歴史的な円高で日本の自動車メーカーの国際競争力の低下が懸念されるなか、トヨタ自動車が、労働組合に対し、従業員が毎月の労働時間の上限に縛られずに柔軟に働くことを認めるように申し入れ、組合側も議論を始めることが分かりました。
トヨタでは現在、研究開発など一部の職種を除いて従業員の毎月の労働時間に上限が設けられ、この上限を超えて働けない仕組みになっていますが、日本を追い上げる韓国の自動車メーカーなどは、忙しいときには上限を超えて働ける、より柔軟な制度を取り入れています。トヨタでは歴史的な円高が続くなか、こうした制度の差が国際競争力の低下を招く要因の一つになっているとして、組合側に毎月の労働時間の上限に縛られない柔軟な働き方を認めるよう申し入れました。これを受けて、トヨタとグループ各社の労働組合が加盟する「全トヨタ労働組合連合会」では、今月16日に静岡県浜松市で開く定期大会で、来年の春に向けて議論を始める方針を明らかにすることしています。しかし、組合の内部には、今回の申し入れを受け入れると際限のない労働につながるとして警戒する意見もあり、今後の労使交渉の焦点の一つになりそうです。