会見する鉢呂吉雄経産相=首相官邸で2011年9月2日午後8時58分、武市公孝撮影
野田首相と鉢呂吉雄経済産業相はともに「原発の新設は極めて困難。耐用年数が来れば廃炉が必要」と述べ、原発の依存度を引き下げる菅政権の「減原発」路線を踏襲しながら、長期的には脱原発を進めるという方向性をにじませた。
ただ、現状では原発が次々と定期点検に入り、そのまま再稼働できなければ、今冬と来夏に電力が不足する懸念がある。鉢呂氏は2日の初閣議後の会見で、「厳格な安全基準で評価し、原子力安全・保安院のみに任せることなく、きちんとした形で地元の理解を得る」と発言。地元の同意を得たうえで再稼働を進める意向を示した。
しかし、菅内閣で再稼働問題について首相と経産相の姿勢が食い違うなど、対応が迷走したことに対する立地地域の不信感は強い。鉢呂氏は原発の安全確認を保安院だけに委ねず、原子力安全委員会などと共同で対応することで立地地域との関係を修復し、再稼働を進める方針だ。
エネルギー政策全体の見直しも課題。来夏をめどに国家戦略担当相指揮下のエネルギー・環境会議が、新たなエネルギー政策である「革新的エネルギー・環境戦略」を策定する方針。経産省のエネルギー基本計画見直し論議と、原子力委員会の原子力政策大綱見直しも並行して進め、戦略に反映させる考えだ。【野原大輔、和田憲二】