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【宮古】復興へ船出、歌声力強く 東京のバンドがライブ


 

 東京を拠点に活動するバンド「サスライメイカー」は22日、宮古市を訪れチャリティーライブを開いた。津波の恐ろしさを伝えている同市田老の田畑ヨシさん(86)が作詞した「海嘯(つなみ)鎮魂の詩(うた)」を披露。「古里の復興誓い船出する」。田畑さんの思いが詰まった歌が被災者の心に響いた。

 サスライメイカーはボーカル磯部俊行さん((33)、ギターみつをさん(33)、ベースたがみさん(31)の3人組。昨年にも宮古市でライブを開いている。

 同市田老西向山のサン・オーエン・リゾートには被災者ら約60人が来場。磯部さんが「海嘯鎮魂の詩」の一言一言に心を込めて歌うと、涙を拭う人も見られた。

 「海嘯鎮魂の詩」は3番まであり、田畑さんが体験した1933(昭和8)年の昭和三陸大津波当時の思いを記した。田畑さんは「感情を込めて歌ってもらい、感激した」と感謝を込めて話した。

 サスライメイカーは「カレーライス」など元気あふれる歌も披露し、笑顔の花を咲かせた。同市田老館が森の松本律子さん(63)は「夫と孫を亡くしたが、みんなで助け合って生きていきたい」と勇気をもらった。

 軽快なトークで被災者を元気づけた磯部さんは「まだまだ頑張っている人がいる。震災を忘れず、東京で伝えたい」と語った。同バンドは、田畑さんの孫がプロデュースした映画の主題歌を担当した縁で、田畑さんと知り合った。

 同日は宮古市田老の三陸鉄道摂待駅でもライブを開いた。東京や名古屋市でファンから募った義援金、寄せ書きなども宮古市に贈った。

 海嘯(つなみ)鎮魂の詩(1番)

 突然襲う大つなみ
 永久(とこしえ)忘れん あの怖さ
 家と流され 諸人(もろびと)は
 海の藻屑(もくず)と消えゆきて
 無念の涙ほほつたい
 今、静かなる 碧(あお)き海
 悲しき海よ ふるさとの海

【写真=「海嘯(つなみ)鎮魂の詩」を歌う「サスライメイカー」のメンバー=宮古市田老】

(2011.5.23)


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