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米同時テロ10年:「グラウンド・ゼロ」の呼称巡り論争

建設が続くニューヨークの世界貿易センタービル跡地。手前が北タワー池=山科武司撮影
建設が続くニューヨークの世界貿易センタービル跡地。手前が北タワー池=山科武司撮影

 【ニューヨーク山科武司】米同時多発テロで航空機が突っ込んだニューヨークの世界貿易センタービルの跡地の呼称を、核爆発の爆心地を意味する「グラウンド・ゼロ」から、元の「世界貿易センター」に戻そうとの動きが出ている。

 「もはや『グラウンド・ゼロ』と呼ぶべきではない」。「『グラウンド・ゼロ』で起きたことを忘れることは絶対にないが、『世界貿易センターと国立9・11追悼博物館』と呼ぶ時期が来た」。ニューヨークのブルームバーグ市長は6日朝、マンハッタン南部(ロウアーマンハッタン)の再生計画に触れた演説でそう訴えた。

 発言の背景にはロウアーマンハッタン地区のめざましい復興を受け、過去を払拭(ふっしょく)して再開発を促進したい実業界の思惑もある。01年に3万人を割った地区住民数は現在5万6000人に増え、1920年以来最大となった。03年に7500社にまで減った企業の数は8400社を超えるまでに回復した。

 ブルームバーグ市長は7日の会見でも「地区の復興には10年以上かかり、ビジネスはもう戻らないと言われた。だが、我々は復興を成し遂げつつある」と胸を張った。しかし、一部の遺族らを中心に「グラウンド・ゼロ」にこだわる人々はいる。大衆紙ニューヨーク・ポストは「英雄的な活動で殉職した警察官や消防士の居場所をなくすものだ」と批判した。

毎日新聞 2011年9月8日 12時05分(最終更新 9月8日 12時46分)

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