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電力供給:来夏も綱渡り 原発停止で9.2%不足--経産省試算

 東京電力と東北電力管内の大口需要者向けに発動している電力使用制限令は9日午後8時に解除され、焦点は今冬以降の電力需給に移る。鉢呂吉雄経済産業相は「今冬の制限令は回避できる」と見込むが、定期検査中の原発が再稼働する見通しは立っておらず、今冬や来夏の電力需給も綱渡りの状態が続く見通しだ。政府は11年度第3次補正予算案に節電支援策を盛り込むとともに、早期の原発再稼働に向けて立地自治体との調整を急ぐ。【和田憲二】

 政府は7月1日から、工場やオフィスビルなど約1万9000件を対象に、最大需要の昨夏比15%削減を義務付けた。対象外の家庭や商店など小口需要者にも節電意識が広がり、平日の需要は前年比20%前後減った。

 一方で供給面では、停止中の原発の再稼働の条件に安全評価(ストレステスト)の1次評価が課せられたため、定期検査中の原発は再稼働できない状態。再稼働しないことを前提とした政府試算によると、この冬の供給予備率は沖縄を除く9電力会社合計でマイナス0・7%。ほとんどの原発が停止する来夏には、同9・2%まで悪化する見通しだ。

 実際には、自主的な節電が期待できるほか、ピーク需要の時間帯が各電力でずれて「電力各社で融通できる」(鉢呂経産相)こともあり、経産省はこの冬は制限令の発動は回避できると予測する。ただ、今夏は製造業やサービス業、農業など400社で15%の節電を達成できなかった。自家発電設備の不具合や節電工事の遅れが電力需要を押し上げるケースがあるうえ、もともと電力消費が少ない中小企業は節電余地が少ない。このままでは来夏は再び制限令の発動を迫られる可能性がある。

 このため政府は、今夏の節電の取り組みを検証し、根本的に需要を抑える対策をとる方針だ。例えば大口需要者には蓄電池や自家発電の設置補助、家庭向けは住宅の断熱工事や省エネ家電の購入促進策などを検討しており、一部は3次補正に盛り込む。

毎日新聞 2011年9月7日 東京朝刊

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