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鉢呂経産相辞任:臨時国会前に収拾急ぐ 自民、対決姿勢

野田佳彦首相(右)と共に福島入りし放射線量の高い地域の除染について説明を受ける鉢呂吉雄経産相(左)=福島県伊達市の富成小で2011年9月8日、小林努撮影
野田佳彦首相(右)と共に福島入りし放射線量の高い地域の除染について説明を受ける鉢呂吉雄経産相(左)=福島県伊達市の富成小で2011年9月8日、小林努撮影

 東日本大震災からの復興と原発事故の収束を最優先課題に掲げた2日の組閣からわずか9日目、野田内閣は原発事故対応や原子力政策の見直しを担当する鉢呂吉雄経済産業相の辞任で大きくつまずいた。野党側は13日から始まる臨時国会で野田佳彦首相の任命責任を追及する構え。首相は復興経費を計上する11年度第3次補正予算案の編成へ向け自民、公明両党に与野党協議を呼びかけたが、自民党は対決姿勢を強めている。【須藤孝、佐藤丈一、片平知宏】

 鉢呂氏は10日夜、地元・北海道の民主党道議らに電話し「首相に迷惑をかけることはできないので潔く辞任した」と説明した。「放射能をつけた」という失言が被災者の野田内閣に対する信頼を失墜させ、事故対応の障害となることを首相も懸念したとみられる。

 首相としては、初の所信表明演説に臨む13日の臨時国会召集を前に問題収拾を急ぐ必要もあった。「ねじれ国会」では、問題を抱えた閣僚は参院で問責決議案を可決される危険性がつきまとう。政務三役の一人は「このまま続けていれば傷を広げた。そもそも(農政に詳しい)鉢呂さんを専門外の経産相に起用したのが間違いだった」と指摘する。

 野田政権ではほかにも「安全保障に関しては素人」(一川保夫防衛相)、「内閣は不完全な状態」(平野博文・民主党国対委員長)など危うい発言が相次いでいる。自民党の大島理森副総裁は「党内融和だけの『非適材非適所内閣』。首相の任命責任は非常に大きい」と述べ、予算委員会の開催を求めて追及する考えを強調した。

 安住淳財務相は出張先のフランスで記者団に「不用意な発言だったが、それをもって任命責任ということはない」と語り、首相の責任論をけん制。野党側には温度差もあり、公明党の漆原良夫国対委員長は「3次補正を一緒に作ろうという雰囲気を壊すのを最低限に食い止めた。これ以上、この問題を大きくするつもりはない」と早期辞任を評価した。

毎日新聞 2011年9月10日 22時03分(最終更新 9月10日 23時41分)

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