政治

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閣僚に聞く:野田内閣 小宮山洋子厚労相/鉢呂吉雄経産相

 ◇社会保障給付抑制を精査--小宮山洋子厚労相

 厚生労働行政は生活の多くの分野にかかわっている。全力で当たりたい。職員には能力を生かして仕事をしてもらったうえで、全責任は私が取る。

 税と社会保障の一体改革では、厚労省案は(給付を抑制する)効率化が足りないと言われているので精査したい。高所得の高齢者に一定の負担をしてもらうことなどは取り組みたいが、所得の低い人などが安心して生活できないということは避けたい。年を重ねても子どもが生まれても安心できる見取り図を示し、国民が負担に納得できる形にしたい。

 子ども手当に関しては、民主、自民、公明3党のぎりぎりの協議の結果、手当をつなぐことができた。震災対応で財源が必要なのは理解するが、(16歳未満の子どものいる世帯の税負担を軽減する)年少扶養控除の廃止が決まっているので、子育て家庭だけ重税になる。それは避けたい。所得制限のかかる世帯の負担軽減も、少なくとも年末に還付を受けるなど、目に見えて実感できる形で支給できるようにしたい。

 専業主婦ら第3号被保険者の年金切り替え漏れ対策を盛り込んだ国民年金法改正案は、秋の臨時国会に提出できるようとりまとめを急ぐ。3号制度は根本的な見直しが必要。配偶者控除、パートなどへの社会保険の適用範囲の拡大と併せて総合的に見直さなければいけない。ただ、段階的に解決しなければならない課題もある。私は現実論者。地に足をつけて改革したい。【聞き手・山田夢留】

 ◇聞いてひと言

 子ども・女性政策では党内きっての「マニフェスト原理主義者」。財務省主導と揶揄(やゆ)される新政権にあって「私は現実論者」と縮こまらず、国民に必要な政策ならば原理主義を貫き、突破力を発揮してほしい。(山田)

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 ◇原発再稼働できるだけ早く--鉢呂吉雄経産相

 定期検査などで停止中の原発の再稼働については、原子力安全・保安院、原子力安全委員会、IAEA(国際原子力機関)の評価を求め、それを政治の段階で基準を作って判断をし、地域の理解を得ることが前提だ。再稼働が年内にできるか見通せないが、できるだけ早くと思っている。

 原発依存度を減らす工程表を総合資源エネルギー調査会で作る。中間的な考えを年内に求め、年明けに最終判断する。原発については、基本的に新設は困難で、寿命がきたものは廃止する。新エネルギー、省エネ、火力などベストミックスを求めていきたい。調査会委員の人選では原発反対派も取り込む。

 原発輸出は、日本の技術に信頼性があればやっていくことになると思う。しかし、官民挙げてというのは難しい。

 今冬の電力制限令は回避できると思っているが、来夏は原発再稼働がなければ、全原子炉が停止し、かなり厳しい。電気料金値上げについては、電力会社から申請があれば、よく中身を精査して、本当に値上げすべきかどうか、厳正に判断する。

 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)は、参加国の交渉状況、被災地の問題、産業空洞化の問題などさまざまな要件があり、すぐに判断できる段階ではない。総理を中心に早く結論を出したい。超円高など今の経済状況を踏まえれば、法人税5%引き下げは当然で、この段階でやるべきだと思うが、最終的には与野党合意に従いたい。【聞き手・野原大輔】

 ◇聞いてひと言

 農政に詳しく、経済産業は自ら「専門家でない」というせいか、慎重な言い回しが多かった。原発、エネルギー、TPPなど課題は山積。国民目線に立ったビジョンを示すようリーダーシップを発揮してほしい。(野原)

毎日新聞 2011年9月8日 東京朝刊

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