日別アーカイブ: 2011年9月10日

9/11テロ アメリカに与えた経済的ダメージは3兆3千億ドル

【ニューヨーク=志茂真奈美】 2001年9月11日のテロリスト攻撃から、ちょうど10年。米紙ニューヨークタイムスでは「The Reconing (審判)」と題する特集記事を掲載。様々な角度から、事件を検証している。その中の一つ、経済的な角度からダメージを計った記事を取り上げたい。 <勘定は1日で3兆3千億ドル(=約256兆円)> 記事によると、アルカイダはワールド・トレード・センターを破壊し、国防総省(ペンタゴン)を一部損壊させるのに、約50万ドル(=約3380万円)を費やしたという。そして、それだけの金額を使ってアメリカ側に与えた経済的損失は、概算で何と、3兆3億ドルにものぼる。アルカイダは1ドル当たり、700万ドルの結果を得た事になる。3兆3億ドルという金額は、現在の米国の国債の5分の1に相当する。 3兆3千億ドルの内訳は以下の通り ・物理的損害と料金(損壊物や交通、通信の費用)  550億ドル(=約 4.3兆円) ・経済活動への影響(業務停止や航空機利用低下) 1230億ドル(同  9.6兆円) ・国家防衛、情報関連費用            5890億ドル(同 45.8兆円) ・軍事関連費用                1兆6490ドル(同 129兆円) ・将来的な軍事費用と退役軍人への社会保障    8670億ドル(同 67.3兆円) この3兆3千億ドルには、金利や、地方自治体独自の防衛費などは含まれていない。また、物理的損害の中で「犠牲者の命の価値 240億ドル(同1.9兆円)」と計上されているが、これは、犠牲者が生存していた場合に稼いだと推定される賃金が100億ドルとされ、実際の命はその2倍強とする政府のガイドラインに基づいたもの。 改めて数字にして見ると、その損害の甚大さに驚愕させられる。しかし、犠牲者とその遺族の受けたダメージは、決して金額で計れるものではない事は確かだ。

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これがアメリカの現実だ 〜NJ州 ホームレス村

【ニューヨーク=志茂真奈美】 アメリカの失業率は上がる一方で、遂には家財道具を失い、ホームレスに転落する人々が増えている。 米経済ニュース・サイト、ビジネス・インサイダーでは、米ニュージャージー州レイクウッド郊外にある、「ホームレス村」に潜入取材。ホームレスの暮らしぶりを、写真で紹介している。 このホームレス村は、公用地である森林内にあり、自治体から許可も受けているという。住民がボランティアの弁護士を雇い「ホームレスもコミュニティーの一員であり、公用地へのアクセスする権利がある」と主張。何年にも及ぶ訴訟の上、勝ち取った権利だ。ただし、人数は70人までと決められている。 意外なのは、多くのホームレスが、どこにでもいる普通の市民にしか見えない事だ。道ですれ違うだけなら、誰も彼らがホームレスであると気づかないかも知れない。 ホームレス村には、共同洗濯場やキッチンまである。近隣の食料品店から食料が寄付されたり、ボランティア・グループが薪割りを手伝いに来るなど、日々の暮らしは困らない。 しかし、冬場を乗り越えるのは困難だ。昨年の冬、ホームレス村の住民は寒さを乗り切るため3軒の木造の小屋を建築した。しかし、取り決めで建物の建造は禁じられている。メディアの報道で、小屋の建設を知った市側は、すべての小屋を強制的に解体してしまった。村のリーダーは「小屋のおかげで、去年は死者を出さずにすんだのに」と不満をもらす。この冬、住民はビニール・テントの中に薪ストーブを設置することになるが、火事の危険性が高いのが不安だ。 近郊の町の住民は、ホームレス村排除を求めている。しかし、排除するにも、彼らにはどこにも行く所がないのだ。 アメリカでは現在、70万人以上がホームレス状態にあるという。2007年から2010年の3年間で20%増えた。先進国であるはずのアメリカの今日の姿。これが現実である。

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