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鉢呂経産相:失言 民主内にも辞任論 首相「真意聞く」

 ◇放射能発言「記憶ない」

 鉢呂吉雄経済産業相が東京電力福島第1原発の周辺市町村を「死の町」と表現し、報道陣に「放射能をつけたぞ」という趣旨の発言をした問題を巡り、民主党内で10日、「自発的辞任になるのではないか」などと経産相の辞任論が浮上した。野田佳彦首相は10日昼、鉢呂氏と早急に会談し真意を確かめる考えを表明。鉢呂氏は同日昼、東京都内で記者団に「全力を挙げて原発事故の収束に今後も頑張っていきたい」と述べ、続投する意向を示した。

 野党は鉢呂氏の自発的辞任か首相による罷免を求め、任命責任も追及する構えで、首相はぎりぎりの判断を迫られている。

 首相は10日昼、「放射能をつけたぞ」との発言に関し、「そういう報道があることは承知している。実際に本人によく真意を確かめたいので、直接会う機会をなるべく早く取りたい」と述べた。視察先の宮城県気仙沼市で記者団に語った。首相は10日夜の帰京後にも鉢呂氏に会うとみられる。

 鉢呂氏は「放射能をつけた」とする発言について「一歩ぐらい(記者に)近づいた記憶しかない。しぐさはあったかもしれないが、言葉は記憶にない」と述べた。さらに「福島の被災地の皆さんに不信の念を与えたとすれば、心からおわび申し上げたい」と語った。

 民主党の福山哲郎前官房副長官は10日午前のTBSの番組で「死の町」と発言したことに、「不適切だ。今後いろいろな動きが出てくる」と語り、進退問題に発展するとの認識を示した。一連の言動には与党内でも批判が出ており、閣僚経験者は「福島の被災者の気持ちを逆なでする言動で、きつい。自発的辞任になるのではないか」と語った。

 前原誠司政調会長は10日午前、東京都内で記者団に「事実とすると大変由々しきことだ。今日中にしっかりと真意を説明することが大事だ」と述べ、早急に説明責任を果たすよう求めた。

 一方、自民党の石破茂政調会長は10日午前、「自ら辞任するか、首相が罷免しなければ(国会は)動かない。(鉢呂氏のもとで)審議するのは難しい」と述べ、鉢呂氏が辞任しなければ13日召集の国会審議への影響は避けられないと指摘。「(衆院での)不信任決議や、(参院での)問責決議にも十分に値する」と強調した。

 鉢呂氏は8日、福島第1原発などを視察。帰京後、防災服を着替えないまま議員宿舎に帰り、報道陣の一人に防災服をすりつけるようにし「放射能をつけたぞ」との趣旨の発言をした。9日午前の記者会見では視察に関し「残念ながら周辺市町村の市街地は人っ子一人いない、まさに死の町という形でした」と発言。首相が謝罪と訂正を求めたことなどから、9日午後に再び記者会見し発言を撤回し謝罪した。【野口武則、佐藤丈一】

毎日新聞 2011年9月10日 東京夕刊

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