日々の業務、新規事業の立ち上げ、課題の達成や問題解決――ビジネスのあらゆるシーンにおいて、そのベースになるのは適切な結論を導き出すための「思考力」だと言える。
インターネットを通じて有機野菜など安心食品の宅配サービスを行うオイシックスの社長で、07年には世界の「ヤング・グローバル・リーダー」にも選出されるなど、今最も注目されるビジネスリーダー・�眦膵�平氏は、ロジカルな思考力を「ビジネスにおける共通言語」と位置づけている。
「コンサルタント時代、その重要性を叩きこまれました。3カ月にひとつのプロジェクトを任され、まったく土地勘のない分野で結果を残さなければいけない。その中では、付け焼刃の知識は役に立ちません。スピーディに意思決定をするためには、多くの考える型＝フレームワークや業界によらない論理という“共通言語”は不可欠でした。今でもそのスキルに助けられることは多いですね」
実際、現在�眦膸瓩�手がけるビジネスにおいても“何をすべきか”という意思決定の拠り所になっている。他方で�眦膸瓩蓮�一見して論理を積み上げた結果とは思えない新しいアイデアや天才的な発想も、必ず裏づけされたものだという。
「優秀なビジネスパーソンに限らず、アーティストやクリエイターでも優れた人の“直感”は、“思いつき”とは根本的に異なります。日々の思考によって培われた幾重もの根拠が積み重ねられているんです」
現在、オイシックスの目下の課題は、東日本大震災によりもたらされた食の安全に対する不安を払しょくすること、そして被災地の生産者の生活をいち早く取り戻すこと。両立させるのは、非常に難しい問題だ。
「ビジネスパーソンの思考力が試されるのは、まさに『一見矛盾する二つの問題を同時に解決する』というケースです。例えば、『売上を増やす』、『コストを減らす』という二つの問題があったときに、『利益を出す』というひとつのテーマに集約して考えることができるか。安易に一方を諦めてしまうのではなく、思考力で同時に解決できるかが腕の見せ所です」
考える型を身につけることで、状況を問わず使える問題解決の手法や、スピーディな意思決定を行うスキル、新たなアイデアを生み出す発想力も鍛えることができる。
�眦膵�平（たかしま・こうへい）
1973年、神奈川生まれ。東京大学大学院修了後、マッキンゼー・アンド・カンパニー勤務を経て、オイシックス株式会社を設立。顧客目線のサービスで、企業家表彰の受賞歴多数。
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