2011/9/9
ED611_被災車両を直し、仕立て上げる! 鉄道模型
東日本大震災による被災車両、一番酷いED61を我が鉄道に「登録」するべく作業に掛かります。

判りやすく被災しました。 側面に大きな凹み2カ所、台車側受も曲がりました。

正面窓ヒサシ変形、床板ごとスカートが大きく内側にたわみ、各所の剥げ、曲り。

下から見るとこんな感じです。
本来は全部分解して塗装を剥がし、直してから塗装するべきでしょうが、この機関車には重連の相方が居る事もあり、基本的には「塗装を剥がさず修繕する」という道を選びました。

床板を外します。

今年、彫刻刀と一緒に買っておいた木槌で叩きます・・・・折角の木槌ですがあまり役に立ちませんでした・・・・
コレを直す=叩く という印象だったので・・・・・やってみたかっただけかも。

スノープラウもこんな案配です。

台車まわりの被害は側受けだけでは済んでいませんでした。

そしてIMONカプラーHO−101も衝撃の一部を受け止めていました・・・交換です。

スノープラウを曲げて直していたら取付アームの半田付けが外れてしまいました。
また、よく見るとスカートも大ダメージです。

そして、落下と関係なく問題なのは、パンタグラフは後の時代限定になるPS17「ホーンタイプ」だという事です。
右は換装用に急いで作って貰った(?・・・・・在庫切れていたんです)IMONのPS17です。
(だいぶ前から店頭でも販売しています)
少し前までフクシマブランドで販売されていたHOスケール1/87のPS17ですが、フクシマの面々がIMON南品川工房となってこのパンタもIMONになりました。
PS17原形で青/クリームでは問題無いですがホーンタイプで茶はあり得ないです。
ですから模型製品として「ホーンタイプ=拙い選択」なのです。
ED60、61、62は結構長生きした機関車です。
メーカーのマスターピースはこれらの機関車の終着点である「現存するED62」を取材して作ってしまったようです。
結構拙い問題点が沢山あります。
最大の問題点は「ボックス動輪のED60、61はあり得ない」事です。
ED62だけは改造する時ボックス動輪に交換されたのです。
この点に関してはいずれIMONでEF60初期車やEF61をやって1160mmスポーク動輪を作るぞ!と言い聞かせて前に進みます。

半田付けしなければならないので半田を流す部分を研きます。

IMON紙箱にかつて使って居た厚紙を使って位置固定用のスペーサーを仕立て上げます。

厚紙を思った寸法に切って

挟んで固定します。
この鉛の台座は多種多数持っている16番「箱物」車両用のウェイトです。

半田ごては配線に使う30/60Wのこてで済ませてしまいます。

それなりにじっくり熱を伝えて強固に固定しました。 黒染液で表面を染めています。
黒染液仕上げは時間の経過で表面が強くなっていきます。
黒染をしてあると塗装の食い付きが断然良くなります。

曲げを直し、剥げたら黒染してから黒や蒸機動輪用の汚れ黒でタッチアップしていきます。

スカートも曲り、歪みを直して「剥げたところ」に調色したエナメルを塗ります。
この後「クリヤ吹付け」で落ち着かせてから「汚れ」を吹く予定です。

側面下部の歪みも直し、キサゲ刷毛で研いて黒染してタッチアップ(と言うより筆塗り塗装)です。
林工房による塗装、素晴しく綺麗なのですが、塗装の厚みが不足です。
また、プライマーと塗装面の融合が不充分です。
簡単に剥げてしまいます。
ところが剥げた真鍮色の部分、プライマーが強固に残って居て黒染不能です。
「プライマーを吹いてから塗料を吹くまでの理想時間」が言われるのは塗料とプライマーが融合していないと「意味なし」になってしまうからじゃないのでしょうか。
融合していないのです。
もしかすると2剤混合タイプのプライマー?
これが2剤混合タイプのプライマー(エポキシの類)で、プライマーの接着力では抜群でも塗装全体の強さではダメだとすると「欠陥あり」じゃないでしょうか。

剥げ部分の塗装に使うぶどう色2号ですが、車体に塗ってある色は90年代前半の天賞堂の電機のように「溜色」を勘違いしたかのような紫が勝ったぶどう色です。
現在売られているぶどう色塗料はどれも茶色なので困ってしまいました。
ところが、マッハのぶどう色、蓋の裏側に本体よりぐっとワイン色っぽい塗料が付着していました。
此を集めてリターダーシンナーで薄めて筆塗り用塗料に仕立て上げました。

こんな感じで塗れました。
でも
このナサケナイ様子を見ると「全塗装」の方が良かったのではと言う思いが湧いてきます。
しかし、2剤混合タイプのプライマーだったらシンナーでは溶けないからアウトです。

こんな感じです。

よく見ると文字が踊っています。
これは事故の結果なのか「目が見えていない」のか・・・・
(マスターピースはエッチング抜きの文字を貼る指定だったかもしれません)

この機関車では「1/80ですが比較的文字が小振り」なTOMIXの金属インレタを使う指定になっています。
手持ちの1/80用金属インレタ各種を集めて検討を始めました。
(↑16番EL、DL完成品の使い残しです)

メーカーズプレートの仕上がりが綺麗じゃないのでヤスリで整えます。

そのメーカーズプレート剥がした跡の塗装も剥げています。
弱い(薄い)塗装は綺麗かも知れませんが「美術品」であると同時に「走らせる大人のおもちゃ」という側面を持つ鉄道模型には相応しくないと思います。
所詮余程の大型模型でない限りは車輪の厚さは厚く、フランジも高く、形状も実物とは雰囲気が違ってしまわざるをえないのが宿命の「鉄道模型」は展示用模型とは求められている中身が違うのです。
(私がHO1067が所詮「理想」ですよと主張するのは、経験から判断して様々な鉄道模型に掛かる制約の中で理想に近いバランスを実現しやすいのは“ダントツ”でHO1067だと感じているからです)

タッチアップしておきます。
そして、10倍ルーペで見ながらピンセットで動かすと文字は無事に整列しました。 よかった。

エアフィルターが現役鉄道車両に相応しくない綺麗さなので「スミ入れ」を企みます。
「出来るだけインスタントに修繕する」事を誤魔化す目的もあって多少ウェザリングしますので、バランス上「スミ入れ」は必要なのです。
この2色のエナメルをこんな混合比で混ぜると

こんな「さも汚い」“汚れ黒”が現われます。

入れはじめました。

快調快調!

と、思っていたら乾く頃になったら折角の黒が変な風に抜けて行ってしまっています。

なんとスミ入れ用黒エナメルは車体内側に回って“エアフィルター分解の巻”になってしまいました。
それぞれが個性的である鉄道模型の構造に毎度ながらびっくりします。

エアフィルターは内側に糊で貼った「窓セル」で車体に固定されて居たのです。
エアフィルターだけにしてスミ入れをし直しです。

一方、車体には艶を整えるための(そして多少は塗装面の強度を上げる目的も有って)クリヤラッカーを吹いてから汚しを吹く事にしてマスキング開始です。

クリヤラッカーを吹きました。 これで金属インレタも「落ち着く」でしょう。
そしてエアフィルターはエナメル「汚れ黒」で塗ってからエナメルシンナーで拭きました。
少々罰当たりな感じですが、IMONのハイテククロスを使ってしまいました。
こういう目的に使うには意外に安くて「素晴しい使い心地」
しかも1枚で100両分「この作業」が出来そうです。

屋根上を吹く為のマスキングです。
「見切れる=雨樋がある」側面は直接マスキングして「ぼかす」必要がある「お面」周辺は紙でマスクします。 ・・・・それも別個ではなく連続マスクにしなくてはいけません。

汚しが最も効果的なのはパンタグラフです。
右2つがマスターピースのホーンタイプPS17です。 割合良くできていると思います。
左2つがIMON(旧フクシマ)のPS17です。 やっぱり凛々しいです。
私はパンタは重要と思っているので、かつて韓国AjinでHO1067583系を作ったときも「パンタはフクシマ」にしました。

吹き終わりました。

汚し吹き終了の車体(しかも修正ありで汚いサイド)とスミ入れ済みのエアフィルターの色目を見ます。

そして、結局正面の窓セルも取り替えることになりました・・・
ワイパーのために「穴」が必要な窓セルです。

側面窓セルの両サイドにボンドクリヤーを塗った状態です。
透明窓は「最低の大きさ」で済ませておかないとエアフィルターを固定する為の「のりしろ」が足りなくなりそうです。

エアフィルターとその固定用の窓セルです。

付きました。

別個に吹いた汚れた屋根とそれに載るパンタグラフの色目チェック・・・・・此処でダメだと思っても手遅れですが。

中が丸見えすぎる事、窓から向こうの景色が完全に見えるのは不味いので「塞ぐプラ板」を仕立てます。
3両分一気に仕立てます。

そして椅子が載っていると効果的な感じです・・・・・・・・これはエコーの運転士用椅子です。

青いモノがちらりと見えると椅子を連想しますので青15号に塗りました。

糊(ボンドクリヤー)で床板に貼った椅子と運転室背面のプラ板仕切です。

仕上がりました。

こちらは痛みが激しいサイドです。

こちらの前面のスカートも酷かったところ・・・「悪い+悪い」の組み合わせです。

こちらは多少のタッチアップで済んだサイドです。

実はHゴムも丹念に修正してあります。 拡大して“当初”と“上がり”を比較すると判ります。






IMONのEF60/65程はスムーズでも静かでもないですがしっかり走ります。
苦労を掛けた車なので可愛いです。
判りやすく被災しました。 側面に大きな凹み2カ所、台車側受も曲がりました。
正面窓ヒサシ変形、床板ごとスカートが大きく内側にたわみ、各所の剥げ、曲り。
下から見るとこんな感じです。
本来は全部分解して塗装を剥がし、直してから塗装するべきでしょうが、この機関車には重連の相方が居る事もあり、基本的には「塗装を剥がさず修繕する」という道を選びました。
床板を外します。
今年、彫刻刀と一緒に買っておいた木槌で叩きます・・・・折角の木槌ですがあまり役に立ちませんでした・・・・
コレを直す=叩く という印象だったので・・・・・やってみたかっただけかも。
スノープラウもこんな案配です。
台車まわりの被害は側受けだけでは済んでいませんでした。
そしてIMONカプラーHO−101も衝撃の一部を受け止めていました・・・交換です。
スノープラウを曲げて直していたら取付アームの半田付けが外れてしまいました。
また、よく見るとスカートも大ダメージです。
そして、落下と関係なく問題なのは、パンタグラフは後の時代限定になるPS17「ホーンタイプ」だという事です。
右は換装用に急いで作って貰った(?・・・・・在庫切れていたんです)IMONのPS17です。
(だいぶ前から店頭でも販売しています)
少し前までフクシマブランドで販売されていたHOスケール1/87のPS17ですが、フクシマの面々がIMON南品川工房となってこのパンタもIMONになりました。
PS17原形で青/クリームでは問題無いですがホーンタイプで茶はあり得ないです。
ですから模型製品として「ホーンタイプ=拙い選択」なのです。
ED60、61、62は結構長生きした機関車です。
メーカーのマスターピースはこれらの機関車の終着点である「現存するED62」を取材して作ってしまったようです。
結構拙い問題点が沢山あります。
最大の問題点は「ボックス動輪のED60、61はあり得ない」事です。
ED62だけは改造する時ボックス動輪に交換されたのです。
この点に関してはいずれIMONでEF60初期車やEF61をやって1160mmスポーク動輪を作るぞ!と言い聞かせて前に進みます。
半田付けしなければならないので半田を流す部分を研きます。
IMON紙箱にかつて使って居た厚紙を使って位置固定用のスペーサーを仕立て上げます。
厚紙を思った寸法に切って
挟んで固定します。
この鉛の台座は多種多数持っている16番「箱物」車両用のウェイトです。
半田ごては配線に使う30/60Wのこてで済ませてしまいます。
それなりにじっくり熱を伝えて強固に固定しました。 黒染液で表面を染めています。
黒染液仕上げは時間の経過で表面が強くなっていきます。
黒染をしてあると塗装の食い付きが断然良くなります。
曲げを直し、剥げたら黒染してから黒や蒸機動輪用の汚れ黒でタッチアップしていきます。
スカートも曲り、歪みを直して「剥げたところ」に調色したエナメルを塗ります。
この後「クリヤ吹付け」で落ち着かせてから「汚れ」を吹く予定です。
側面下部の歪みも直し、キサゲ刷毛で研いて黒染してタッチアップ(と言うより筆塗り塗装)です。
林工房による塗装、素晴しく綺麗なのですが、塗装の厚みが不足です。
また、プライマーと塗装面の融合が不充分です。
簡単に剥げてしまいます。
ところが剥げた真鍮色の部分、プライマーが強固に残って居て黒染不能です。
「プライマーを吹いてから塗料を吹くまでの理想時間」が言われるのは塗料とプライマーが融合していないと「意味なし」になってしまうからじゃないのでしょうか。
融合していないのです。
もしかすると2剤混合タイプのプライマー?
これが2剤混合タイプのプライマー(エポキシの類)で、プライマーの接着力では抜群でも塗装全体の強さではダメだとすると「欠陥あり」じゃないでしょうか。
剥げ部分の塗装に使うぶどう色2号ですが、車体に塗ってある色は90年代前半の天賞堂の電機のように「溜色」を勘違いしたかのような紫が勝ったぶどう色です。
現在売られているぶどう色塗料はどれも茶色なので困ってしまいました。
ところが、マッハのぶどう色、蓋の裏側に本体よりぐっとワイン色っぽい塗料が付着していました。
此を集めてリターダーシンナーで薄めて筆塗り用塗料に仕立て上げました。
こんな感じで塗れました。
でも
このナサケナイ様子を見ると「全塗装」の方が良かったのではと言う思いが湧いてきます。
しかし、2剤混合タイプのプライマーだったらシンナーでは溶けないからアウトです。
こんな感じです。
よく見ると文字が踊っています。
これは事故の結果なのか「目が見えていない」のか・・・・
(マスターピースはエッチング抜きの文字を貼る指定だったかもしれません)
この機関車では「1/80ですが比較的文字が小振り」なTOMIXの金属インレタを使う指定になっています。
手持ちの1/80用金属インレタ各種を集めて検討を始めました。
(↑16番EL、DL完成品の使い残しです)
メーカーズプレートの仕上がりが綺麗じゃないのでヤスリで整えます。
そのメーカーズプレート剥がした跡の塗装も剥げています。
弱い(薄い)塗装は綺麗かも知れませんが「美術品」であると同時に「走らせる大人のおもちゃ」という側面を持つ鉄道模型には相応しくないと思います。
所詮余程の大型模型でない限りは車輪の厚さは厚く、フランジも高く、形状も実物とは雰囲気が違ってしまわざるをえないのが宿命の「鉄道模型」は展示用模型とは求められている中身が違うのです。
(私がHO1067が所詮「理想」ですよと主張するのは、経験から判断して様々な鉄道模型に掛かる制約の中で理想に近いバランスを実現しやすいのは“ダントツ”でHO1067だと感じているからです)
タッチアップしておきます。
そして、10倍ルーペで見ながらピンセットで動かすと文字は無事に整列しました。 よかった。
エアフィルターが現役鉄道車両に相応しくない綺麗さなので「スミ入れ」を企みます。
「出来るだけインスタントに修繕する」事を誤魔化す目的もあって多少ウェザリングしますので、バランス上「スミ入れ」は必要なのです。
この2色のエナメルをこんな混合比で混ぜると
こんな「さも汚い」“汚れ黒”が現われます。
入れはじめました。
快調快調!
と、思っていたら乾く頃になったら折角の黒が変な風に抜けて行ってしまっています。
なんとスミ入れ用黒エナメルは車体内側に回って“エアフィルター分解の巻”になってしまいました。
それぞれが個性的である鉄道模型の構造に毎度ながらびっくりします。
エアフィルターは内側に糊で貼った「窓セル」で車体に固定されて居たのです。
エアフィルターだけにしてスミ入れをし直しです。
一方、車体には艶を整えるための(そして多少は塗装面の強度を上げる目的も有って)クリヤラッカーを吹いてから汚しを吹く事にしてマスキング開始です。
クリヤラッカーを吹きました。 これで金属インレタも「落ち着く」でしょう。
そしてエアフィルターはエナメル「汚れ黒」で塗ってからエナメルシンナーで拭きました。
少々罰当たりな感じですが、IMONのハイテククロスを使ってしまいました。
こういう目的に使うには意外に安くて「素晴しい使い心地」
しかも1枚で100両分「この作業」が出来そうです。
屋根上を吹く為のマスキングです。
「見切れる=雨樋がある」側面は直接マスキングして「ぼかす」必要がある「お面」周辺は紙でマスクします。 ・・・・それも別個ではなく連続マスクにしなくてはいけません。
汚しが最も効果的なのはパンタグラフです。
右2つがマスターピースのホーンタイプPS17です。 割合良くできていると思います。
左2つがIMON(旧フクシマ)のPS17です。 やっぱり凛々しいです。
私はパンタは重要と思っているので、かつて韓国AjinでHO1067583系を作ったときも「パンタはフクシマ」にしました。
吹き終わりました。
汚し吹き終了の車体(しかも修正ありで汚いサイド)とスミ入れ済みのエアフィルターの色目を見ます。
そして、結局正面の窓セルも取り替えることになりました・・・
ワイパーのために「穴」が必要な窓セルです。
側面窓セルの両サイドにボンドクリヤーを塗った状態です。
透明窓は「最低の大きさ」で済ませておかないとエアフィルターを固定する為の「のりしろ」が足りなくなりそうです。

エアフィルターとその固定用の窓セルです。
付きました。
別個に吹いた汚れた屋根とそれに載るパンタグラフの色目チェック・・・・・此処でダメだと思っても手遅れですが。
中が丸見えすぎる事、窓から向こうの景色が完全に見えるのは不味いので「塞ぐプラ板」を仕立てます。
3両分一気に仕立てます。
そして椅子が載っていると効果的な感じです・・・・・・・・これはエコーの運転士用椅子です。
青いモノがちらりと見えると椅子を連想しますので青15号に塗りました。
糊(ボンドクリヤー)で床板に貼った椅子と運転室背面のプラ板仕切です。
仕上がりました。
こちらは痛みが激しいサイドです。
こちらの前面のスカートも酷かったところ・・・「悪い+悪い」の組み合わせです。
こちらは多少のタッチアップで済んだサイドです。
実はHゴムも丹念に修正してあります。 拡大して“当初”と“上がり”を比較すると判ります。
IMONのEF60/65程はスムーズでも静かでもないですがしっかり走ります。
苦労を掛けた車なので可愛いです。