力消費量をもとに、節電対策を実施したときの変化を試算した。

 その結果、打ち水で午後1時に道路1平方メートル当たり1リットルの散水をした場合、オフィスと集合住宅では節電効果がなく、一戸建て住宅では逆に1%電力消費が増えた。気温は0.6度下がるが、湿度の高い空気が室内に入ってエアコンの負荷を高めるためという。

 また、午後4時に終業するサマータイムでは、オフィスの電力需要は10%減るが、自宅でより多くエアコンを使うため、集合住宅で27%、一戸建てで23%それぞれ増え、全体では4%増となった。東京の場合、1人暮らしが全世帯の約4割を占めるため、夕方以降にエアコンなどを使う世帯が増えるのが理由としている。

 一方、すだれなどによる日差しの遮蔽(しゃへい)では5%減、エアコン設定温度の見直し(住宅24.5度、オフィス26度からそれぞれ28度)で5%減の効果があった。

 明星大の亀卦川幸浩准教授(都市気象・熱環境学)は「地域全体での効果を考えて対策を練ることが重要だ」と提言する。【田中泰義】

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